嬉しい気持ちと・・・
作者:遊佐環 ライン
「ふぅ・・・」
一人の女子が机の上で頬杖をつきながら深い溜息を吐いた。
「どないしたん、えりち?なんか深刻そうな顔しとるけど」
心配になったのか机の縁から絵里を覗きながら聞いた。
絵里と呼ばれた女子は自身の顔を覗き込んでいる女子の顔を見つめながら口を開いた。
「特には何もないのだけどね・・・・・・希、心配してくれてありがとう」
「海未ちゃんのことやね」
「ぶっ!?」
希に言い当てられ絵里は唾を吹き出しそうになる。
希はそれを見て「汚いで、えりち」とニッコリと笑顔で言った。
「ど、どうして・・・・・・」
「何年の付き合いやと思ってるん?わからん訳無いやん」
絵里の問掛けに希は豊富な胸を強調するように張って言った。
絵里はその言葉に自身のポニーテールで纏めた黄色の髪を掻きながら廊下を見る。
「その発言はにこの気に触るわよ、希」
「にこっちの怒ったところもまた、かわいいんよ」
「確信犯なのが余計にタチが悪いわよ」
「そう言うえりちも海未ちゃんのこと、よく怒らせてるらしいやん?それと同じやん」
希は怪しい笑みを浮かべながら言う。
絵里は顔を紅く染めて希に噛み付くように聞く。
「の、希・・・貴女、覗いてたりしてないわよね!?」
「してへんよ。ただの噂やから安心し」
涼しい顔をしてあさっての方向を見ながら答える。
「どっからそんな噂が広がるのよ・・・」
そう呟くと希と同じ方向を見つめながら再び頬杖をつく。
それから二人は静かに窓越しに流れる雲を見ていた。
それからどれ位の時間が過ぎたのかわからないが二人は動くことはない。
「今日はいつにも増して考えるんやね・・・」
「ただの気のせいよ・・・そう、気のせいなんだから」
絵里の考えていることが見えているかのようにつぶやく希。
絵里は彼女に見破られないようにするためか苦笑いを浮かべながら答えると聞こえないくらい小さい声で気のせいだと言った。
「ほら、希もいつまでもこんな所にいたらにこが嫉妬するわよ」
「嫉妬ね・・・してるところを見てみたいわ♪」
忠告するように希に言ったはずだったが希かえって楽しむように答えるだけだった。
絵里の内心、ダメねもうっと思っていたが口にすることは無かった。
「希ー、来てあげたわよ」
絵里と希は二人で普段通りに過ごしていると廊下の方から聞き覚えのある声が聞こえた。
「今日は遅かったんやね…にこっち」
希はあとから教室に入ってきた矢澤にこに笑顔を向けながら言った。
「遅かったも何もアンタがあんな大量の課題を置いていったのが原因でしょうが」
「うちは何も悪いことはしてへんで。にこっちの頭が悪いんがいけないんや」
希は核心を付くように言うとにこは悔しい表情を浮かべながら希に近づく。
「はい、これ」
カバンの中からプリントを取り出すと希に手渡した。
「確かに受け取ったで・・・果たして何点やろね」
希はプリントを折りたたみポケットの中にしまうと手を開いたり閉じたりしながら言う。
顔は変に怪しい笑みを浮かべていた。
「希・・・するんだったら、此処では無くふたりきりの時にしなさいよ・・・」
絵里はわかっていたのか希に呆れたようにつぶやく。
希もその一言に「わかっとるよ」と笑顔で答えた。
にこに至っては二人の言っていることに感付いたのか顔を真っ赤にしていた。
「な、ななな・・・何言ってんのよ!アンタ達は!?」
そして、大きい声で言った。
「何って、いつものこと過ぎて言う気にもならないわ」
「せやな・・・。まあ、うちからしたら全然ええんやけどね」
「全然良くないわよ!やられる側にもなってみなさいよ!!」
嬉しそうに言う希とは裏腹に、にこは盛大に噛み付くように言った。
絵里はそんな二人のやり取りを見て愛想笑いを浮かべるがどこか複雑そうな顔をする。
希はいつの間にかカバンを持ってにこと帰る用意をしていた。
「そうや、えりち。えりちにはこれを渡しとくな」
希はそう言うとカバンの中から何やら紙を取り出すと裏返しで机の上に置いた。
「コレは?」
「見てのお楽しみや」
希は不思議そうに紙を見ている絵里ににこやかに言う。
そして、にこの手をとって「にこっち、帰るで」っと言って教室から出ていく。
「相変わらずね・・・希は・・・・・・」
希たちが居なくなり一人きりになった絵里。
紙の内容を確認するとそう呟くのであった。
「『えりちへ
えりちの事やから海未ちゃんのことで悩んでると思う。
しかも、今後どうしたらええんかを考えてるんとちゃう?
そんなえりちにアドバイス
えりちのしたいようにしたらええんやで
えりちが本気やったらうち、できる限りサポートはするよ
希』っか・・・希にはワタシの未来が見えているのかしら」
もう一度手紙の内容を声に出して読んだ。
そして、笑みを浮かべる絵里。
「ワタシのしたい事か・・・・・・何をしたら喜んでくれるかしら」
手紙を机の上に置き椅子の背もたれに体重を掛ける。
自分の手を上空にかざしながら彼女である海未のことを考える。
海未は才色兼備の文武両道でまさに非の打ち所がない完璧超人だ。
そんな彼女に何かを贈ろうにも何を贈ったものか迷うのは無理も無かった。
そして、希からは自分のしたようにしたらいいと書かれていたが一体何をしたらいいのか絵里には思いつかなかった。
「希も嬉しいことを言ってくれているけど時々投げやりのような気がするのよね…だけど、間違ったことがないから怖いのよね・・・・・・」
自身の左腕で顔を隠し独り言を溢す。
そして右手で左手の指を確かめるように触る。
だけど、何も無いために指の形をなぞるだけだった。
「・・・・・・海未」
何を考えても最終的に海未のことを考えていた。
絵里は違和感を感じたのか手を机の方に伸ばし指を確認する。
「そうか・・・・・・そうよ!これよ!!」
そして、何かに気がついたのか顔がどんどん晴れていく。
絵里はカバンの中に入っている携帯を取り出し誰かにメールを送った。
「これでよしっと、あとは帰ってから希に感謝の気持ちを送りましょう」
「お待たせしました、絵里」
携帯を元あったところに戻すと同じタイミングで誰かが絵里を呼ぶ。
絵里は呼ばれた方向である廊下へ視線を向ける。
そこには、顔立ちの整っていて言葉に合わせるのであれば清楚の二文字がぴったりの容姿をした女子であった。
髪の毛もくせのない腰まで真っ直ぐに伸びた紺色のストレートヘアを持った女子が絵里の席である窓際に近づく。
絵里は帰り支度をすぐに済ませるとカバンを持ち向かってくる女子を待った。
「大丈夫よ、海未・・・それじゃあ帰りましょうか」
