封印していた記憶
自分のことは相当恥を色んな所で書いて晒してきたつもりなのですが、まだ、ありました。
封印していた記憶が掘り起こされるようなことが先日あり、それで、あぁ、自分ってこういうことが原因で、そんな行動に出ちゃってたのか…となんとなくわかった気持ちになったので、自分に似たような誰かのためと、それから自分に似たような誰かと恋人関係にある人に向けて書いてみようと思います。
20代なのですが、22歳から4年間、ある男性と一緒に暮らしていました。
その彼はすごく父性が強く、頼りがいのある人でした。
何度も書いたので、ご存知の人もいると思いますが、私は幼いころに父が出て行ってしまって母子家庭で育ったため、頼りがいのある男の人をすごく求めていたんだと思います。
仕事で悩んでいると話を聞いてくれたり、お金がないときはお金をぽんとくれたり、なにより「映里と一緒にいたいから、一緒に暮らそう」と自分を家に住まわせてくれた人でした。
全部受け入れてもらったようで嬉しく、こんなに安心して落ち着いた気持ちになったことなんてこれまであったかなぁ、なんて思ったりしていました。
ところが、それがだんだん当たり前になってくると、なぜか私はむくむくと不安になりました。
「いずれ、彼は自分を見捨てるのではないか」
「モテる人だから、浮気するんじゃないか。浮気して私を捨てるんじゃないか」
そんなことが頭を離れなくなったのです。
そして、それと同時に、彼を神格視するあまり、彼が価値を認めないものは自分も認めなくなったり、彼の許可のない行動をとることを「喜んで(自らすすんで)」やめたりしていました(具体的には髪の毛を短くすることとかです)。
見捨てられ不安と、彼と自分との同一視が同時進行していくうちに、
「彼に捨てられたら自分は人生おしまいだ」というぐらい思いつめるようになってしまいました。
(しかし仕事はしていました。それなりに成果もあげていて賞をもらったりもしたのですが、今から考えると楽しい日々だったのですが、当時の見え方は少し違っていました)
そして、ついに私は自分を「見捨てないで欲しい」という気持ちを全身で彼に表現するようになりました。
それが、「仕事に行かないで欲しい」でした。
まだ、よく思い出せてないので、どういう時にそのスイッチが入るのか、いまいち思い出せないのですが、
おそらく、「彼が自分から離れて行ってしまう」と思いこむような、大きな仕事が彼に舞い込んできたり、楽しそうな交友関係が広がっていく話をされたり、そんな時にムクムクと「見捨てられる」不安が湧いてきて、そこから何かの引き金によって怒りに火がついて、「私のことが大事なら仕事に行かないで! 今日は一緒にいて! もし、仕事に行ったら私、死ぬかもしれないから!」となったのだろうと思います。
これの変形パターンで「その人とはつきあわないで!」「その人と絶交して!」というのがありました。
よく、うざい女の筆頭に挙げられる「仕事と私どっちが大事なの?」と聞く女性、いずれもそのもっとエスカレートしたパターンです。
最初、彼は何度か本当に仕事に行くのをやめてくれました(本当にごめんなさい)。
それで私が満足したかというと全然しないのです。
むしろ、後悔と自己嫌悪が襲ってきて最悪な気持ちになりました。
「人の行動を制限してしまうなんて、なんてことをしてしまったのだろう」
「自分は一体、なぜこんな馬鹿げた要求をしたのだろう」
そしてまた泣いて、彼がまた慰めてくれる、その繰り返し。
当然、お互い疲弊します。
ただ、彼が言ってくれていたのは、「映里は、落ち着いているときは本当に優しいし、自分のことをすごく考えてくれる。そういう優しい人といっしょにいたいって思うから、だから、大変なときを乗り越えられるんだと思う」
この言葉に甘えてしまった私は本当にバカだったと思います。
これは、境界性パーソナリティ障害の特有の「見捨てられ不安」から起こる問題行動なのだ、と後で私は知りました。
境界性パーソナリティ障害は、専門学校の精神疾患の授業の教科書に「その症状自体が、幼少時代のトラウマを持っている証拠」というふうに書かれているぐらいなので、子供時代の何かのストレス(おそらく親)に原因があるということも見当がつきました。
