3 Lines Summary
- ・写真の体験を変える
- ・今見たものをすぐSNSで共有
- ・ウェアラブルの普及はあと5年
今や世界中に普及するスマートフォン。しかしそんなに遠くない未来に、スマホがなくなる日が到来するかもしれません。その時、人はどのようにコミュニケーションするのでしょう? 『ポストスマホ』の世界を探る特集 <最終回「ウインク」編>
写真の体験を変えるカメラ
BLINCAM CEO 高瀬昇太
弊社BLINCAMでは、写真の体験を変えたいということで新商品の開発をしています。その製品が「BLINCAM」というカメラです。
速水
これがBLINCAM。大きさとしては中指ぐらいのサイズといえるかな。これがどうすればカメラになるんですか?
高瀬
メガネにひっかけて使います。そしてウインクをするとシャッター音が鳴って写真が撮れます。
速水
ウインクに反応するっていうことはどこを感知してるんですか?
高瀬
こめかみあたりの筋肉の動きが、強いか弱いかをみています。なので普通の瞬きだと反応しないんです。撮影するときは両目をつぶっても大丈夫です。
久下
普通の瞬きに反応すると、ずっと連射しちゃうってことですもんね。
子どもの表情を見たまま記録したい
速水
「写真の体験を変える」とはどういうことでしょう?
高瀬
まずカメラやスマホも、手で持って写真を撮るのが当たり前だと思うんですが、それだと取り出したりする手間があるので、撮りたいと思った瞬間に間に合わないことがあります。
あと自分の場合は子供の写真が撮りたかったんです。子どもってカメラを向けると、嫌がって逃げたり変顔をしたりする。自分の見たまんまの自然な表情を、そのまま撮れないかなって思っていました。
高瀬
また、昔から「瞼に焼き付ける」という言い方がありますが、それをデバイス化したらどうなるんだろうと思って、ウインクで撮影するカメラを作りました。
今見たものをすぐSNSにアップする
スタジオでも高瀬さんに撮影を実演していただいた。
速水
写真はどうやって見るんでしょう?
高瀬
アプリにBluetoothで接続します。これが今、私がウインクして撮った写真ですね。アプリの画面を、左にスワイプすると削除、右で保存、上だとFacebookやTwitterにシェアします。
速水
じゃあ本当にカメラというよりも、自分の視点がそのままSNSにアップできてしまう。そういう所も含めて、新しい写真の体験ということなんですね。僕と久下さんは撮影されると思ってないから、自然な感じで写ってますね。
速水
久下さん、ちょっとやってみて。
久下
私って右目でうまくウインクできないのかも? 速水さんもやりますか?
高瀬
ちょっとコツがあって、ポイントとしてはウインクというより、ほっぺたをクイッと上げる感じですね。
速水
これってクシャミでも反応したりします?
高瀬
ほおの動きがウインクに近い形で動くと反応します。笑って口角が上がると反応するときもあります。
速水
でも、あまり誤写はしなさそう。あと軽いのでメガネが重くなる感じもないですね。
久下
これ私が取った写真ですね。へー面白い。
速水
確かに飽きないね。
ウェアラブルカメラの未来
高瀬
このマトリックスは、カメラのポジショニングです。きれいな写真を撮るのであれば、左下にあるデジカメとかスマホを使うということですね。
速水
なるほど、横軸の左側はハンディ、右はウェアラブル。縦軸の上はスナップで、下はちゃんとした写真という意味ですね。ウェアラブルでありながら手軽に写真が撮れるカメラ(右上)は今まで、あまり無かったっていうことなんですかね?
高瀬
ウェアラブルカメラというもの自体が、まだGoProぐらいしかないんですね。今後は、もっと出てきてもおかしくないとは思います。
高瀬
左上は、1年間に撮られる写真の枚数を示しています。
速水
最初は普通のカメラしかない時代で、次にスマホのカメラを1人1台持つようになったわけですね。
高瀬
さらに最近ではアクションカメラやドローンなど、手を使わないカメラが登場して、今までなかったシャッターチャンスも枚数もドンドン増えています。
ウェアラブルの普及はあと5年かかる
速水
ウェアラブルといえば「Google Glass」というメガネ型デバイスがありましたけど、写真を撮るなとか禁止令が出たりして結局、販売中止になっちゃいましたよね。ちょっとまだ、ウェアラブルに対して倫理上の障壁があるような気がするんですが、どう思います。
高瀬
その当時からだいぶ時間が経って、スマホで写真を撮るのが当たり前な時代に変わったのではないでしょうか。確かにプライバシーはちゃんと気にしなきゃいけない。このカメラは電車に乗るときや公共の場所ではパッとはずしてポケットにしまえます。
速水
「ウェアラブル」って以前から「普及しそうでしない」と言われていましたけど、今後はどうなるんでしょう。普及するまでどのぐらいかかると思いますか?
高瀬
今スマホってみんなが持ってて、すごく万能なんだけど、例えば写真を撮るにもステップが多くてちょっとめんどくさいと思うんです。万能であるがゆえに一つのことがちょっと不便みたいなことが結構ある。そこを解消するウェアラブルであれば割と普及はしやすいのかなと思います。ただ普及するまでには、さらにテクノロジーが進歩する必要もあるので、5年ぐらいかかってしまうんじゃないでしょうか。
【FLAG7 2017/05/01オンエア】本編動画はこちら
編集部
全6回でお届けした特集「スマホがなくなる日」、いかがでしたか?
「もしも世界にスマホがなかったら?」と仮定することで、近い将来をシミュレーションしたり、現状の課題を確認する、思考実験的な試みでもありました。
実際、未来はどうなるのでしょう? テクノロジーはますます進化して、私たちのコミュニケーションもがらりと変わっていくのでしょうか。
それではまた「スマホがなくなる日」にお会いしましょう。
【特集「スマホがなくなる日」】
第1回 『話す』なんてもう古い?!スタンプのように「触覚」で伝える『ふるえ言葉』
第2回 『ポストスマホ』の最有力が筒型スピーカーなのかは懐疑的
第3回 「Tシャツ短パンでお店に行くだけ」AIスタートアップが描く認証の未来
第4回 二日酔いのだるさもハック可能に。『知覚』の次にくる『超知覚』とは?
第6回 スマホカメラも「めんどくさっ」見たままの世界をウインクで撮る(この記事)