「はい」
絵里は手を差し出しながら海未に言うと海未も嬉しそうに頷きながら絵里の手を取る。
二人は仲良く下足に向かった。
「部活動の方は順調のようね」
「えぇ、お陰様です。絵里の方こそ生徒会はいい感じだと聞いてますよ」
「希から聞いたのかしら」
「はい。まあ、絵里の顔を見れば順調か否かはすぐにわかりますけどね」
海未は微笑みながら言うと絵里も微笑む。
「かれこれ、付き合ってもう四年目になるのね」
「そうですね。月日が流れるのは早いものです」
「思えばあの頃、最初は手を繋ぐことさえさせてくれなかったのよね」
「あ、あの時はあの時です!だって恥ずかしいじゃないですか」
「ワタシは付き合っているんだし当然だと思っていたけどね」
「絵里は卑怯です・・・・・・」
二人の帰り道、付き合い始めての頃を話すと海未は恥ずかしくなったのか顔を真っ赤に染めた。
「海未…大好きよ」
絵里は海未の耳元で小さくそう呟いた。
「・・・!?」
絵里の告白による追撃を受けた海未は耳までも真っ赤になる。
「な、ななな・・・何を考えているのですか!?」
「何って、ただの告白よ」
「そういうものは人がいないところでやってください!」
「安心しなさい。今この場所にはワタシと貴女以外居ないわ」
笑顔で海未に言う絵里だったが海未はお構い無しに怒った。
「そういう意味で言ったのではありません。大体、最近の絵里はいつもそうです!毎回毎回私の気を知らないで・・・・・・・・・」
「そんなつもりはないのよ海未。ごめんなさい」
本当に反省したのか絵里は素直に海未に対して謝った。
「だけど聴いてちょうだい海未。ワタシは本気で貴女が好きだからこういうことをしてしまうのよ」
「それでも節度というものがあります」
なんとか説得しようと絵里は試みたが結果は海未の即答の正論により論破される形で終わりを告げた。
「ごめんなさい、海未」
「分かればいいのです」
海未は反省をしている絵里を見て安堵したのか一つ息をつく。
その後は、ふざけること無く二人は会話を楽しみながら帰路についていた。
「それじゃあ、海未また明日ね」
「はい。また明日・・・絵里」
二人がいつも別れている三叉路まで着き互いに挨拶をした。
だが、海未は絵里の反対の道を歩くどころか絵里に近付いた。
「って、海未・・・どうしてワタシに近づいてくるのかしら?」
不審に思った絵里が海未に問い掛けるが無言の笑みを返すだけで何も言わなかった。
「あの時の言葉の仕返しです・・・・・・」
海未は絵里の手を握るとそう呟いて顔を一気に近づける。
ちゅっ・・・・・・
絵里の唇と海未の唇が合わさった。
「・・・・・・・・・!?」
絵里は一体何が起きているのか理解出来ずにその場で硬直していた。
「それでは、また明日です。絵里♪」
海未はそう言うと嬉しそうに走り去っていく。
絵里は、一体何をされたのか理解するために海未の唇の触れたところを指でなぞる。
「・・・!あの娘ったら・・・・・・人のこと言えないじゃない」
ようやく理解したのか絵里は顔を赤く染めた。
そして、言い終わったあとで一つ息をつく。
「それに一番恥ずかしがっているのは海未かもしれないしね♪」
そう呟くと一人御機嫌に歩き始めた。
海未は絵里が見えなくなった所で自分がやった事に後悔したというのは本人以外誰も知ることはなかった。
しばらく歩いて絵里は何か違和感を感じていた。
「何かおかしいのよね・・・・・・海未に贈る物は決めたし」
絵里はうーんっと唸りながら違和感が何なのか考えた。
そして、何かがわかったのか立ち止まった。
「そういえば、贈るものが決まってもどうやって作るのか知らないわ・・・!」
そう、絵里が感じていた違和感は海未に贈る物は決まっていてもその作り方を知らかったのだ。
「どうしたものかしら・・・・・・・・・。真姫の知り合いに頼るにも連絡の取れる真姫が忙しいだろうし、かと言って他に思い当たる出来そうな人がいないし」
絵里は自分で作る気満々のようで誰に作り方を教えてもらうか考え始めた。
「でも待って、ことりだったら作り方を教えてくれるかも。確か、衣装に関係する学校に進学しているから指輪のこともきっと・・・・・・」
絵里はそう言うとカバンの中から携帯を取り出しことりにメールを打った。
「できるかしらっと・・・、これでよし」
絵里は携帯でメールを送信するとカバンにしまい再び帰路につく。
しばらく歩いて家に着いた絵里は流れ作業で敷地門を開けマンション内に入る。
絵里は大学の生徒になってから実家から離れ今のマンションに住んでいた。
そして、エレベーターで三階に向かい家へ向かった。
「やっと帰って来れたわ」
絵里は疲れ果てたかのようにつぶやくとポケットから家の鍵を取り出し鍵の差し込み口へ差そうとしたが何故か入れるのを辞めた。
「おかしいわ・・・何か違う感じがする・・・・・・」
絵里以外は住んでいない筈の家だが誰かがいると感じていた。
「だけど居るとしたら誰?海未には合鍵を渡して居るけどあの時、ワタシとは反対方向に歩いていったからワタシより早くこの家に入ることはまず無理だわ・・・かと言って希は今日はにこと一緒に帰っていったからこの家にいることはまず無いわ・・・・・・・・・だとしたら誰?」
絵里は家の前で違和感を感じて考えたように立ち止まり唸る。
唸り続けて早五分が経ち、絵里は何かを決心した。
「そ、そうよ、ゆっくりと開けて確認すればいいのよ!靴がなかったら警察に連絡すればいいんだもの」
絵里は一人そう言って自己納得すると携帯を取り出しいつでも警察に電話できる環境にしてゆっくりと扉を開ける。
ガチャッ・・・。
「!?」
ゆっくりと開けたつもりだったがドアの開く音で絵里自身が驚き辺りを見回しながら耳を澄ましていた。
「・・・・・・・・・ふぅ、よかった」
絵里は胸を撫で下ろしながらそう呟いた。
そして、ゆっくりと家の中を見回す。
「靴は・・・・・・あるわね。だけど誰かしら?」
絵里は不審者が居ないことを確認してゆっくりと家に入りまた静かに扉を閉める。
その際に鳴った音も最小限になるようにゆっくりとしていた。
「これでよしっと」
絵里はそう呟くと揃えて置かれている靴をじっくりと観察した。
大きさは二十三.五で女子が履くような小柄な靴であった。
だけど、どこかで見たことがある靴だった。
「あれ・・・これってもしかして」
絵里は思い当たる節があったのか靴を脱いで揃えるとリビングに向かった。
「えーっと、これがこうで・・・・・・」
リビング前の扉に耳を済ませると扉越しに女子の声が聞こえる。