自分の行動のメカニズムがわかり、その原因に見当がついたら、対策を立てることができます。
ですから、多くはないでしょうが、彼氏に「友達と付き合わないで」と言ってしまう、「仕事に行かないで」と要求してしまう、それが聞き入れられないと「死ぬ」と喚いてしまう、そういう女の子がこれを読んでくれたら、私のように長く問題を抱える前に対策を立てることができると思うので、それは私にとって喜びです。
困らせる恋人とうまくいくための5つのコツ
さて、自分の問題に自分で向き合うのは当然ですがやるべきことです。
ですが、もう一人当事者がいます。それが恋人です。
では、恋人はどうしたらよかったのでしょうか。
それをちょっと書いておきます。
①できないことははっきり言う
「見捨てられ不安」というのは人に解消してもらえるものではなく、自分の心に年単位で向き合って少しずつ和らげていくものだと私は実感しています。ですが、そういう実感に辿り着く前に他人をコントロールしたことで急激にその「不安」が和らぐことを一度知ってしまったら、他人への要求はどんどんエスカレートしていってしまいます。
できないことは「できません」とはっきり言う事が大事になってきます。
②できる、といったことに対する約束は絶対に守る
「見捨てられ不安」を抱えている人にとって約束を破られることは「やっぱり自分は見捨てられるんだ」とさらにその不安を確信するための材料を得てしまう事にほかなりません。
そのため、「ゴメン、仕事に行かないでというお願いを聞くことはできない。仕事に行かないと僕はクビになってしまうし、クビになって求職活動をするようになったらもっと君と一緒にいられなくなるから。だから、仕事にはいくよ。その代わり、仕事から帰ってきたら、また会おうね」、この「また会おうね」が約束になります。この約束をした以上は必ず守るようにしてください。
③嘘やお試し行動に「取り合わない」
「見捨てられ不安」を持っている人は、自分がどれだけ問題行動を起こしたら相手が音を上げるか、チキンレースをしているようなところがあります。そのため、「死ぬ」とか、「今から家を出て行く」とか、とにかく相手の誠意を試すようなことをする事が良くあります。これには取り合わないようにしてください。嘘をついたとわかった時は「僕は傷ついたから君と話したくない」等、きちんと不快感を伝え、ペナルティを与えてください。「死ぬ」「家を出て行く」等の場合も対応しきれない時は「僕は今は対応できないから、警察を呼ぶね」等、相手に巻き込まれず自分のペースを保つことを心がけてください。
④自分の人生は自分で責任を持ったほうが楽しいということを知ってもらう
「見捨てられ不安」の人は、すぐに依存する相手を見つけて、自分の全存在と判断力を預けてしまいたいという欲求があります。しかしそれよりも自分の人生は自分で切り開いて、主体性を持ったほうが絶対に楽しいよ、ということを事あるごとに伝えてください。人のせいにして何もせずに腐っていくよりも、困難でも自分で解決する行動に出るほうが、実際のところ何倍も人生は面白くなります。
⑤あなたの味方であるということを伝える
人間は自由意志を持ってい行動しているので、誰のことをも100%意のままにすることはできません。当然のことですが「見捨てられ不安」を持つ人はそれを受け入れることができないのです。だから「仕事に行かないで」と言ってみたり「友達と付き合わないで」と言ってみたりするのです。「僕には僕の自由があり、僕は自分の人生を大事にしたい。でも、自分の人生の中には君がちゃんといるよ。時間がかかるかもしれないけど、絶対わかってもらえると思うよ」と常に伝えてあげてください。
そして重要なのは基準を作ったら絶対に「その日の気分」などで基準を緩めたり厳しくしたりしないことです。
いつも同じような態度と距離感で接してあげてください。
思いつくところではこんなところでしょうか。
長くなってしまったので一旦これで。
この件についてはまたかくと思います。