ドイツを代表する文豪で、数々の名作を残したヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(Johann Wolfgang von Goethe)は含蓄ある言葉もたくさん残されております。
KIKUが初めて彼の作品に興味を持ったのは『ファウスト』でした。
当時は、あらすじに書かれている世界観に惹かれて、韻律はおろか、時代的・宗教的背景も分からないまま読んだので、馴染みのない難解な表現に四苦八苦した苦い思い出があります。
しかし一方で、所々に散りばめられた非常に共感・納得させられる一節に触発されて、KIKU自身が少し賢くなったような満足感・充実感もありました。これらの言葉は、大人になった今、なおさら心に響くような気がいたします。
皆様もゲーテの言葉の奥深さを改めて堪能していただけたら大変嬉しく存じます。
彼の素晴らしい言葉を挙げたら枚挙にいとまがありませんが、今回は『処世のおきて』という詩をご紹介いたしたいと思います。
Willst du dir ein hübsch Leben zimmern,
Mußt dich um's Vergangne nicht bekümmern;
Das Wenigste muß dich verdrießen;
Mußt stets die Gegenwart genießen,
Besonders keinen Menschen hassen
Und die Zukunft Gott überlassen.
―Johann Wolfgang von Goethe, 『Lebensregel』
気持ちよい生活を送ろうと思ったら
済んだことをくよくよせぬこと
滅多なことに腹を立てぬこと
いつも今を楽しむこと
とりわけ、人を憎まぬこと
そして、未来は神にまかせること
日本語訳は、概ね高橋健二氏の翻訳を参考にしております。
ゲーテの日本語訳は、個人的に格調高い文章が多いような気がいたします。しかし、彼の翻訳は簡潔で親しみやすく、心に馴染む素敵な日本語訳ではないかと思います。
あまり難しいことを考えずに潔く生きることが、気持ちよく生活する秘訣のようです。とても単純なことばかりだけれど、常に行うのはなかなか難しいことかなと実感いたしております。