「この声ってまさか!」
絵里はそう呟くとリビングの扉をゆっくりと開けた。
そして覗き込むように見る。
そこには丁寧に掃除をしていた一人の少女がいた。
身長は屈んで居たからわからないが見事な金髪をして長さは腰のあたりまであった。
ふと、横顔を覗かせた時にその人物が誰なのかわかった。
「亜里沙、何をしているの?」
「きゃう!!?お、お姉ちゃん!?って、え…きゃあ!!」
絵里は少女の名を呼ぶと亜里沙と呼ばれた少女は驚いて手に持っていた雑誌を落とす。
そして床にある荷物に足を当ててそのまま躓いて転けた。
「だ、大丈夫?」
絵里は亜里沙と呼んだ少女に近付き手を差し出す。
亜里沙はありがとうっと言うと笑顔になる。
「久しぶりね、亜里沙」
「うん、お姉ちゃんに会いたくなって来ちゃった」
亜里沙は姉である絵里に会いに来たと言うと絵里に抱きつく。
絵里も妹の亜里沙に抱きつき返し会えたことが嬉しそうだった。
「だけど、いいのかしら?雪穂ちゃんはあっちでしょ?」
「ううん、今は旅行で来てるの!って言っても明日には帰るんだけど・・・」
「そう、それで雪穂ちゃんは?」
「雪穂なら買出しに行ってもらってるよ。ワタシが行っても迷子になっちゃいそうだから」
「へえ、そうなの・・・・・・。ってまさか、この家に泊まる気?」
絵里は周りを見渡すと大きい荷物が数個あることに気が付き嫌な予感をよぎらせていた。
「そのつもりだったんだけど・・・・・・駄目かな・・・・・・・・・?」
亜里沙は捨てられる寸前の動物のような顔をした。
絵里は諦めたのか一つ息を付く。
「別に構わないわよ。ただしワタシの部屋と一つの部屋には入らないこと!いいわね?」
「うん!ありがとう、お姉ちゃん!!」
亜里沙は絵里の言葉に嬉しくなり再度抱きつく。
「そんなことより、どうやって入ったの?」
「お母さんに合鍵を作って貰ったの!」
亜里沙の言葉に絵里は納得し彼女の頭を撫でる。
「お母様にあまり無理を言わないの・・・過ぎたことだから何だけど。それに合鍵からさらに合鍵を作るのは良くないことよ」
「はーい。次から気をつけるよ、お姉ちゃん」
亜里沙は笑顔で絵里に頷いた。
その時、玄関では扉が開き誰かが入ってきたのを絵里は気が付いたが亜里沙の言っていた雪穂だろうと予想していた。
「亜里沙ー、買ってきたよー」
明るく元気な声がリビングにまで響く。
亜里沙は玄関の方にいそいそと向かっていく。
絵里も後から玄関の方に向かった。
「お疲れ、雪穂!」
「ありがとう。それより亜里沙、本当にいいの?絵里さんに怒られない?」
「大丈夫だよ。ワタシのお姉ちゃんだもん!」
亜里沙は雪穂の言葉に笑顔で言った。
雪穂はその言葉に苦笑いを浮かべ絵里の方を見た。
目が合った絵里は優しい表情になった。
「別に構わないわ。くつろいでいってちょうだい」
「ありがとうございます!」
「それよりもどうして貴女達が雪穂ちゃんといるのかしら・・・・・・ねぇ希、にこ」
優しい表情からすぐに険しくなる絵里。
「だからにこは言ったのよ!」
「あははーダメやったか・・・・・・この流れなら行ける思うてんけどな…」
「とりあえず、雪穂ちゃんと亜里沙は先に行ってて頂戴」
「わかりました」
「はーい」
雪穂と亜里沙はそれぞれに返事をすると二人揃ってリビングに向かった。
絵里は二人がリビングに行った事を確認すると爽やかな笑顔を作ってにこと希の方を向く。
「それで?」
その一言には怒りというより呆れが込められていた。
「希、アンタが言いなさいよね」
「わかってるよ、にこっち」
にこは今の絵里が怖いのか希に押し付けていた。
希もそうなることを理解していたのか二つ返事で答えた。
「そうやな・・・簡単に言えばえりちを助けようと思って来たんや」
「本当は?」
「えりちのお手伝いや」
希は絵里の冷たくどストレートな質問に素直に答えた。
「それで、どうしてにこがいるわけ?」
「にこはねーしかたな・・・・・・」
「にこ・・・・・・・・・?」
絵里は声のトーンを低くして名前を呼んだ
「希に巻き込まれたのよ!強制よ・・・わかる!!」
にこは半分泣きそうな目で絵里に訴えた。
「はぁ・・・・・・・・・。まあいいわ、上がって」
絵里は面倒になったのか二人を家に上げることにした。
「えりち、贈るものは決まったん?」
突然希が絵里の耳元で囁くように言った。
「お陰様でね」
「何にするん?」
「ナイショ♪」
絵里は希の問掛けに笑顔で答える。
「教えてくれてもええやん」
希も楽しげに絵里に言った。
「おいコラ、そこ。私がいるのに何をしてるか」
簡単にじゃれ合っていた希と絵里に、にこは冷たく言い放った。
「にこっち、嫉妬?」
「違うわよ!さっさと来ないと置いていくわよ!!」
にこはそう言うと二人を置いて先を歩いていく。
「ちゃんと行くよー」
希は嫉妬全開のにこの後ろ姿を見てニコニコと微笑みながら答えた。
「本当に希とにこはお似合いよね・・・・・・・・・」
「そう言う、えりちと海未ちゃんもお似合いやで」
希には聞こえないように言ったつもりだったのか絵里は希の言葉に少々驚いていた。
「ねえ、希・・・・・・」
「なんや?えりち・・・」
リビングに向かおうとしていた希を呼び止める絵里。
希はそんな絵里の顔を見て何かを悟ったのか微笑みすぐ側に寄った。
「そない心配せんでも大丈夫や、みんな協力してくれるよ」
希はそう言うとにこの後を追いかけるようにリビングに向かった。
「そうよね・・・・・・。皆優しいものね・・・・・・」
絵里はそうつぶやくとポケットにしまっていた携帯が音を鳴らす。
「メール?誰からかしら・・・・・・・・・」
絵里は気になったのかすぐに携帯を取り出し差出人を確認する。
南ことり
メールの送信者にはそう書かれていた。
「ことり・・・?内容は・・・・・・っと」
絵里はそう呟くとメールを開いた。
絵里ちゃん返信遅くなってごめんねm(。>__<。)m
ちょっと、こっちも立て込んでて遅くなっちゃった。
それでメールの件なんだけど
ことりでよければ喜んでお手伝いするよ
それに真姫ちゃんに聞いてみたら、ほかの人に少し当たってくれるみたいだよ
それじゃあ、日程とかが決まったらまた連絡してね
待ってるからね
追伸、花陽ちゃんにも贈りたいと思っているから何かいい案が有ったら教えて欲しいな・・・
メールにはそう書かれていた。
「ことり・・・、真姫・・・・・・ありがとう」
絵里はメールを送ってくれたことりに感謝しながら返信を送った。
「ありがとう、ことり!
