【社会】五輪費分担の大枠合意 都外350億円の結論先送り二〇二〇年東京五輪・パラリンピック開催費用を巡り、東京都と大会組織委員会、国、競技会場のある七道県四市は三十一日、一兆三千八百五十億円の分担について大枠で合意した。都外の会場の警備費や輸送費計三百五十億円の分担は結論を先送りした。 小池百合子都知事や森喜朗組織委会長、丸川珠代五輪相、各道県市の首長らが都内で協議。焦点となっていた三百五十億円のうち、通常の行政サービスで担える部分は自治体側の負担とし、五輪特有の特別な行政サービスの費用分担は今後の検討に委ねた。 丸川五輪相は、通常の行政サービスの例に、花火大会の規模の雑踏警備を挙げた。それ以上の手厚い態勢が必要な警備などは、都か国の負担となりそうだ。 協議終了後、埼玉県の上田清司知事は、通常の行政サービス分は「当然負担する」としつつ、それを超える分は「私たちには回ってこないと解釈できる」と述べた。都と組織委は各六千億円、国は千五百億円を負担すると決定。自治体側の業務は、五輪の立候補時に都などでつくる招致委員会が作成した開催計画書「立候補ファイル」などをもとに精査すると確認した。 ◆招致時原則を確認 会場自治体の要請受け 負担に反発してきた都外の自治体は、今回の合意を「パーフェクトに近い」(神奈川県の黒岩祐治知事)などと評価している。通常の行政サービスを超える費用の負担はないと解釈しているためだ。 都は当初、都外の自治体が負担する額を計四百億円と試算。だが自治体側の反発は強く、競技会場となる施設の営業補償費など五十億円を除外して譲歩した。それでも反発は続き、三百五十億円の分担を決めないまま、今後の協議に委ねて決着にこぎ着けた。 開催費用膨張に伴い、仮設整備費などの新たな負担を求められる懸念が出てきて、自治体側は「立候補ファイルの原則を守れ」と批判してきた。東京大会の開催が決まった後に、費用を抑えたい都の求めで会場を提供した自治体もある。想定外の負担を求められることに納得できなかった。 三百五十億円について、小池知事は「規模感ととらえてほしい」と説明。都幹部は「五月末の大枠合意に間に合わせるには、会場ごとに数字を精査するのは厳しかった」と話す。 都などは今後、通常の行政業務か五輪特有の業務かを仕分ける作業に移るが、調整は難航が予想される。五輪特有の業務とは何か。大会関係者に聞くと「まさにこれから整理する」と述べるにとどまった。 (唐沢裕亮、石井紀代美) ◆IOCに提出した開催計画書 <立候補ファイル> 開催都市に立候補する際、国際オリンピック委員会(IOC)に提出する開催計画書。2013年1月、東京大会の招致委員会が提出した立候補ファイルでは、競技会場のある都外自治体の責務として警備、医療、会場への輸送などを実施するとしている。費用負担については記していない。 (東京新聞) 関連記事ピックアップ Recommended by
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