文科省前次官 当時の内閣官房参与から「決定に従えばよい」

文科省前次官 当時の内閣官房参与から「決定に従えばよい」
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学校法人「加計学園」が国家戦略特区により設置を計画している獣医学部をめぐり、文部科学省の前川前事務次官が1日、報道機関にコメントを出し、選考の途中に総理大臣補佐官以外にも内閣官房参与と面会し、「文部科学省は国家戦略特区諮問会議が決定することに従えばよい」などと告げられたと主張しました。
学校法人「加計学園」が国家戦略特区により、愛媛県今治市に設置する計画の獣医学部をめぐり、文部科学省の前の事務次官だった前川喜平氏は、今週、弁護士を通じて、コメントを発表し、特区の選考途中に和泉洋人総理大臣補佐官から官邸に呼ばれて、獣医学部の設置に向けた手続きを急ぐよう要求されたと主張しました。

前川氏は1日、新たなコメントを出して、去年8月下旬にも加計学園の理事で、当時、内閣官房参与だった木曽功氏の訪問をうけて、事務次官室で2人で面会したことを明らかにしました。

この中で木曽氏から「獣医学部を設置する件について早く進めてほしいので、よろしく」との趣旨の話があり、前川氏は木曽氏が加計学園理事であることは承知していたので、この話は加計学園のことだと受け止めたとしています。

さらに木曽氏からは「文部科学省は国家戦略特区諮問会議が決定することに従えばよい」との趣旨の発言もあったとしています。

加計学園理事で、当時、内閣官房参与だった木曽氏は、文部科学省のOBで、前川氏と面識があったということです。

木曽氏は「私人として前川氏に何度か面会したことはあり、獣医学部の話もしたかもしれないが、少なくとも圧力をかけた覚えはない」と話しています。

文科省前次官コメント全文

文部科学省の前川前事務次官が1日、報道各社に出したコメントの全文です。

「木曽功加計学園理事と私の面会の経緯は次のとおりです。昨年8月下旬、私は、当時内閣官房参与であった木曽功氏の訪問を受け、事務次官室で二人だけで面会しました。この場において、木曽参与から国家戦略特区で獣医学部を設置する件について、早く進めてほしいのでよろしくとの趣旨の話がありました。私は同氏が加計学園理事であり、かつ千葉科学大学学長であることは承知していたので、この話は加計学園のことだと受け止めました。その際、文科省は国家戦略特区諮問会議が決定することに従えばよいとの趣旨の発言もありました。私はこれを聞き置くにとどめ、面会の内容を担当の専門教育課に伝えました。その後、同氏からは9月から10月にかけて、2、3回電話で獣医学部に関する文科省の検討状況について問い合わせがありましたが、私からは引き続き検討中である旨を答えました。以上のことは間違いのない事実です。前川喜平」

官房長官「承知していない」

菅官房長官は午前の記者会見で、学校法人「加計学園」が国家戦略特区により設置を計画している獣医学部をめぐって、文部科学省の前川前事務次官が去年8月に、当時の内閣官房参与で加計学園の理事を務めている文部科学省OBの木曽功氏から「『よろしく』などと言われた」などとするコメントを発表したことについて「承知していない。承知していないからコメントは控えたい」と述べました。

また記者団が、「木曽氏は獣医学部新設をめぐり、『巨大なそんたくのかたまりだと思う』と述べているが、安倍総理大臣の意向が行政判断に影響を与えた可能性はないか」と質問したのに対し、菅官房長官は「全くない」と述べました。

民進蓮舫代表「証人喚問で疑惑解明を」

民進党の蓮舫代表は、記者会見で、「まさに、今の内閣は、『加計学園ファースト』体制だ。こうした体制を背景に、和泉総理大臣補佐官が、官邸の意向を、文部科学省の前川前事務次官に伝えて押し切った。この行政文書を、菅官房長官は『怪文書だ』と言い、前川前次官は、『本物だ』と言っている。この溝を埋めるには、国会での証人喚問を通じて、どちらが正しいのかを明らかにするしかない。まずは、前川前次官に、来てもらい、そこで不明な点があれば、さらにもう1人という形で、一つ一つ整理していきたい。内閣、特に安倍総理大臣は、丁寧に疑惑に答える立場にある」と述べました。

共産志位委員長「疑惑究明にふた 許されず」

共産党の志位委員長は、記者会見で、「内閣、総理大臣補佐官、内閣官房参与の3つのルートから文部科学省に圧力がかかっていたことが明らかになったにもかかわらず、安倍政権は、問答無用で疑惑究明にふたをしようとしており、本当に許されない態度だ。数の力があれば、あったことも無かったことにできると思ったら、大間違いだ。文部科学省の前川前事務次官など関係者の証人喚問に速やかに応じるべきだ」と述べました。