すぐに日程を決めて連絡するわっと、あと花陽にはひまわりとか明るい感じのブローチはどうかしらっと・・・・・・これでよし」
絵里はメールを打ち終えるとすぐに送信した。
「お姉ちゃんー。何やってるのー??」
亜里沙が心配したのかはたまた気になったのか廊下に顔を出して聞いてきた。
「なんでも無いわ、すぐに行く」
絵里はそう返事をすると携帯をポケットにしまってリビングに向かった。
その後、絵里達は盛大なパーティのような状態になり大いに盛り上がったとか。
その際、にこと希がよくふざけるものだから絵里が怒ってすぐに帰らせたのはまた別のお話。
後日、絵里は休日にことりと会う約束をしていた。
当然、海未には内緒にしてだ。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
絵里がことりと会う約束をした休日前日のこと。
絵里はいつも通り海未とお昼を食べようと廊下へ向かった時。
「絵里、準備は良いですか?」
海未は廊下に出てすぐの絵里に笑顔で言った。
「ええ、行きましょう。海未」
絵里も頷くと二人は手を繋ぐことはなかったが繋いでも可笑しくない状態で並んで歩いていた。
「今日はどこで食べましょうか?」
「そうね・・・・・・今日はバラ園のところで食べましょう」
「そうですね、あそこならゆっくりと二人っきりになれますものね」
絵里の提案に海未は少し顔を赤くして頷いた。
「そうと決まれば行きましょう。こんなところをほかの人に見られたら変な噂になるわ」
「はい」
お互いにお弁当を持って急ぎ足で目的地に向かった。
そして、目的地には絵里が思っていたのかわからないが人はそれほどいなかった。
「こっちから行きましょう」
絵里はそう言うと海未の手を掴んで茂みの中に入っていく。
迂回して行く感じで目的地のバラ園に着いた。
二人は中央部にレジャーシートをしくと二人仲良く座った。
バラ園の中心には大きな木が生えていてうまい具合に太陽の光を遮ってくれていた。
「食べましょうか、絵里」
「そうね、海未」
海未の言葉に賛同した絵里。
二人はお互いの弁当箱を開ける。
「相変わらずいつも美味しそうね・・・・・・海未のお弁当は」
「そういう絵里のお弁当も美味しそうです」
海未の弁当の内容をチラ見した絵里はそう呟くと海未も絵里に美味しそうであることを伝えた。
二人はゆっくりと自身の持ってきた弁当を食べながら色んな世間話をする。
二人の空間には何もない。
ただあるとしたら時々、二人の髪を撫でる微風くらいだ。
「絵里?」
「何、海未?」
お弁当を食べている二人、海未は絵里を呼んだ。
絵里は食べつつ返事をした。
「次の土日なんですが・・・・・・どこかに遊びに行きませんか?」
海未は少し顔を赤く染めながら聞いた。
「ごめんなさい、海未。その日はどうしても外せない用事があるの・・・・・・本当にごめんなさい」
絵里は会うことができない旨を伝える。
海未はただ寂しそうな顔を一瞬するとすぐに笑顔になった。
だが、絵里の目には辛いものに見えたのか焦って口を開く。
「その日の埋め合わせは必ずするから!!」
「は、はい」
絵里の言葉に海未は嬉しいのか先ほどの寂しそうな表情は一切なかった。
それだけで、絵里は胸を撫で下ろすのであった。
その後二人はお弁当を食べ終わりゆったりとした時間を過ごした。
「ねえ、海未・・・・・・」
「はい、なんでしょうか?」
「キスしようか?」
「はい・・・・・・・・・って、えっ!!?」
絵里の突拍子もない言葉のおかげで海未は一度返事を返す。
そしてすぐに自分が何に頷いたのか理解したのか顔が真っ赤に染まる。
「駄目かしら?」
絵里は海未の顔を覗くように聞いた。
海未は言葉にすることはなかったが恥ずかしさを隠すために両手で顔を覆う。
そして、その状態で縦に頷く。
「よく、言うじゃない・・・・・・食後のデザートって」
「私はデザートではありません・・・!」
「だけど、してもいいのでしょう?さっき頷いたのだから」
「それは、そうですが・・・・・・・・・心のじゅんb…」
海未は覚悟が決まらないのか先延ばしにしようとしているのは絵里にもすぐに理解した。
そのため、絵里は言い終わる前にキスをする。
「・・・ん」
「・・・ん・・・・・・ごちそうさま、海未」
海未は突然キスをされて脳が働いていないのかぽけーっとしていた。
その反対に絵里はとても満足そうな顔を浮かべえて口元を軽くハンカチで拭いていた。
少しの間、二人はキスの余韻に浸っていたのだが海未は正気を取り戻すと体を小刻みに揺らす。
「え、絵里!ととと突然キスするのは反則です!破廉恥です!!」
そして、開口一番は怒りの言葉だった。
「だって、あのままだったらさせてくれなさそうだったんだもの」
絵里は正直に答えた。
海未はそれでもっと口酸っぱく言葉を続ける。
今の二人は恋人なのだからキスの一つくらいいいじゃないと思う絵里。
だが、そう思っていたのは海未にひたすらお説教をされている最中に口に出さず心の中で思っていたという。
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
絵里はその時の事を考えるだけで嬉しい気持ちになる反面、申し訳ないなという気持ちにもなっていた。
「それにしてもことり遅いわね・・・」
絵里は腕時計を見ながらことりが来るであろう方向を見つめる。
それから少しして、ことりはやってきた。
「遅くなってごめんね、絵里ちゃん」
「きゃー!」
絵里は後ろからいきなり声を掛けられ驚いてその場に縮こまる。
その後、ゆっくりと辺りを見渡し立ち上がる。
「えーっと、ことり?」
「そうだよ、絵里ちゃん」
「その声と特徴的な髪型…確かにことりね」
絵里は一瞬誰がことりなのかわからなかった。
少し幼いような声に鳥の鶏冠のような髪型という独特の特徴のお陰で今、目の前にいる女性がことりと判断できた。
もし髪型を変えていれば気付かれないなと絵里は確信した。
彼女はそこまで成長していたのだ。
「その判断基準は嫌かな・・・・・・」
ことりは絵里の判断できた基準に少し複雑な表情で答えた。
「ごめんなさいね・・・それより本当に今日でよかったの?」
「大丈夫だよ。むしろ、今日の方が良かったから」
「へえ、そうなんだ・・・」
ことりは絵里の問掛けに笑顔で答えた。
絵里もその返答を聞いて胸を撫で下ろす。
「それじゃあ、行こっか!こうしていても時間が勿体ないし」
「えぇ、そうね」
二人は揃って歩き始めた。
「そういえば、絵里ちゃんって尽くすタイプだよね」
「どういう意味?」
「だって今回の件って、海未ちゃんのためじゃない?」
「そうだけど・・・・・・それを言うならことりだってそうじゃない」
絵里はことりの言葉に渋々頷くがことりも同じであると言うと少し顔を赤くして頷いた。
「だって、花陽ちゃんとっても可愛いんだもん・・・・・・もっと可愛くなって欲しいんだ♪」
ことりは絵里と同じであることが嬉しいのか視線が絵里を見ているように感じるが明らかに明後日の方向を見ながらマシンガンのように話す。
そして、ことりが話し始めて早五分が経過する。
「とにかく、花陽ちゃんの魅力は言葉だけで伝えきれないよ!」
「そ、そうね・・・・・・、確かに花陽は可愛いものね・・・」
絵里は逃げるように言うとことりはうんと頷いた。
「それはそうと絵里ちゃん。デザインは決まってる?」
「それがまだなのよ・・・・・・海未に合うデザインがうまく思いつかないのよ」
「その気持ち、よくわかるよ。ことりも花陽ちゃんにどんなの贈ったら喜んでくれるのか未だによくわかってないもん…」
ことりは少し困ったような顔をしながら絵里に言った。
「困ったものよね・・・・・・わかりそうでよくわからないのよね・・・・・・・・・」
絵里もことりと同様に困ったようにいう。
「あっ・・・!絵里ちゃん・・・そこの喫茶店で待ってくれている人がいるから・・・・・・」
