安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)の獣医学部新設に関連し、民進党は2日、文部科学省が内閣府から「官邸の最高レベルが言っている」などと言われたと記録された文書や、この文書が添付されたとみられるメールの写しを入手したと明らかにした。民進はメールの送信先を伏せて示したが、朝日新聞の取材で、学部新設に関わる文科省専門教育課の職員ら約10人の実名が記されていることがわかった。

 民進はメールと文書が省内で共有されていた可能性があるとして、文科省に調査を要求。同省は「大臣(松野博一文科相)に報告する」と述べた。

 民進は2日の調査チームの会合でメールや文書を示し、「匿名の文科省関係者から入手した」と説明。朝日新聞は同一の文書を入手しており、5月18日付朝刊などで報じた。文科省は当時、この記事をもとに省内で調査したが、松野文科相は同19日、「文書の存在は確認できなかった」と発表。再調査しない考えを示している。

 メールには送信日として昨年9月27日の日付があり、文科省専門教育課の企画係長と、内閣府との窓口である同省行政改革推進室の管理係長が交わしたと記録されている。文面に「昨日の概要を共有します。こなし方については、現在局内で検討中です」とあり、「280926藤原内閣府審議官との打合」という名のファイルのアイコンが記されている。

 文書は「藤原内閣府審議官との打合せ概要(獣医学部新設)」との題名で、これがメールに添付されていたとみられる。メール送信の前日にあたる昨年9月26日の日付と時間が記載。「対応者」として内閣府審議官、文科省専門教育課長ら4人の名が書かれ、内閣府側が「平成30(2018)年4月開学を大前提に、逆算して最短のスケジュールを作成し、共有いただきたい」「これは官邸の最高レベルが言っていること」と言ったと記されている。

 民進の玉木雄一郎幹事長代理は2日の調査チームの会合で「(文書が添付された)メールを組織として共有していることがうかがわれる」と指摘した。(小早川遥平、土居新平、中崎太郎)