韓国から金塊計30キロ(約1億3000万円相当)を密輸入し消費税を免れたなどとして、愛知県警は1日、韓国籍の同県岡崎市明大寺町、無職、李芳子容疑者(66)ら女5人を関税法違反(無許可輸入)、消費税法違反などの容疑で逮捕した。5人は「頼まれてアルバイト感覚でやってしまった」などと供述し、県警は密輸を依頼した50代の韓国籍の女の行方を追っている。

 他に逮捕されたのは岡崎市大西3、アルバイト、石川直子容疑者(59)と、いずれも韓国籍の同市真伝2、パート、金浩子(49)▽同市美合西町、無職、呉弘美(70)▽同県蒲郡市形原町北森、会社員、金愛子(43)の3容疑者。李容疑者と金愛子容疑者は親子で、他は主婦仲間という。

 逮捕容疑は昨年12月12日、金塊を下着などに隠して韓国の仁川空港で搭乗し、中部空港(愛知県常滑市)に到着した際、税関に申告せず消費税を免れたなどとしている。

 県警や名古屋税関によると、李容疑者が韓国で知り合った女から50キロの金塊密輸の依頼を受け、他の4人を誘って韓国に渡航した。5人は金塊10キロずつをタンクトップやスパッツなどに隠して入国したという。金浩子容疑者の衣服が膨らんでいるのを税関職員が不審に思い発覚した。5人が搭乗した飛行機に依頼者の女も同乗し、李、呉両容疑者から金塊計20キロを受け取り持ち去ったとみられる。

 李容疑者は「韓国に遊びに行けるし、小遣いも稼げる。3年前から8回、密輸を繰り返した」と供述しているという。県警は5人が運び屋で、1キロ当たり1万〜2万円の報酬を得ていたとみている。

 金を国外から輸入する場合、税関に申告して消費税相当分を支払う必要がある。国内では消費税分を上乗せした価格で売買されるため、申告せずに持ち込めば利ざやを稼げる。このため消費税率が8%に引き上げられた2014年ごろから密輸が急増した。15年7月から1年間の全国の摘発件数は294件で、脱税額は約6億1000万円と前年同期の2.6倍だった。【道永竜命】