ことりはそう言うと二店舗奥にある喫茶店を指さすとそこに向かって急ぎ足で向かっていく。
「ちょっと、ことり!?そんなに急ぐと転ぶわよ」
絵里は急ぐことりに注意を促しながらことりの指差した喫茶店に向かう。
「それで・・・・・・ことり、誰が待ってるのよ?」
「それは、着いてからのお楽しみってことで」
「良いから教えなさいよ」
「お楽しみはとっておこうよ」
絵里はことりに迫るが彼女は笑顔を崩さずに流した。
「それで、着いたけど・・・どこに居るのよ?」
絵里は喫茶店の前で足を止めるとことりに聞いた。
「確か、中で待ってるって言っていたような・・・・・・」
「そう・・・それじゃあ、早速中に入りましょうか」
「そうだね・・・・・・待たせるの悪いしね」
二人はお互いに頷いて喫茶店の中に入る。
喫茶店の中は明るくもなければ暗くもないなんとも絶妙な明るさで目に優しかった。
そして、店内に使われている物も木製が主であったので雰囲気も優しかった。
「良い雰囲気の喫茶店ね・・・・・・」
絵里が喫茶店の感想を率直に言った。
「うん、ことりも初めて来たけど・・・ここだったらみんなと来たいね」
ことりも素直に言うと辺りを見渡した。
「居た居た・・・・・・行こ、絵里ちゃん」
ことりは目的の人物を見つけると絵里に一言言って近くに寄る。
絵里もことりに続いて近付いた。
「いつまで待たせるのよ!!」
ことりと絵里に気付いた人物は怒りながら声を発した。
「にこ・・・!どうして此処に?」
そう、ことりの言っていた待っている人物とは矢澤にこのことだったのだ。
にこは自身のツインテールの黒髪をいじりながら絵里達を睨んだ。
「どうしても何もことりに呼び出されたのよ!」
「ごめんね、にこちゃん・・・・・・それで、持ってきてくれた?」
「持ってきてるわよ、ほら」
にこはそう言うとカバンの中に手を入れ、何かを取り出した。
「これでしょ」
にこは、ことりに見せるように二つの小包を見せる。
片方は藍色の箱に水色のリボン。
もう片方が深緑の箱に黄緑のリボン。
それぞれがイメージカラーで合わせているのがよくわかる。
だが、ことりは首を傾げていた。
「にこちゃん・・・もしかして、これがそうなの?」
「そうよ・・・なにか文句あるの?」
ことりは思っていたものと違っていたのかにこに聞くとにこはイラつきを表しながら答えた。
「てっきり、贈り物の案の紙が出てくると思ったよ」
「その事なら真姫ちゃんに言ってよね。真姫ちゃんからはこれで届いたんだから」
にこはことりに小包を指差しながら言った。
絵里は二人の会話に付いていけず若干困惑していた。
「そんなことより、早く確認しなさいよね」
じれったくなったのかにこはことりと絵里に向かって言った。
二人もそれぞれに頷くと小包に目を向ける。
「こっちがワタシで、こっちの深緑の方がことりなのかしら」
「そうだと思うけど・・・・・・・・・にこちゃん何か聞いてる?」
二人は予想しながらにこに確認をする。
にこは呆れたような顔をして再びカバンに手を入れると次は紙を取り出した。
「確か・・・・・・真姫ちゃんに電話で聞いて書き出したから・・・ここら辺に・・・」
「それで、どうなの?」
絵里はにこに勢いよく聞いた
「落ち着きなさいよ」
にこはそんな絵里に落ち着くように一言言った。
「えーっと、確か・・・・・・・・・」
にこはそう言いながら紙に書いている内容を確認した。
二人は食い入るようににこを見つめた。
にこはそんな二人の視線を感じながら言葉をだそうとするが表情がだんだん変わって呆れたような顔をした。
「あのさ・・・そんなに見つめられたらこっちに集中できないんだけど」
にこは二人に注意するように言うと再び紙に視線を移す。
「えーっと、深緑の箱の方がことりが花陽に渡すペンダント・・・・・・そして、藍色の箱が絵里が海未に送る指輪が入っているとのことよ」
にこが説明するように言うとそれぞれに箱を手に持った。
にこの説明を受けたあとで改めて箱を見ると言われた通りの物が入る大きさの箱だと二人は思っていた。
「中身を確認してもいいのよね・・・・・・にこ」
絵里は箱を触りながらにこに聞いた。
「えぇ、真姫ちゃんの知人からも見て確認してもらうように言われているらしいわ。好きなだけ確認してちょうだい」
にこがそう言うと二人は慎重に包装を解いていく。
花陽に送るペンダントは向日葵のように黄色の石が周りを固めるように配置され真ん中に紅色の石が填められていた。
海未に送る指輪には一つの場所に重なるように石が二つ配置されていた。
一つは周りに淡い水色で真ん中に二つ目の薄い紫色の石が配置されていた。
「これって、本物なのかな・・・・・・」
「さすがにそれはないと思うわ」
ことりがペンダントに使われている石を見て、聞くが絵里はそれを否定するように言う。
それもそのはず、もしこれらの石が本物の宝石であった場合これを作成する費用は総額で軽く見積もっても百万は超える代物であった。
「驚くんじゃないわよ」
にこはそう言うと一つの紙を取り出し机の上に置いた。
「これは?」
絵里はにこの取り出した紙を見て聞いた。
「見たらわかるわよ・・・・・・」
にこは呆れたかのように言うと絵里は紙を手に持って内容を見た。
ことりも恐る恐る紙を覗く。
「う、うそ・・・でしょ・・・・・・!?」
「これが本当ならすごいことだよ・・・・・・ね?」
「にこも耳を疑ったわよ、だけど紙に書いてある事は事実よ」
絵里とことりは手に持った紙をまじまじと見ると紙を机の上に置いた。
「紙に書いてある内容によれば海未への指輪がアクアマリンとアメトリン・・・。アクアマリンが『信頼』でアメトリンが『ベストパートナー』・・・・・・」
「ことりが花陽ちゃんに贈るペンダントがガーネットとルチルクォーツで、意味の方はガーネットが『優しい心』、ルチルクォーツが『幸福・色褪せぬ愛』だって」
二人は紙を見ながらどっちがどの石なのかを見比べる。
「石の基準はイメージカラーではなく意味で入れてるわね」
「そうみたいだね・・・こういうのって何だか照れちゃうね」
「えぇ・・・。それにしてもまさか、完成形で来るとは思っていなかったわ・・・・・・助かるけど」
「そうだね・・・」
そして、予期していなかったことにも少し驚いていた。
それと同時にアクセサリーを触る頻度が極端に少なくなり、ケースの上から眺める形になるのもそう長くは掛からなかった。
「ないとは思うけど、これは大丈夫なのよね・・・・・・・・・?」
絵里がまじまじと指輪を見ながらにこに問いかけた。
「そんなことにこに聞かれても困るわよ!!まあ、念のために一応聴いておいてあげたけど」
「それで」
「真姫ちゃんがデザイン案をって伝えたら次の日に現品で届いたって。電話で確認したらにこ達の事を知ってるから作ったのを送ったんだって・・・・・・。所謂、にこたちのファンからって事じゃないの」
にこが頬杖をつきながら言うと絵里は複雑なのか安堵なのかよく分からない吐息を一つ漏らす。
「心使いは嬉しいのだけど、何だか複雑な気分だわ・・・」
「ことりも絵里ちゃんと一緒のタイミングで作ろうと思っていたからその気持ちはよくわかるよ」
「そんな事をわたしの前で言われても困るわよ・・・。」
にこはコーヒーを飲みながらそう呟くとで背もたれに体重を預けた。
二人はこの贈り物に対してファンからの譲って頂けた物だったが結局のところ二人ともこの贈り物には満足しているのか、笑顔であった。
只、そのファンがどうして真姫に託したのかそしてそのファンが誰だったのかは不明であった。
その頃、海未は一人で街に繰り出していた。
「絵里の外せない用事とはなんだったんでしょうか?」
海未は人混みを避けながら絵里の用事の事を考えた。
だが、海未に内緒で贈り物の相談をしに行っているとは思いつくことはなかった。
「気にはなりませんが私に隠し事をしているような気がしてなりません」
一人悶々と絵里の事を考えながら歩く。
ドンッ!
