経済産業省が31日発表した4月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整済み)は103.8となり、前月に比べて4.0%上昇した。指数は14年1月を上回り、消費税率が上がる前の駆け込み需要に対応した増産時を上回った。海外経済の回復が生産の伸びを支えている。ただ、在庫の動きを見ると、景気回復が「後半戦」に入ったことを示唆する指標も出てきた。
4月の在庫指数は前月を1.5%上回った。前月を上回ったのは5カ月連続で、直近の底だった昨年11月と比べると4.4%上がった。経産省は「在庫水準の上昇はややピッチが速い」と警戒感を見せる。
生産と在庫のバランスを示す「在庫循環図」をみると、4月は企業が商機を逃さないように積極的に在庫を増やす「在庫積み増し局面」に転換した。3月までは生産が出荷に追い付かず在庫が減る「意図せざる在庫減局面」だった。これは「景気回復期の後半戦にみられる現象」(経産省)だ。
財別にみると、在庫の押し上げに効いたのは乗用車だ。昨年11月と比べると、4月の在庫水準は34%も高い。
経産省は「大型連休を前に船が調達しづらくなり、輸出用の車が船待ち状態になるという一時的な要因」と説明する。連休明けに在庫がはければ、再び生産が勢いを取り戻すかもしれない。ただ1月から3カ月連続で台数が前年同月を下回った米国向け自動車輸出など海外需要の変調を示す不安材料も出始めている。
在庫と生産のバランスが示すように景気回復が後半戦に突入しても、すぐに景気がピークをつけるとの見方は少ない。自動車の生産が勢いを落としても、代わりのけん引役として期待されるのが産業用ロボットだ。1990年前後のバブル期を超えた有効求人倍率と並行するように、省力化需要に応えるロボット生産も増加している。