2chの一部界隈だけかと思ったら、産経新聞とか、あろうことか一部の政治家まで「あのうさんくさい奴は国連とは関係ない個人が勝手に言ってるだけだ」と勘違いしているようなので。
国連人権理事会から任命された人権問題を調査するための専門家で、各国の人権問題に是正を勧告したり、理事会に報告書を提出する権限を有する人。
40人(リーダーの数なので実際は40チーム)ほど任命されており、それぞれ「プライバシー問題」とか「児童問題」といったテーマを担当している。あまりに問題の多い国については「北朝鮮担当」みたいなのが付くこともある。
この場合の「個人」は「国家から独立して」という意味であって、「国連と無関係」という意味ではない。つまり、あるテーマをフランス人が担当していても、それはフランスの利益代表という意味ではないし、そのテーマがフランス枠というわけではない、ということ。
まず国連の見解というものはそもそも存在しない。総会で非難決議が採択されたとか、各理事会で非難決議が採択されたとか、そういうことはあっても「国連」自体は意思を持たない。
なのでたとえ国連人権理事会で日本を非難する決議が出たとしても、それはあくまで「非難決議が採択された」であって厳密には「国連の見解」ではない。そんなものはないのだから。
ただ慣用的には国連機関が非難決議などを出した場合は「国連が~」という言い方をすることは多い。「北朝鮮への非難は国連の見解ではない」と強弁したところであまり意味はないからだ。
それはその通り。特別報告者は人権理事会に「報告書」を提出するだけである。
ただしこの「報告書」というのはマスコミの記事とかそういうものではなく、れっきとした人権理事会の公式文書であり、これは要するに「報告書の内容は次の人権理事会で議題に上がる」ことを意味する。
人権理事会で吊し上げられてもちゃんと反論できる自信があるのなら、報告書なんぞ取るに足りないと言えなくはない。ちょっと前に話題になった援助交際13%問題など、反論によって(一部が)撤回されたものもあるにはある。
人権理事会が裁判所で、特別報告者は捜査員+検察、報告書は示談勧告+起訴状、日本政府は被疑者、と考えると多分近い。被疑者が検察の勧めてきた示談を暴言吐いて蹴ったので、検察は起訴状を裁判所に送る、と。
別にどうもならない。何を言われてもガン無視している国は存在する。例えば北朝鮮とか、日本とか。
ただし人権状況は外交上の不利益に繋がることも少なくないことは留意すべきである(例えば日米地位協定は日本の警察の人権状況が著しく悪いことを口実に延長され続けている)
「特別報告者は国連人権理事会が公式に任命した人物であり、国連人権理事会は特別報告者に人権問題への勧告を行う権限を与えており、報告書は国連人権理事会の議題の公式なたたき台であり、いつも通り逆ギレで100回嘘をつけば日本国民だけは騙せるかもしれないが、このままほっとくと人権理事会で非難決議が出る」ということをなるべく簡潔に書いたつもりだったけど、これでもなお「メディアガー野党ガー」と喚く馬鹿が出ることに衝撃を受ける。