「ごめんなさい!」
海未は誰かにぶつかってすぐに謝罪した。
「別にええよ・・・・・・。うちもちょっとよそ見していたんが悪かったんやし」
ぶつかった相手も対して怒っておらず悠長な関西弁で許した。
「って、希!?」
海未は相手を見て驚いた。
「海未ちゃんやん。どないしたん、こないな所で?」
希は意外そうな顔をして、海未に聞いた。
「それはこちらの台詞です。希こそどうしたのですか?」
「うちは只の買い物や。海未ちゃんは?」
「私は・・・一人で家にいても暇でしたのでちょっと気分転換です」
海未は希の問掛けに少し複雑そうな顔をして言った。
「さては、えりちに会えなくて寂しいんやろ?」
希は悪戯をする時のような怪しい笑みを浮かべながら問う。
その言葉に海未の心にはグサッっと何かが突き刺さある感覚がしたとかしなかったとか。
「そそそそそ、そんなことあるわけがないでしょう!!」
「焦ってるあたり、当たりの様やね」
「そういう、希はどうして一人なんですか?にこと一緒ではないなんて珍しいですね」
「なんや今日は用事があるとか言うてどっか行ってん」
希は海未の問掛けに余裕があるように振る舞いながら答えた。
「何や、本当にサプライズでやってるんやな・・・・・・」
希は海未には聞こえないように呟く。
「どうかしたのですか、希?」
海未は希の言葉を聞こうと思ったのかそれとも立ち止まっていることに疑問を持ったのかわからないが聞いていた。
だが、希は笑顔で何でもあらへんよっと言って話を逸らした。
「それはそうと、海未ちゃん。これから一緒に喫茶店でお茶にせえへん?この近くでおすすめの喫茶店があるねん」
「良いですね。ご一緒させていただきます」
海未は希の提案に喜んで賛同した。
そして、二人は希のおすすめと称した喫茶店で時間をゆったりと満喫するのであった。
その時に、ほかのメンバーと一緒に行きたいねと話し合う。
☆
「今日はありがとう、ことり、にこ」
「別ににこは構わないわよ」
「ことりの方こそ、ありがとう。助かったよ、にこちゃん、絵里ちゃん」
絵里はにことことりに感謝の気持ちを告げるとそのまま海未に贈る指輪の箱を丁寧にカバンの中に入れる。
ことりも絵里と同様に二人にお礼を言うとペンダントを丁寧にリュックの中に入れた。
「それじゃあ、そろそろ出ましょうか、二人とも?」
絵里がそう言うと二人は頷き椅子から立ち上がる。
「それでは、希。行きましょうか?」
どこからか聞いたことのある声が聞こえてきた。
「気のせいかしら?」
「どうかしたの、絵里ちゃん?」
絵里は、辺りを見回しているとことりが気になったのか、ことりは何があったのか聞いた。
「特にはないのだけれど・・・・・・海未の声がしたような気がしたのよ」
「さすがにそれは空耳だと思うよ絵里ちゃん」
「そうよ、絵里。ことりの言う通り空耳よ・・・・・・ここに希がいるわけじゃあるまいし」
ことりとにこが絵里に気のせいだというがにこは何故か体が震えていた。
「にこ、体が震えているわよどうかしたの?」
「と、とと・・・特に何もないわ」
にこの声も体と一緒に震える。
この様子だといかにも何かがあったようにしか思えない。
にこの表情が明るくなるどころか険しくなっていく。
「どうして、こんなところに希がいるのよ」
にこは、小さい声でそう呟く。
「どうかした?にこ」
「なんでもないニコよ」
にこが絵里の問掛けに猫を被ったかのような声を出しながら誤魔化すように言った。
ことりはそんなにこの言葉を聞いてか当たりをキョロキョロと見渡す。
そして、何かを見つけたかのように声を出した。
「あー!!」
「どうかしたの?ことり」
今度は声をあげたことりにどうしたのか絵里が聞いた。
にこは嫌な予感がしていたのか終始震えていた。
「絵里ちゃん、あそこ見て!」
「何よ・・・。何があるって言う・・・の・・・・・・よ?」
ことりに言われるがままに指差した場所を覗くと見知った姿があった。
「えっ!?海未?」
絵里は自身の彼女の姿を見て小さい声で言った。
「絵里??」
あちらも気がついたのか絵里の名前を呟いていた。
「ん?どないしたん、海未ちゃん・・・・・・ってえりちやん」
海未の言葉で気になったのかすぐ近くにいたらしい希も絵里たちに気がついたのか三人に近づく。
「どうして、ここにアンタがいるのよ!?希!!」
二人が絵里たちに合流して早々に第一声を上げたのはにこだった。
「どうしてって、たまたまやで。なあ、海未ちゃん」
「えっ!?えぇ」
海未は希の言葉にすぐに反応できなかったが頷いた。
「どうかしたの?海未ちゃん??」
ことりが顔を赤くしている海未に聞いた。
「だ、大丈夫です。ことり……」
海未は決して絵里に見蕩れていた何て事を言えずごまかした。
「ははーん、海未ちゃん。えりちに見蕩れてたんやろ」
希が海未の事を悪戯をするように言う。
「ちちち、違います!!?」
「ワタシは別に構わないのよ、海未」
希の言葉に絵里も乗っていたらしく悪戯な笑みを浮かべていた。
「絵里も変に悪ノリしないでください!」
海未は真っ赤に顔を染めながら絵里に怒った。
だが、絵里にはそんな海未も可愛いと思うのであった。
「ありがとうございました♪」
店員さんの挨拶を後にして、五人揃って喫茶店を退店した。
「それにしてもほんまに偶然やな♪」
希が満足そうに言うとそれぞれにうんっと頷いた。
「それで、どうして絵里がこんなところにいたのですか?」
「そ・・・それは・・・・・・」
絵里は本当の事を言いたくないと思っていたが何て言ったら良いのかわからず言葉に戸惑った。
「絵里ちゃんとにこちゃんにはことりがお願いしたの・・・どうしても花陽ちゃんに贈りたい物がしたかったから相談に乗ってもらったの」
絵里が言葉に困っているとことりがうまい具合にフォローをした。
絵里はそんなことりに感謝しつつ海未を見つめた。
「そういう、海未はどうして?」
「私は・・・・・・その、気分転換です」
海未はやっぱり顔を赤くして答える。
「それはそうとにこっち・・・・・・・・・話がちゃうんやない?」
希が両手をグーパーっと開け閉じをしながら、聞いた。
目も獲物を見る目の様に鋭かった。
さらに希の背後には黒いオーラが漂っていた。
にこが喫茶店を出る前から震えていたのはこのせいだと伺えた。
「えーっと・・・・・・にっこにこー・・・・・・・・・あn」
「にこっち」
「ひっ・・・!?」
希がにこの定番を途中で遮り笑顔でにこの名前を呼んだ。
只、その笑顔はとてつもなく怖いものに見える為、にこ以外の者も怯えていた。
「希・・・アレをするんだったら二人きりの時にしなさい」
絵里だけは怯えることなく普通に話しかける。
「そうやね、そうするわ」
希も絵里の言葉に頷くとにこに向かってとてつもなく清々しい笑顔を向ける。
「ひ!!?」
にこはそんな笑顔を向けられて恐怖の声を上げていた。
「それじゃあ 、うちとにこっちはこれで帰るわ」
「ことりもこれで帰るね」
「ええ、今日は本当に良かったわ」
「うん、今日はありがとう。絵里ちゃん、にこちゃん」
希の一声でそれぞれに別れを言うと帰路に着く。
「えりち、ファイトやで」
希はぼそっと絵里の耳元で言う。
希の一言に顔を真っ赤にする絵里。
「どうかしましたか、絵里?」
海未が心配して絵里の様子を伺いながら聞いた。
「な、なんでもないわ」
絵里は顔を横に大きく振ると笑顔を海未に向けた。
絵里自身不安で仕方がないはず。
