前回の記事で、「へぇ~情報」が圧倒的に増えたことで、ユーザーはどの情報を信用すれば良いのかがわからなくなり、その結果、Google検索の満足度が下がったという説明をしました。
前回の記事:なぜGoogle検索に満足できなくなったのか

しかし、だからと言って検索が集客の役に立たないというわけではありません。
検索には今、面白い役割が生まれています。
弊社はそれを『ハイブリッド検索』と名付けました。

この記事では、情報量が圧倒的に増えた現代に最適な集客方法として『ハイブリッド検索』を紹介します。

ハイブリッド検索とは

ハイブリッド検索は、ECショップ名を指名検索して頂くことを狙った集客方法です。

ショップ名が指名検索されると、クリック率も受注率も他の検索キーワードより高くなる傾向があります。
受注率で言うと、他の検索キーワードと比べて5~10倍違うようなこともありますので、ショップ名の指名検索数が増えるのは、ECショップにとって非常に嬉しいことです。

ハイブリッド検索の原理

では、早速ハイブリッド検索の原理を説明します。
ものすごく簡単です。

ハイブリッド検索は、ECショップの認知をFacebookやInstagramやLINEなどのSNSを使って広げショップ名を覚えて頂くことを目指します。
(LINEはSNSではないという意見があると思いますが、そこはこの記事の重要ポイントではないので気にしないで下さい。)
つまりショップ名を覚えて頂くことで、Googleでのショップ名指名検索を増やしていくわけです。

このようにハイブリッド検索の原理はとても単純ですが、

  • なぜSNSを使うのか
  • なぜ指名検索なのか

という理由を理解すると、今後あなたが自分で集客施策や集客方法を考える際にどのような切り口で突破口を見つければ良いのかがわかるようになりますので、理由の部分についても解説したいと思います。

ユーザーの利用意図

なぜハイブリッド検索の原理が成り立つのかというと、それはGoogleとFacebook等のSNSではユーザーの利用意図が異なるからです。

Googleを使う時、ユーザーは明確に「知りたいこと」があります
ですから、「あ、これだ!」というサイトが検索結果に表示されると、非常に高い確率でクリックされ集客に繋がります

Facebook等のSNSを使う時、ユーザーは「友達とコミュニケーションを取りたい」「ドヤ顔したい」という意識を持っています。
つまり、何か気になるコンテンツを見つけた時に「これを友達に教えたい」「こんなコンテンツを知っていることを自慢したい」という意識が働くということです。
この本質は、SNSではユーザーがコンテンツのブランディングに一役買っているということです。

こうして整理すると、

SNSでECショップの名前をブランディングし、その名前でGoogle検索してもらえるようにすれば、ショップ名の指名検索が増えるのではないか?

という仮説が見えてきます。

べびちゅでは、こうしている

弊社が運営しているベビー服EC『べびちゅ』では、SNSを使った集客の狙いを次の2つに分けています。

  1. ゆるく繋がっておく狙い
  2. ショップ名の指名検索狙い

2の「ショップ名の指名検索狙い」というのは、この記事でここまで説明してきた内容のことなのですが、これも1の「ゆるく繋がっておく狙い」との比較で理解すると集客の発想方法に幅が持てるようになると思いますので説明します。

ゆるく繋がっておく狙い

これは、以前紹介した『メディア分散型集客』で実現します。
以前の記事:8カ月で月間130万PV!後発ECのための集客方法

簡単に説明しますと、メディア分散型集客は「今は買う気がないお客様とゆるく繋がっておき、買う気になった時に一番に思い出して頂けるようにすること」が目的です。
そのために毎日色々なコンテンツを投稿し、買う気になったタイミングでそのコンテンツに掲載しているURLをクリックして頂き集客に繋げるのが狙いでした。

つまりメディア分散型集客はSNSから直接ECに集客するということです。

ショップ名の指名検索狙い

これは、この記事で紹介している『ハイブリッド検索』で実現します。

ハイブリッド検索も「ゆるく繋がっておいて、買う気になった時に一番に思い出して頂けるようにすること」という目的はメディア分散型集客と同じなのですが、狙いが異なります。

