一昨日の晩、無駄にジャンクな葡萄酒を飲みすぎて、そろそろ眠ろうという最中に、なぜかふいにハワード・フィリップス・ラヴクラフト(Howard Phillips Lovecraft)の『ラヴクラフト全集1』の文庫本を手に取ってしまい、そのままフラフラと布団に潜り込み、『インスマウスの影』(The Shadow Over Innsmouth)を読み出してしまったという日記を昨日綴った。
関連記事:夜眠る前に『インスマウスの影』を読んでいたら、記憶がすっ飛んで朝を迎えたハワード・フィリップス・ラヴクラフト日記。
その時は大いに酔っ払っていたので、当然最後まで読みきれずに眠りに落ちたのだが、ずいぶんと久しぶりに読み返した『インスマウスの影』が頭を駆け巡っているこの数日、せっかくなので今回は、このラヴクラフトの代表作『インスマウスの影』をベースとして制作された映像作品をいくつか取り上げてみたい。
というわけで早速まずは、米国の女流監督イジー・リー(Izzy Lee)による『インスマス(原題:Innsmouth)』である。
Innsmouth DVDs have arrived, @littlemissrisk @dianamporter! #Lovecraft #indiehorror pic.twitter.com/aueZG54ODw
— Nihil Noctem (@NihilNoctemFilm) 2015年9月23日
ちなみに少しだけ余談だが、原作のタイトルにもなっている物語の舞台となる町の名前に関して、ぼくの持っている大西尹明訳の文庫では「インスマウス」となっている。しかし発音的には「インスマス」のほうが近いのだと思う。そのため表記としては「インスマス」となっているケースもよく見かける。個人的には「インスマウス」という響きが身に染み付いてしまっているが、たまには違う味もと思い、映像作品のカタカナ表記としては「インスマス」を使ってみたり、あるいはもとの「インスマウス」を使ってみたりと、作品の趣と今の気分で勝手に使い分けてみようと思う。どうでもいい話なので、先に進もう。
さて本作品は、ダイアナ・オルムステッド(Diana Olmstead)という名の女性刑事を主人公とした物語のようである。一応ラヴクラフトの同名小説をベースに置いてはいるようだが、原作とはずいぶん趣の異なった作品のようで、基本的には男性優位の世界が描かれているラヴクラフト作品において、本作品のキャストはほぼ女性で構成されている。
物語は、首の後に奇妙な咬傷の残る女性の遺体が発見されるところから幕を開けるようであるが・・・、そのティザー映像が公開されているので、興味のある方はぜひご覧いただきたい。
次に、 ジョセフ・クォン(Joseph Kwong)監督による短編作品に原作と同名の『インスマスの影/ザ・シャドー・オーバー・インスマス(原題:The Shadow Over Innsmouth)』という作品がある。
本作品の詳細についてはあまりよくわからない。ただおそらくYouTubeで全編が公開されている以下のCG作品なのではないかと思うのだが。そのパート1の動画を取り上げておくので、興味のある方はご覧いただきたい。もちろん続きもすべて公開されていますよ。
さて次、ジェームズ・ラター(James Latter)監督によるWEBシリーズ『ストレンジ・イオンズ(原題:Strange Aeons)』 。
もちろん本作品も『インスマウスの影』をベースとした作品であり、全4エピソードが公開されている。全体的に地味な作品ではあるが、個人的には悪くはないと感じたので、興味のある方はご覧いただきたい。ページには次のエピソードへのリンクが貼られているので、パート1のみ取り上げておく。
最後に取り上げるのは、スチュアート・ゴードン(Stuart Gordon)監督の『DAGON』(Dagon)である。
この「ダゴン」(Dagon)というのは、古代パレスチナのペリシテ人が崇めていた神であり、語源はヘブライ語で魚を意味するダーグと偶像を意味するアオンの合成語だとか、穀物を意味するダーガーンだとか言われているらしい。そしてもちろん、ラヴクラフトの『インスマウスの影』で語られるダゴンとは、この神をベースにしてラヴクラフトが創作したものである。
本作品に関しては個人的には未鑑賞なので、多くの言及は控えておくが、いずれ機会があれば鑑賞してみたいと思っている。
あっ、もうひとついちばん重要な作品に触れるのを忘れていた。
那須田淳の演出、そして小中千昭の脚本により日本でドラマ化された『インスマスを覆う影』である。
本作品をご存じの方は多いと思うが、ラヴクラフト原作の物語の舞台を日本に置き換えて映像化した貴重な作品であり、町の名前も「陰洲升(いんすます)」となっている。そして主演の佐野史郎をはじめ、真行寺君枝、河合美智子、石橋蓮司、六平直政、斉藤洋介などが出演している。上記のようにVHSにはなっている・・・、DVDあるいはBlu-ray化でもしてくれたら是非にも欲しいところだが、現時点でその予定はないようである。
細かな短編作品を掘り起こせば、この『インスマウスの影』だけに限ってもまだまだたくさんの映像作品があるようなのだが、今回はこれくらいに留めておこう。
ちなみに現在製作が進行している最新ホラー映画にも『ダゴン(原題:Dagon)』というタイトルのものがあり、おそらく『インスマウスの影』をベースとしているようなのだが、詳細に関しては今のところ一切発表されていない。
というわけで、『インスマウスの影』を何度も読み返している方も、まだ読んだことのない方も、今晩はぜひ夜眠る前に、布団に潜り込んで『インスマウスの影』を読んでみてはいかがだろうか。
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月白貉 - Mujina Tsukishiro