それもそのはず、絵里の考えでは今日ことり達とデザインを決めて毎日少しづつ進めていって少なくても一ヶ月見ていたのだが、まさかの完成をしていたのだ。
そして、物があるので受け取った今日、贈ろうと思っているのだから不安になるのはしょうがないといえばしょうがない。
「大丈夫よ・・・・・・予定がかなり狂って今日贈るってなっただけなのだから」
絵里は海未に聞こえないように自分を鼓舞する。
それだけでも幾分かマシになる。
そして、大きく深呼吸をする。
「それじゃあ、海未・・・・・・。一緒に帰りましょうか」
「はい♪」
海未は彼女の絵里の言葉に笑顔で頷くと絵里の隣に走り寄った。
そして、周りを見て知り合いがいないことを確認して手を繋いだ。
絵里は視線だけを海未の方に向けると彼女は何やらまだ恥ずかしいのか少し俯いていたのだが表情は楽しそうだった。
絵里はその表情を見て自身も嬉しくなったのか自然と笑顔になった。
「なんだか楽しそうね・・・・・・海未」
「それは・・・、絵里が隣にいてくれているからです」
海未の一言になんだか恥ずかしくなった絵里は空いているもう片方の右手で右頬を指で掻いた。
「それはそうと、どうしてあの場所にいたのですか、絵里」
「あそこでことりが言っていた通り、ことりが花陽に贈る品をどうするか相談を受けていたのよ」
「そうだったんですね。ことり、私を頼ってくれて良かったのに」
「忙しいと思って敢えて声をかけなかっただけだと思うわよ」
海未は親友であることりのことを思っていて、少し寂しくなったのか怒ったかのように声を出したが絵里が丁寧に伝える。
只、本当にそれが事実だとはわからないが無くはない話だ。
「ねえ、海未」
絵里は繋いでいる手を恋人繋をして強く握ると声を掛ける。
「なんでしょうか、絵里?」
「今日は・・・その・・・・・・少し寄り道をしていかない?時間もまだあるわけだし」
「そうですね♪今日はもう少し、絵里と一緒に居たいと思っていましたし」
海未はそう言うと恥ずかしそうな顔をしながら恋人つ繋ぎをしている手を強く握る。
絵里は恥ずかしそうにしている彼女に対する欲求を抑えつつ家とは反対の道を歩く。
絵里の目指す場所は少し歩いたところにある噴水のある広い公園だ。
だが、それを海未にバレないように歩くのは難しいなと絵里は考えていた。
「絵里、この方向はもしかして、あの公園ですか?」
このように、もう馴染みの場所になっている為だ。
そして、二人からしたらとても大事な場所でもある。
「ワタシと海未が付き合い初めてもうかれこれ四年目になるのね」
「そうですね、月日の流れは本当に早いものです」
「海未にとって、どんな四年だった?」
「そうですね、とっても掛け替えのない四年間です。そしてこれからも掛け替えのない物にしたいです」
なんとも海未らしい言葉であった。
その言葉に絵里は微笑みをこぼした。
「海未らしい回答ね・・・」
「それじゃあ、絵里はどんな四年間でした?」
「そうね・・・・・・海未と対して変わらないけどどれもこれも大切な時間だったし大事な思い出よ」
「絵里こそ、貴女らしい答えですね」
「そうね・・・、お互いかわらないわね」
歩きながら付き合い始めての事を振り返りお互いに微笑む。
「ほら、絵里。見えてきましたよ!」
海未はそう言うと絵里の手を引いて公園の方へ駆け足で向かう。
「海未、そんなに急がなくても時間はあるのだからゆっくりと歩きましょう」
「そうですが、なんだかもったいないです」
彼女はそう言って、気恥しい顔をした。
「しょうがないわね・・・・・・。行くわよ海未!」
絵里はそう言って、海未の急ぎ足の歩調に合わせた。
海未もはいっと頷くと二人揃って公園に向かった。
「やっぱり、早く歩くとすぐに着いちゃうわね・・・・・・・・・」
絵里は一つため息をつくと微笑んだ。
「まあ、ここでゆったり過ごしたらいいじゃないですか」
海未は絵里の方を見て、そう言いながら彼女と同じく微笑んだ。
その後、日が沈むまで二人は公園内の噴水の周りをゆっくりと歩いたりベンチでのんびりとした時間を過ごした。
そして今は、日が沈んで夜の十九時を回ったところ。
絵里は、そろそろ指輪を渡さないとダメだなと思い始めていた。
「だけど、何て言ったものかしら・・・・・・」
絵里は一人海未に聞こえないようにつぶやくと彼女は絵里がなんて言ったのか気になったのか絵里の方をみていた。
「あの絵里・・・・・・、何か言いました?」
「ううん、何でもないわ」
絵里は少し複雑な顔をすると何もないことを伝えた。
そして、二人の間には噴水の水が水面に着水する時になる音が鳴っているだけであった。
そのまま三十分程度そわそわとしていた。
不自然なことに絵里だけがそわそわしているならまだしも海未もどこかそわそわしていた。
「ねえ・・・、海未」
「あの・・・、絵里」
二人の間にあった沈黙を破ったのは二人同時であった。
「何、海未?」
「私は後で大丈夫です。絵里の方からどうぞ」
二人は人間の尊重の精神が旺盛なのかお互いに譲り合う。
「そうね・・・・・・・・・それじゃあ、ワタシから行こうかしら」
今回は珍しく絵里が切り出した。
本来であればお互いに譲らないので最終的に絵里が先輩の特権を乱用して海未から事をはじめていたからだ。
だが、今回は絵里も重要なことなので先に言ってしまいたいと思ったのであろう。
「あのね・・・海未」
「はい・・・・・・」
「ワタシたちこれでも付き合っているじゃない?」
「はい・・・」
「それでね・・・・・・」
絵里は緊張しながら言葉を綴る。
そして、緊張のせいか震える手を海未に気づかれないようにカバンの中から指輪の入った箱をゆっくりと取り出す。
「その・・・、ね・・・・・・」
絵里は握っている手をゆっくりと外す。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
だけど、どうしても言葉がうまく出てきてくれていないのか口を少しぱくぱくしながら汗を少し流す。
海未は、焦ること無く絵里の言葉を待っていた。
こうしているとお互いに信頼しあっているのがよくわかる。
「すぅ・・・・・・、はぁ・・・・・・・・・」
絵里は深呼吸をして、真剣な顔をする。
「その、わ・・・わわ、ワタシと・・・・・・・・・」
絵里は言葉をゆっくりと紡ぎながら椅子から立ち上がり海未の前に立ち、お互いに向かい合う。
絵里は指輪の入った箱を後ろに隠して海未の目を見つめる。
だけど、焦点がどうしても合わなくなる。
落ち着こうと何回か深呼吸するが心臓が高鳴って落ち着いてくれなかった。
絵里は決意したのか勢いよく片膝を付いて片膝立ちの状態で海未を見つめる。
「その・・・・・・、詳しいことは決まってないけど、ワタシと結婚してくれませんか?」
絵里は意を決して目を力強く瞑り、箱を海未に差し出す。
海未は、予想していたのか嬉しそうな顔をすると力強くはいっと言った。
だけど、絵里はこの後で失敗したことに気がついた。
「絵里、箱を開けてもいいですか?」
「えぇ」
海未は緊張した手で包装されているリボンを外し、箱を開ける。
「・・・・・・・・・!!?」
海未は中の指輪までは予想していなかったのか左手で口元を抑えた。
海未をよく見れば瞳には涙が溜まっていた。
「付けてもいいかしら・・・・・・海未?」
絵里は感激のあまり涙をこらえている海未に聞くと彼女は静かに縦に顔を振るとゆっくりと左手を絵里に差し出した。
箱を受け取り中から指輪を取り出した絵里はゆっくりと海未の左薬に婚約指輪をつける。
「絵里・・・・・・ありが、とう」
