捜査情報漏えいか…愛知県警警官、容疑者に
福岡市博多区で昨年7月、警察官を装った男らに7億6000万円相当の金塊が盗まれた事件で、愛知県警の複数の警察官が逮捕前の容疑者側に捜査情報を漏らした疑いがあることが2日、捜査関係者への取材で分かった。福岡県警が捜査で容疑者らの携帯電話を通信傍受している過程で判明した。捜査対象になっていることや家宅捜索の予定などが漏れた可能性もあり、福岡、愛知両県警が事実関係の確認を進めている。
捜査関係者によると、福岡県警は今年に入って通信傍受法に基づいて容疑者側の携帯電話の通話内容を傍受していた。その過程で、愛知県警の警察官とみられる複数の人物が容疑者側と会話していることが判明した。福岡県警は愛知県警にこのことを伝えている。
窃盗容疑で逮捕された首謀者の一人とみられる野口直樹容疑者(43)は今年3月、被害者側に示談金計1億5000万円を示した上で被害届を取り下げるよう持ちかけていた。福岡県警は、野口容疑者らが愛知県警の警察官からの情報提供で自分たちが捜査対象になっていることを知り、示談に持ち込もうとした可能性もあるとみて調べている。
通信傍受は他の捜査手法では容疑者を特定できない場合などに限定し、裁判所の令状に基づき電話や電子メールなどを傍受できる。2000年8月の通信傍受法施行時の対象犯罪は薬物犯罪や組織的殺人など4類型だったが、法改正を受け昨年12月から詐欺や窃盗など9類型が加わっている。
事件は昨年7月8日午前9時半ごろ発生。福岡市博多区博多駅東1のビル1階で、警察官風の服を着た男らが貴金属会社役員の男性らに「警察、警察」などと声をかけ、男性が売却するために持っていた金塊160キロなどが入ったアタッシェケースを調べるふりをして車に積み込み逃走した。
愛知県警では13年9月、指定暴力団山口組弘道会と密接な関係にあった風俗店グループの実質経営者に捜査情報を漏らしたとして、殺人事件などを担当する捜査1課の警部が地方公務員法(守秘義務)違反容疑で逮捕される事件もあった。【宮崎隆、柿崎誠】