感情の機微は、ブログの胎動だと思う。
つまり感じたことや思ったことというのはブログにとって話題になる。私の場合は日記であるが、その類を運営するうえでも、やはり心の動きというのは記事にしやすい。
怒り。
それは私にとって日記を書くにあたっての動機である。世の中の理不尽に対する鬱積をここで吐き出すのである。読んでくれている方々には申し訳ない思いでいっぱいであるが、しかしどうしても言いたいことってあるじゃん?
本日もそれがあった。2点ほどである。簡易的に申し上げたい。
まず一つ目である。会社のゴミ箱の手前。赤い油の皮膜が付着したレンゲが落ちていた。麻婆丼でも食ったのだろうか。ゴミ箱の開口部にも赤い皮膜が点として残っていた。おいおい。ゴミ箱にちゃんと入れろ。というかこういったものはレジ袋とかに入れて捨てろ。と思った。
そして二つ目である。和やかな会話の流れ。それをぶった切る魔法の言葉がある。「いやいや、冗談じゃなくて」というフレーズである。これを使うと忽ちにして愛想笑いなども消滅する。真面目なのは素晴らしいが、雰囲気を壊すなよ。と思う。
普段なら上記のことについてそれぞれ3000字は書ける。2記事分である。しかし今日は書けない。怒りが湧かない。なぜか。息子がかわいいからである。
私はふだんスマホで日記を書いている。アイフォン7という端末である。アイフォン7には、まずロック画面と呼称される0と1の集合体が表示される。そのロック画面には使用者が任意の画像を設定できる。そこに設定してしまった。
私のかわいい染色体。つまり息子。の笑顔。包括したマイナス感情のすべてを光の彼方へと葬り去る最強の笑顔を設定してしまったのである!やばいかわいい!
どうしたってその破顔を見てしまう。避けて通れぬロック画面である。そうするとどうなるか。これは怪奇現象なんだが、私の身体髪膚に満たされた憤慨は、いっさいの灰燼も残さず消えうせてしまうのである。
小癪である。くそ。めちゃくちゃかわいい。ここに貼りたい。しかし悪用を怖れている。眩耀な笑顔は陰惨な思いを散り散りに吹き飛ばす。まじで世界でいちばんかわいい。
そして私は清澄な心を手に入れる。たいていのことが許容できてしまう。
だからレンゲで奮った怒りも、悪寒を催す空気の厭悪もスマホを見て「やばいめちゃかわ!」で済む。
たぶん理不尽な暴力をうけたって許せる。心の凪。人情泰平。いま私の心を動かせるのはこの笑顔だけかもしれない。
「かわいいは正義」というのはこういうことだと思う。
「勝てば官軍、負ければ賊軍」なんてもいう。これは勝利を収めたほうが正義、ということである。なぜなら勝てばその土地などを侵略し植民地化し、かりそめなものであっても泰平を導くことが出来るからである。
つまり、勝利のなにがえらいって和平を強制的にであっても扇動できるからってことではないだろうか。そしてその和平を成立させる力を正義と呼ぶのではないだろうか。
だから、それだけで心の平穏無事、和平を誘える「かわいい」っていうのは正義なのである。かわいいものを見るだけでどんな牙も折れてしまう。だから平和を維持したいなら全人類が深田恭子と結婚すればいい。