海未は本当に嬉しそうに言うと頬を一滴の涙が流れた。
「海未、もう一つワタシからの贈り物があるのだけれどいいかしら?」
「はい」
「それじゃあ、立ってもらえる?」
絵里は海未に立つように言うと海未は嬉しそうに立ち上がる。
「海未・・・、愛しているわ」
そう言うと自身の唇を海未の唇に近づける。
「私も愛しています、絵里」
絵里にそう返事をすると目を閉じた。
チュッ
噴水近くにある街灯に照らされながら二人は唇を重ねた。
「ん……」
「ん……」
二人はゆっくりと口を離すと二人の間を繋ぐ唾液の糸がキラキラと光に煌めかせた。
やっていることは恥ずかしい行為だが、今の二人にそんなのは関係なかった。
そして、そのあと、恋人つなぎをしながら落ち着くまでベンチでゆったりとしていた。
「あの、絵里これを」
海未は落ちついてから絵里に同じように箱を差し出した。
「まさかこれって?」
絵里は予想できたのか海未に聞くと海未は静かに顔を縦に頷く。
「ありがとう海未、開けていいかしら?」
「はい」
絵里は海未の了解をもらうとゆっくりと箱を開けた。
中身は絵里が海未に渡したものと同じで指輪であった。
よく見ると形状は絵里の物とそっくりだった。
只、異なっているのは中に使われている石の色だけだった。
「あの、絵里・・・・・・つけさせてもらって良いですか?」
「お願いできる?」
絵里は予想していたがあまりの嬉しさに瞳に涙を溜め込む。
そして、海未は自分の時と同じように左手の薬指にはめる。
「ありがとう、海未」
絵里はそう言うと海未の時と同じで一筋の涙を頬に道を作ると流れた。
「絵里・・・・・・」
「何?・・・海未」
しばらくして、落ち着いてから海未は絵里の事を呼んだ。
絵里は海未の方を見てなんなのか聞いた。
「これからも末永くよろしくお願い致します・・・。絵里」
「こちらこそよろしくね。海未」
二人は見つめ合うと手を絡め合いゆっくりと顔を近づける。
そして、お互いに瞳を閉じて唇を重ねる。
海未は重なってすぐに閉じた瞳の目尻から嬉し涙を一筋流した。
この時、絵里は絶対に海未を幸せにすることと何があっても彼女を守り通す事を誓った。
完
おまけ・・・
二人は暫く時間が経った後、公園から絵里の家に向かうことにしていた。
その途中で絵里は立ち止まり海未の方を見つめる。
「どうかしましたか?絵里・・・」
「そういえば、海未・・・あの指輪って」
「そのですね・・・実は・・・・・・」
海未は絵里の問い掛けに答えようとしたが言葉に詰まった。
「別に答えたく無いのなら答えなくて構わないわ」
「そういう訳では無いんです・・・」
海未は最後にすみませんっと言うと少し暗い顔をする。
絵里はそんな海未を見て気持ちが辛くなったのか後ろから抱き寄せた。
「・・・絵里!?」
海未は何が起きているのか分かっておらず少し戸惑っていた。
「大丈夫よ・・・、ワタシはいつまでも待ってるから」
「はい・・・・・・」
そして絵里は囁くように言うと海未は落ち着いて返事をした。
「そのですね・・・私が絵里に贈った指輪はことりに相談した物なんです」
「へぇ・・・」
絵里は海未の言葉に驚くことなく絵里自身の時と同じと考えたのだった。
「驚かないんですか?」
「だって、驚くも何もワタシもことりに相談したんだもの・・・・・・お互い本当に考えることは同じなのね」
絵里はそう言うと携帯を取り出しある画面を海未に見せる。
「メール・・・ですか?」
海未は見せられた画面を見て聞くと絵里はえぇっと頷いた。
絵里の見せた画面は彼女がことりに送ったメールだった。
「・・・・・・。ほ、本当ですね」
「もしかして何だけど、これって真姫の知り合いからじゃない?」
絵里は少し申し訳なさそうに海未に聞いた。
「その通りです。真姫の知人から贈られたと聞かされてます」
「やっぱりね・・・」
「それってもしかして、絵里も・・・・・・ですか?」
「そうよ・・・」
海未も気が付いたのか絵里に同じかどうか問うと絵里はすぐに答えた。
そしてお互いに付けている指輪を見る。
二人が付けている指輪の違いはまさに色違いの石だけであった。
「ワタシがつけている指輪の石がなにかわかるかしら?」
絵里は自身の付けている指輪を見て海未に聞いた。
「一応覚えていますよ。確か外側が・・・『』で内側が『』だったと思います」
海未はそう説明すると絵里は微笑んだ。
絵里も海未の顔を見て同じく微笑んだ。
「海未・・・、今まで本当にありがとう・・・。そして、これからもよろしくね」
「もちろんです。こちらこそよろしくお願い致します・・・絵里」
お互いに微笑み合いながらこれからを約束しあった。
一方、絵里と海未・・・そしてことりに指輪とペンダントの贈り物を託した人。
その人物はある喫茶店で二人コーヒーと紅茶を嗜んでいた。
「それで穂乃果・・・本当によかったの?」
「何がですか?ツバサさん」
「何って三人に託したアクセサリーを自分で手渡さなくてよ」
カリスマ性の溢れる人物、嘗てミューズのライバルであったアライズのリーダー綺羅ツバサは目の前にいる元ミューズのリーダーであった恋人の高坂穂乃果に問う。
穂乃果はオレンジの髪を触りながらにこやかに微笑んだ。
「穂乃果だって知っちゃうと皆優しいから何かお返しをしようと考えちゃうよ・・・それに・・・、」
「何より皆が笑顔になってくれたらそれで良い・・・でしょ?」
「あはは・・・うん、そうだよ」
穂乃果は自分が言おうとしていた事をツバサに言われ苦笑いを浮かべながら肯定した。
そして、穂乃果は何かを思い返すように頬杖をつく。
「・・・」
「早いものね・・・」
「そうですね・・・だけど、穂乃果の言葉を取らないで欲しかったなー」
穂乃果は何かを言おうとしたが先にツバサが言い放ち穂乃果は少し拗ねるように顔を膨らませる。
「ごめんなさいね・・・だけど、そういう風に口に出そうとしたのでしょう」
「うん・・・」
穂乃果が頷くと付き合いが長いお陰なのかツバサはお見通しと言わんばかりの自身に満ちた顔をしていた。
「それにしても練習で出来たものを渡してよかったの?」
「やっぱり作るなら練習でも誰かを思って作りたいじゃないですか・・・だから、みんなの事を思いながら作ったの。だからいいの」
穂乃果は微笑みながらそう言うと紅茶を一口飲んだ。
そう、海未や絵里、ことりにアクセサリーを贈ったのは穂乃果本人である。
そのことに気付くものは目の前に座っている綺羅ツバサ以外居ないのは内緒の話。
おわり♪
あとがき
初めましての方は初めましてそうではない方はごきげんよう
遊佐環ラインです
今回は絵里海未の内容『嬉しい気持ちと・・・』を読んで下さりありがとうございます!
本当に嬉しい限りです。
本来であれば、ある合同誌に載せる予定だったのですがうちの不手際で載せることができませんでしたのでこちらに載せることにしました。
原作の内容を逸脱しているところがあると思いますが優しく流していただければと思います。
それにしても穂乃果が小道具関係の仕事をしているなんて・・・
和菓子屋はどした?って感じです。
パロディなので流しますが(汗
えーっと・・・話が逸れましたが今回のお題は『結婚』なのでプロポーズ内容にしました!
皆様が楽しんでいただけたのであれば嬉しい限りです
それでは長いお話はここまでにして終わりにしようと思います。
それではまた次の機会にお会いしましょう!
+注意+
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