何も覚えていない
前回、財布が空っぽになった話をしました。彼女の手元には1万7千円しか残っていませんでした。
だけど何も覚えていない。その夜、彼女は仕事でした。
私が気づいたのは彼女が仕事を終えてから。
日中の行動についての記憶も「家にいたような気がする」とあいまいでした。
とりあえず話をしようと伝えて会いに行きました。
「もしかしたら自分が…」
自分のしでかしたかもしれないことの意味に気づいた彼女は意気消沈。
もちろん私も沈んでいましたが…
どうでもいいの!
「覚えていないのに何を話すの?」彼女はいらだちを顕わに言い出しました。
「何を?とにかく困るんだ。ちゃんと話を聞きたい」
思わず私も詰問調になってしまいました。
その瞬間、彼女のスイッチが入ったのが分かりました。
しまった!と思ったときには手遅れ。切れ出すとどうにもなりません。
「もう放っておいてよ。どうでもいいの」
自分をコントロールできず、日々自己嫌悪にさいなまれている彼女。
責めてはいけないと分かっていたのですが…
「今の状態は危険。いつも記憶をなくしている。病院にも行こう」
「立ち直る。頑張る。この前、ちゃんと話したばかりじゃない」
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もう無理なの
このままではいけない。懸命に説得しようとしましたが、必死すぎたのがいけなかったのか、彼女の反発心に火をそそいだだけでした。
「無理。もう無理なの」
彼女の興奮は募り、今までのことも含めて言い争うような格好になっていきました。
何度も約束を破り、墜ちて墜ちていく。このままではダメになる。
「やり直そうよ」
何度言ってきたことか。
けれど、大声でわめく彼女をどうすることもできませんでした。
生きる価値がない
途方に暮れて家に帰ると彼女からラインが来ました。「ごめんね。全部、私が悪い」
「思っている以上に荒れているの」
「ちゃんとしたいと思っても、知らない間に違う自分になっている」
「薬が切れると手や歯震えるの」
「どうしていいか分からないの。迷惑かけたくない」
「今の私、生きる価値がない」
「頼ってばかりで裏切って。そんな自分が嫌なの」
「だからしばらく放っておいて」
今月の返済期日まで3日しかありません。
その時の私には、どうすればいいのか考えることもできなくなっていました。
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