部屋を借りたい
ここまで私たちがボロボロになる前。3月のことでした。彼女の借金をたてかえてきたおかげで私の経済状況はどんどん悪化していました。それでも「まだ何とかなるだろう」と思うことができるぐらいではありました。そんな折り、彼女が「部屋を借りたい」と言ってきました。
過食
彼女の大きな悩みの一つが過食症です。当初は不眠解消に悩んでいましたが、昨年末ごろからストレスによる過食症を引き起こしてしまいました。不眠や不安解消のために病院で薬の処方を受けていましたが、気づけば、この薬をやめると食欲が抑えられなくなっていました。食べても食べても止まらず、しまいには吐いてしまう。食べるまいと断食をする。ストレスがたまる。だから薬もやめられないという悪循環。
元々、服用していた薬は耐性がつきやすく依存もしやすいものでした。だから私は飲み続けるのは危険、減薬していこうと言い続けてきたのでした。
医師にも過食の悩みを相談し、薬を何度か変えてみましたが、ひどい下痢などの副作用を起こすことが頻繁で結局、彼女は元の薬でないとダメだと譲らなくなりました。やむなく医師も数カ月かけて減薬していきましょうと治療計画を立ててくれました。
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頓挫した計画
そんな中で彼女が昨年末からずっと願っていたことが部屋を借りることでした。彼女も私も母親と暮らしています。私の場合、年老いた母を一人にするのはどうかという気持ちもありましたが、理由はともあれ、彼女からそんなことを言われるのは私にとっても嬉しいことでもありました。実は昨年末にも見学に行き、契約をするかという段になって彼女が大借金をつくってしまい、計画は頓挫したままになっていたのでした。家にいたらダメになる
実家では、母親がふんだんに料理を用意する。用意しなくても何かしらの食べ物がある。過食がひどくなるばかり。彼女は母親に何度も悩みを打ち明けていましたが、深刻な状況を理解してもらえないでいました。だから家を出たいというのが彼女の希望でした。「家にいたらダメになる。本当に頑張る。私も家賃を払うから」
すでに部屋も探しているというので見学にいきました。築15年ほどの2LDK。ここにしようかと決めて、入居申し込みの準備をしていたときでした。
「いつ引っ越せる?とにかく早くして」
焦っているのが分かりました。申し込みや審査などの手続きの流れを説明し、もう少しだからと伝えました。
嫌な予感
彼女から「死にたい」と連絡があったのは翌日の夜中でした。家を出ることや病気のことをめぐって母親と大げんかし、家の中で暴れまわったと言うのです。
慌てて彼女のもとに向かいました。「もしかして…」。嫌な予感は的中。またホストに行っていました。
彼女の給料ではとても支払えない。引っ越し資金はもちろん、私の借金返済用資金も危うくなりそうな金額でした。支払いは3月末。数週間、出来うる限り彼女にも頑張ってもらい、支払いを済ませました。
何もできなくなったよ
「もう何かあっても助けられない。本当に治療を最優先に考えてくれ」「これで僕には何もできなくなった」
「引っ越しもできなくなったよ…今度こそ一緒に住めると思ったのに」
「ごめんね」
力なく答えた彼女は言いました。
「今度こそ薬をやめる。耐えてみせる」
私は不安を覚えつつ彼女の言葉を信じるしかありませんでした。
信じるというか、彼女の決意にすがるような気持ちでした。
けれども、そんな私の気持ちはあっさり踏みにじられたのでした。
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