膨らみ続ける日本の財政赤字。日本は財政破綻してしまうのではないか。破綻するのであれば、いつ頃破綻してしまうのだろう・・・。そんな風に不安に思ってらっしゃる方もおられるのではないでしょうか。
そこで、当サイトでは各種資料を基に、現時点での財政破綻の可能性や、将来の財政破綻時期を予想してみたいと思います。
2016年 日本財政状況
まずは、現時点での日本財政状況を確認することで、日本財政破綻の可能性を探っていきましょう。
上の図は、日本の債務残高、日本国民の金融資産、債務残高の対GDP比の推移です。
2016年、日本は26兆円の国債債務残高を積み増し、財政を黒字化させることは出来ませんでした。しかし、債務残高の増加ペースを抑えることには成功しています。
一方、国民金融資産は微減しています。また、債務残高の対GDP比も緩やかな上昇を続けています。
次の図は、税収と債務の利払費を示したものです。
2016年は利払費が1.1兆円増加しましたが、税収はそれを上回る1.2兆円の増加でした。債務残高が膨らんではいるものの、日本国債の金利が低いため、幸いにも利払費が抑えられている状態です。
それでは次に、10年国債利回りの推移を見てみましょう。国家財政破綻の危機に瀕した場合、その国の国債について信用がなくなるため。金利が高くなる傾向があると言われています。返済されるかどうかわからない債務ですから、たくさん金利をもらわないと、そのリスクに見合わないと皆が考えるためです。
昭和61年からの10年国債利回りの推移を示しましたが、現在、利回りは初のマイナス水準に突入しています。国債利回りから考察しても、現在のところは、財政破綻の兆候はまったく感じられない状況です。
日本財政が破綻する時
以上から、現時点では日本に財政破綻の兆候は見られないということが出来ます。しかし、将来的に次のような事態が発生した場合、財政破綻の危険があるのではないかと考えています。
①債務残高が国民金融資産を上回ってしまった場合。
日本は、債務残高とは比較にならないくらいたくさんの国民金融資産があります。そのため、それが借金の担保になっていると考えることもできます。実現できるかどうかは別として、理論的には、いざとなればそこに課税して返済してしまえばいいからです。
しかし、債務残高がその国民金融資産を超えてしまった場合、担保となる国民金融資産がないわけですから、危機に陥るのではないかと考えています。
②利払費が税収を上回ってしまった場合。
最低限、毎年の利息は確実に返済していかなければなりません。しかし、税収で利息の支払いがまかなえず、利息の支払いのために借金をしなければならなくなった場合、加速度的に債務が増えてしまいます。
日本財政破綻時期予想 2016年版
将来的にこのような事態が発生した場合、日本財政、あるいは日本経済に何らかの危機的状況が発生するのではないかと思います。そこで、日本財政破綻を上記2点いずれかの状況が発生した場合と定義し、その時期を次のような単純な仮定によって算出します。
①国民金融資産→現状維持
債務残高→昨年度から今年度にかけての増加額と同じだけ毎年増加する。
②税収→現状維持
利払費→昨年度から今年度にかけての増加額と同じだけ毎年増加する。
この仮定に従ってシミュレーションした結果は次のようになります。
この仮定によると、2050年に債務残高は国民金融資産を超えてしまいます。
また、利払費は、2060年に税収を上回るという結果になりました。
よって、財政破綻の時期を2050年と予想します。
2015年版の予想では2045年に利払費が税収を上回る計算でしたが、、昨年度よりも税収が増えており、財政状況が改善しているため、財政破綻予想時期が5年伸びています。
今後、経済をさらに成長させ、国民の金融資産が増加し、税収も増やすことが出来れば、財政危機はもっともっと先延ばしにすることが出来ます。しかし、現状のままではおよそ35年後に危機を迎える可能性があるというのも、また事実です。
あまりにも単純な仮定による試算ではありますが、今後も毎年、財務省や日本銀行の発表を受けて、予想を更新していこうと思います。
参考:
平成28年度予算政府案 我が国の財政事情(財務省)
債務残高の国際比較(対GDP比)(財務省)
国債金利情報(財務省)
資金循環参考図表(日本銀行)