茨城県取手市で2015年11月、市立中学3年の中島菜保子さん(当時15)が自殺したことをめぐり、文部科学省は31日、取手市教育委員会から経緯を聞き取った。文科省によると、「いじめ被害が考えられるのに、対応は不適切だった」と市教委を指導し、調査方法の再検討などを求めたという。市教委は同日夜、中島さんの両親に謝罪した。

 いじめ防止対策推進法では、子どもの自殺の要因にいじめが疑われる際は「重大事態」として調べることになっている。中島さんは日記にいじめをうかがわせる記述を残していたが、取手市教委は16年3月に「いじめによる重大事態に該当しない」と議決し、調査委員会を設置していた。両親はいじめ被害を訴え続け、市教委は今年5月30日になって議決を撤回した。

 市教委から聞き取った文科省児童生徒課の担当者は、取材に「今後の調査を、白紙から検討してほしいと求めた。法律の理解不足という批判は免れない」と述べた。市教委の矢作進教育長は31日夜、中島さん宅を訪れ、両親に「いじめによる重大事態ではない、という決議を撤回しました。大変申し訳ありませんでした」と謝罪した。いじめの事実があったことも認めたという。(根岸拓朗、佐藤清孝)