ハイブリッド検索では、何かを買う気になった時にSNSを見て頂いてからECサイトに誘導するのではなく、ショップ名をGoogleで直接検索して頂くことを狙います。

なぜ2つの集客方法を用意するのか

たまたまSNSを見ている時に買う気になった人にはメディア分散型集客が効きますが、ユーザーが買う気になるシーンはSNSを見ているシーンだけではありません。

子供のために「今度のお出かけで着て行く夏用のワンピースを買ってあげたいな」という話を夫婦でした時、わざわざSNSを見ることはありませんよね。
Googleでお気に入りのECショップを検索するはずです。
つまり、ユーザーがオフラインの時に起きた購買意思を拾うのがショップ名指名検索の役割なのです。

前回の記事でも説明しましたように、検索は競争が厳しすぎて検索だけからの集客を増やすことはどんどん難易度が上がっています。

そういう中でも集客を伸ばしていくためには、今説明した2つの集客方法を併用することが有効です。
なぜなら、様々な検索キーワードでの検索順位上位化を目指すよりも、競争相手が少なく難易度も低いからです。

集客の意図に合わせたコンテンツ作り

べびちゅでは同じSNSを使う場合でも集客の狙いを2つに分けているという説明をしました。
集客の狙いを分けるなら、コンテンツ作りもその意図に合うものにしなければなりません。

べびちゅでは、ゆるく繋がっておく狙い(メディア分散型集客)では写真を中心にしたコンテンツショップ名の指名検索狙い(ハイブリッド検索)では動画を中心にしたコンテンツという分け方をしています。

ショップ名の指名検索狙いを動画で実現している理由は、最近流行りのレシピ動画コンテンツを見ていて学びがあったからです。

あなたもレシピ動画コンテンツが自分のSNSに流れてきたのを見たことがあるはずです。
どのレシピも美味しそうで思わず見とれてしまうのですが、動画の最後に必ず動画を制作している会社のブランドロゴが表示されます。
kurashiruやTastemadeやDELISH KITCHENが有名ですね。

毎日あのような動画がSNSに流れてきますので、ちょくちょくブランドロゴを目にすることになるのですが、気付いた時にはもうブランド名を覚えてしまっています
そして、それらのブランド名でGoogle検索をしてしまうのです。

このようなユーザー体験の設計を見て、弊社も「なるほど」と思いました。

というのも、これまでべびちゅで作成してきた動画コンテンツは、ものすごい人数の方に見て頂くことが出来ているにも関わらず、受注数に関しては多かったり少なかったりと不安定なことが度々あったのです。

弊社はレシピ動画のユーザー体験設計を知って、動画コンテンツには受注とショップ名の指名検索という2つの役割があることを学びましたので、今は動画コンテンツの受注数が多いか少ないかだけで一喜一憂することはあまりありません。
長い目で見れば、動画コンテンツの積み重ねが確実にべびちゅというショップ名の浸透に役立つはずだからです。

逆に写真に関してはブランドロゴを印象付けることが難しいですので、素直に商品の魅力を伝えることに使い、ユーザーが買いたくなるタイミングが来るまでゆるく繋がっておくことを狙っています。

まとめ

いかがでしたか?

少し説明が長くなったかもしれませんね。
しかし広告に頼らずに集客をしようと思うと、この記事で説明したようなことを実際に自分の頭の中で考えて仮説を立てる必要がありますので、どのような思考過程を踏んで新たな集客方法が生まれたのかを説明させて頂きました。

でも、私は最初は単純に真似をしてみるだけでも良いと思っています。
いきなり自分で集客方法を考えるのは大変ですし、集客方法を考えること自体はECの最も大事な仕事というわけではありませんので、誰かが成功した方法をいったん真似してみるというだけでもOKだと思います。

「SEO対策の効果が出ない」

と悩むぐらいなら、ハイブリッド検索とメディア分散型集客の両方を実践してみて下さい。
この2つはあなたの努力にきっと応えてくれますよ。

さて次回の記事では、インスタグラムに焦点をあててハイブリッド検索を掘り下げてみたいと思います。
なぜインスタグラムに焦点をあてるかというと、ハイブリッド検索で使うSNSとして最も有効な存在だからです。
詳しく説明しますので、次回の記事も楽しみにしていて下さいね。