「前乗り後降り」10月に社会実験へ 京都、市バス懇話会
京都市バスの車内混雑緩和策を考える第1回有識者懇話会が1日夜、京都市右京区で開かれた。市交通局が、均一運賃区間の市バスが乗り放題の「一日乗車券」(500円)の値上げと、地下鉄全線も利用できる「観光一日乗車券」(1200円)の値下げを来春に行う方針を説明し、出席者はおおむね賛成の意向を示した。また、交通局は、乗車時に運賃を支払う「前乗り後降り」方式の社会実験を10月をめどに行うことも報告した。
懇話会の委員は大学教授、観光業界や市民の代表ら7人で土井勉・大阪大特任教授が座長を務め、来年1月まで計6回開く。今夏までに、一日乗車券と観光一日乗車券の料金差を縮める価格案を考え、市バスの乗降方式の変更については、社会実験の結果を踏まえて導入の是非を検討する。
第1回懇話会では交通局担当者が、一日乗車券は700円から500円に値下げした2000年度以降に発売枚数が増え、15年度で614万枚と00年度の6倍以上に達したと説明した。「3回乗ればお得で、市バスに観光客らの利用が集中している。近年は均一運賃区間が郊外にも広がった」と述べ、値上げの必要性を強調した。
観光関係などの委員は「外国人観光客に市バス攻略法として広がっており、1日10回乗った人も聞く」「修学旅行生が一日乗車券で市内を回る際、混雑した市バスに乗られないことも出てきた」と指摘し、「『市バスは便利』とすでに認識された今、値上げは当然」と意見を述べた。
一方、発売枚数が伸び悩む観光一日乗車券を値下げし、市バスと地下鉄を組み合わせた観光へ誘導する点に関しては、外国語が堪能な市バスコンシェルジュの委員から「外国人には乗り換えが分かりにくく、混雑していても一本で行ける市バスを利用する傾向がある」として、乗り換え案内の充実が不可欠だとの注文が出た。
【 2017年06月02日 22時20分 】