No.560の記事

プロペシアの限界が見えたか? −男性型脱毛症に対する5年間の治療効果−

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私は男性型脱毛症に対するプロペシア(一般名:フィナステリド)の治療効果を自分を被験者に観察してきている。2005年12月のプロペシア(1mg)発売当初から内服を始め、その経過に関してはこのブログ内で1年ごとに報告を重ねてきており(2006年12月14日、2007年12月2日、2008年12月30日、20010年1月3日付のブログ記事参照)、今回は通算5度目の報告となる。改まって言うまでもないが、プロペシアの発売元である万有製薬からの利益供与や薬剤提供は一切受けておらず、薬剤はすべて自費購入している。
今までの経過を概略述べると以下の如くである。最初の効果を実感できたのは使用開始後6か月経ってからであった。その後、3年間、連日内服しかなりの効果が得られた。効果が上がれば、2日に1錠の内服で維持できるという万有製薬の学術担当者からの情報により、2009年1月からはそれまでの1錠連日内服から2日に1錠と半分に減量してみた。しかし、6か月ほど経過すると明らかに毛髪の量が減ってきたので、2009年7月からは再び1錠を毎日内服し、現在に至っている。
さて、1年おきに撮影された写真を比較してみると、毛髪量は2008年あたりをピークに、2009年にかけてわずかに減少し、2010年では1年間でかなり減少したことがわかる。内服開始1年後の2006年当時よりはまだ多いと思われるが、内服しているにもかかわらず明らかに毛髪量は減少している。男性においては年齢とともに毛髪量が減るのは生理的なので、プロペシアがその生理的な現象を抑制している可能性はあるが、増毛効果はこれ以上期待できないと思われる。
以上より、プロペシアの効果には限界があり、年齢的な変化を凌駕することはできないという結論に至った。今後の課題としては、このままプロペシアの内服を継続するか否かという点である。2009年に一時、減量した時の変化を考えると、内服を中止すると6か月ほどで毛髪量は相当減ることが予想され、上記のような医学的なデータがあっても、現時点で内服中止という決断は心情的にできないのが現状である。当院に通っていただいてプロペシアを内服しているいる他の患者さんのためにも、もう少し内服を継続して経過を見たいと思っている。
(写真は上から、プロペシア内服前(2005/12/20)、内服後1年(2006/12/13)、内服後2年(2007/11/28)、内服後3年(2008/12/24)、内服後4年(2009/12/10)、内服後5年(2010/11/25)の私の毛髪の状態。撮影は比較のため必ず散髪当日に、同じ場所で、同じ条件で行った。)