断食の反動
「ホストは絶対行かない。薬もやめる」何度聞いたことでしょう。3月末、何とか彼女の支払いを済ませた日の夜中。「今度こそ立ち直ってもらわなければ」。そんなことを思いながら仕事を終えた彼女を迎えに行きました。
彼女の家に向かう途中、何か食べたいと言うのでコンビニに寄りました。過食に悩む彼女とは食事に行くことはありません。普段も僕の前で食べる姿を見せることもないです。何度かコンビニで大量に食べ物を買い込むことがありましたが、この日もそうでした。
ドリアとパスタ、ポテチなどのお菓子いくつかをチョイスしました。車に戻ると、彼女は「今、食べる」といい助手席でドリアを食べ始めました。彼女は数日間の断食を敢行したばかりでした。
「やっぱり、お腹空いてたんだね。あわてて食べたらダメだよ」
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苦しさが分かる?
ドリアをゆっくり味わいながら食べた彼女はパスタも開けようとしました。「それも?大丈夫?」
聞く耳を持たずに食べ終えた彼女が小さくつぶやきました。
「また食べちゃった」
「もう嫌だ」
聞けば、この3日ほど安定剤も睡眠導入剤も断っているとのこと。いきなり断薬すれば離脱症状や反動からの大量服薬の危険があります。
「いきなり断薬は無理だよ。危ない。少しずつ減らしていこう」
「無理。一気にやめないと。飲んだらずるずる飲み続けるから」
「そんなの無理だって。過食にも影響するんじゃない?」
「うるさい!無理なの。やめないと無理なの」
「自分が何をするか分からない。そんなのもう耐えられないの」
「どれだけ苦しいか分かる?何も分かってないでしょ?」
イライラを爆発させた彼女は止まりません。疲れてはいたものの返済が何とかなったという安堵感から、二人の間には久々にまったりした空気が流れていたのですが、それもつかの間、一瞬で険悪なムードになってしまいました。
心配されるのがしんどい
「何?私が悪い?いつでもイライラぶつけていいって言ったじゃん」泣きながらどうにもならない感情をはき出し続ける彼女。僕には彼女の涙も苛立ちも止める術がありませんでした。仕方なく家まで送り、車を降りた彼女に何か声を掛けようとしましたが、それを制するように彼女は苛立ちのこもった声で「またね」と言いました。何か言わなきゃと思うと「またね」をかぶせてきて、何も言わせてくれませんでした。
「ごめんね。薬やめるから。大丈夫だから」
帰宅後、彼女からのラインを読んでも本当に大丈夫か、不安が募るばかりでした。突然の断薬は苦しい。耐えられるのか。「医者に相談してからにしよう」と何度言っても聞きません。そして日々様子を気にする私に彼女は言いました。
「心配されるのがしんどい。苦しい。大丈夫だからしばらく何も聞かないで。会おうって言わないで」
自分もピンチ
彼女が本気で言っているのが分かりましたし、下手に刺激するのも怖かったので受け入れることにしました。私は私で借金の返済とも向き合わなければなりませんでしたから、そちらの対応を考えることにしました。この時点で銀行に300万、消費者金融4社に240万の借り入れがありました。毎月の支払いは約10万円。このままではまずい。今更ながら自分の置かれている状況にかつてない危機感を抱いたのでした。
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