元JPモルガン自己勘定取引責任者のファンド、14カ月連続のマイナス
- ボラティリティー上昇見込む取引が裏目、運用資産は半減
- ポジションは維持、「現水準で下方リスクは少ない」とファンド
ヘッジファンドのマネジャー、ディーパック・ガラティ氏にとって、針のむしろに座らされているような1年だったに違いない。最も利益が出るはずのトレードで、逆を突かれているからだ。
JPモルガン・チェースの元グローバル株式自己勘定取引責任者のガラティ氏が運用するアルジェンティエール・ファンドは、今年4月まで14カ月連続でパフォーマンスがマイナス。2013年の運用開始以来記録していた通算のプラスを帳消しにした。市場のボラティリティー拡大に賭けたことが裏目に出たためで、運用資産はピーク時からほぼ半減した。対照的に、ボラティリティー指数が低下すれば上昇する上場投資信託(ETF)はその14カ月の間におよそ4倍になった。
ファンドの運用資産は現在12億ドル(約1330億円)前後。ガラティ氏は撤退することなく、近く市場に急変動が訪れるとみてポジションを維持している。
アルジェンティエールのマーケティング責任者バリー・トーマス氏によると、株式を中心に市場のボラティリティーは適正水準から乖離(かいり)している。同氏は地政学的な不透明性、商品価格の変動、中国による金融システム内のレバレッジ解消、米金融当局のバランスシート縮小開始への動きを挙げ、これらが市場の混乱を喚起する可能性があると指摘した。
トーマス氏はインタビューで、「低ボラティリティー環境がまだしばらく続く可能性はあるが、現時点からさらに大きく低下を続ける公算は小さい」と発言。「1年前に比べ、現水準では下方リスクは極めて限られている」と続けた。
シカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー指数(VIX)は2年にわたり低下を続けた上、フランス大統領選でマクロン氏が当選した後に一段と低下。年初から5月26日までに30%低下し、今月には5年平均を約35%下回って10年ぶりの低水準を付けたこともあった。ガラティ氏はインタビューに応じなかった。
原題:Gulati’s Hedge Fund Pummeled as Equity Markets Evade Volatility(抜粋)