公正取引委員会は1日、電子商取引(EC)大手のアマゾンジャパン(東京・目黒)への独占禁止法(不公正な取引方法)違反の審査を打ち切ると発表した。
同社は通販サイトの出品者に競合サイトと同等の価格・品ぞろえを保証させる契約を結んでいたが、この契約条件の撤回を出品者に周知する。公取委は撤回の周知が確認でき次第、審査を終了する。
公取委は昨年8月、同社サイトが有利になるよう取引条件を求めたとして、同法違反の疑いで同社を立ち入り検査していた。
公取委によると、アマゾンジャパンは同社サイト上に書籍や美容製品などを出品できるサービス「マーケットプレイス」の事業者数十万者に対して、競合サイトよりも安く、豊富な品ぞろえを約束させる最恵待遇(MFN)条項とよばれる契約を、遅くても2012年以降に結んでいた。
立ち入り検査後、同社はMFN条項を撤回し、新規契約にも盛り込まないことを公取委に申し出た。公取委は改善策を受け入れ、審査を終了。同社は今後3年間、公取委に改善状況を書面で年1回報告する。
独占禁止法は事業者に対し、取引相手の事業活動を不当に拘束する取引条件を、不公正な取引方法の一つである「拘束条件付き取引」として禁止。MFN条項自体は独禁法違反ではないが、公取委は、EC大手のアマゾンジャパンが、優位な立場を利用して、MFN条項で常に最も有利な取引を続ければ、競合サイトの新規参入を妨げたり、競争をゆがめたりする恐れがあるとして、同法違反の疑いで審査していた。
公取委によると、同社は、事業者の競合サイトでの出品状況や価格を定期的にサンプル調査し、自社サイトと比較。MFN条項違反があれば、出品者にメールや面談で同条項の順守を求めていたという。