「もしも僕がしゃべれたら(If I Could Talk)」という動画がYOUTUBEで公開されている。アメリカのショーン・ウェリング監督による作品で、2015年に数々の賞を受賞した。特に犬を飼っている人には、一度は見てほしい作品だ。
川沿いの道をジョギングしている男性が、川縁に何かを見つけたところからこの物語は始まる。男性は土手を降り、その黒い袋を引き上げた。袋の口を開くと、中から顔を出したのは、まだ幼いラブラドール・レトリーバーだった。
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まずは動画を見てほしい。
IF I COULD TALK / BEST DOG FILM / OFFICIAL VIDEO
犬と男性の物語
子犬が顔を出すと同時にピアノが鳴る。以降、セリフや音響は一切なく、ピアノの奏でる音楽に載せて物語は進んでいく。
imege credit: YouTube
男性は救い出した子犬と共に暮らし始めた。男性と犬との暮らしが描かれる合間に、年老いた犬の顔が差し挟まれる。そう、これは犬による回想なのだ。
その犬の想いが文字によって表される。
ボクが人間の言葉を話すことができたらいいのになぁ。
君に知ってほしいんだ。
助けてくれてありがとね
愛してくれてありがとね
この想いは、言葉を変え、表現を変えて、繰り返し現れる。
君にどうしても伝えたいんだ。
本当に感謝しているよ。
君のしてくれたことすべてに。
このことさえも・・・
犬は男性と過ごした全ての時間を覚えているのだ。
砂浜で一緒にしたボール遊びや、ドライブに行ってアイスクリームを食べたこと。そして、男性が恋に落ちて結婚し、娘が生まれたときも犬は常に一緒だった。
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娘の成長も、犬は男性と共にずっと見守っていた。
そして一緒に数々の冒険にも出かけた。
imege credit: YouTube
あの晴れ渡った日々の出来事をちゃんと覚えてるよ
あの時は、いつまでもこうやって
ずっと走り続けられるように感じていたんだ
しかし、犬の寿命は人よりずっと短いのだ。犬は人間より先に年老い動けなくなる。老化は痛みを加速させる。
imege credit: YouTube
病院に向かう日、犬はその時が来たことを知る。
そしてそのときにずっと一緒だった男性が一緒にいてくれることを喜ぶのだ。
「怖くないよ」と犬は思う。
そして男性が悲しんでいることもわかっている。
耳の後ろを掻いてよ、そこが好きなんだ
僕は大丈夫だよ。こうやって君がそばにいてくれたから。
imege credit: YouTube
最後は、犬と遊んだ海辺で、ボールを握ってたたずむ男性の後姿が映し出される。そして二つのフレーズが引用される。
「犬を愛するまで、人の魂の一部は眠ったままなのだ」―アナトール・フランス
「もし天国に犬がいないのなら、私は天国じゃなくても、犬が待っている場所へ行きたい」―ウィル・ロジャース
この物語が伝えたいこと
さて、の犬の「このことさえも(Even this)」という言葉は何を示すのか?
この作品を最後まで見た人は気が付いたことだろう。これは、単なる「犬の一生の物語」ではない。
犬が自分の一生を回想する場所は、病院へ向かう車の中、そして病院の診察台の上である。病院へきたのは、すでに治療のためではない。
安楽死のためなのだ。日本ではまだあまり普及していないが、この作品が作られたアメリカでは、安楽死は一般的な選択肢であり、愛すべき犬の最期をどうするか、自らが決断しなければならない飼い主の重要な役目なのである。
imege credit: YouTube
まず欧米の安楽死は、日本の保健所などがする殺処分とは全く違うということを理解してほしい。そこに痛みは伴わない。逆に痛みから救うために行う処置だ。
安楽死に関しては様々な意見があるだろうし、それぞれの犬と飼い主の事情もあるだろう。この作品も、安楽死の是非を問うているわけではない。
おそらくは、犬のこの想いが全てだろう。
I君がここに一緒にいてくれてとても嬉しい
imege credit: YouTube
犬は自らの痛みを言葉にすることはできない。そしてまた、欧米人は安楽死に関して罪悪感を持っていることも確かである。だからこういったショートフィルムが誕生するわけだ。
ただ一つ言えることは、自然死であれ、安楽死を選ぶのであれ、飼い主は可能な限り最期まで、愛犬と共にいて欲しいということだ。
via: YouTube, Welling Filmsなど/ translated by K.Y.K. / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
わかってたけど涙ボロボロ
2. 匿名処理班
だめだ、見られない。今見たら仕事にならなくなる。。。
3. 匿名処理班
自分も安楽死は別にいいと思う、ていうか17才の犬にした
老犬はもう麻酔手術出来なくて、苦しいまま生きるよりは楽にしてあげようよ
4. 匿名処理班
犬から直接聞ける日が来るまでは
『気持ち』なんて所詮人の創作でしか無い
5. 匿名処理班
いつかまた、犬と暮らしたいよ…
6. 匿名処理班
死んだ犬を思い出すからマジで勘弁してくれ。。。
7. 匿名処理班
袋に子犬を入れて川に捨てるというのは、昔のアメリカのアニメで2回みたことある
一つは子犬が犬の天国へ召され、もうひとつは子犬は拾われて飼われることになった
今は、そういう子犬を出さない為の色んな方法があるけれども
8. 匿名処理班
犬はダメ。犬は反則。
泣きすぎて仕事行けない。
9. 匿名処理班
本気を出したら私の方が強いということを忘れないでください
10.
11. 匿名処理班
本人(犬)の意思を尊重したい
犬には死の概念がないだろうから、苦しかろうが痛かろうが生きたがってると思う
12. 匿名処理班
こういった記事は夕方に上げてくれないかな、アイツのことを思い出しちゃったじゃないか。
13.
14. 匿名処理班
「この作品も、安楽死の是非を問うているわけではない。」
本当にそうだね、これは安楽死云々がメインの話じゃない。
数年前に愛犬を亡くした身としては愛すること、交流することのすばらしさと切なさに泣けてくるよ。
犬に限らず、人含め、自分以外の生き物に無償の愛を注げるようになって初めて人の魂は完全に目覚めるのかもな。
15. 匿名処理班
俺も飼ってたコリーのところに召されたいな
またあの頃みたいに、尻尾振って駆け寄ってきてくれるかな
16.
17. 匿名処理班
*3
うちの犬は、口腔ガンでもう助からないし苦しむだけだって判ってたから、安楽死をお願いしたけとやってくれなかった。
手を下したくない獣医の気持ちも判るけど、一晩中痛みに鳴き続けた末に亡くなったので、こっちも辛かった。
今思い出しても涙が出る。もう二十年も前なんだけど。
飼えなくなったからとかは論外だけど、病気で苦しむために生きてるような状態だったら、安楽死させて欲しいと思う。
動物に限らず人間もね。
18.
19. 匿名処理班
「犬を愛するまで、人の魂の一部は眠ったままなのだ」―アナトール・フランス
「もし天国に犬がいないのなら、私は天国じゃなくても、犬が待っている場所へ行きたい」―ウィル・ロジャース
ああ…すごくすごくわかる
20.
21. 匿名処理班
もうペットは覚悟がないと飼えない
お別れが辛過ぎて・・・・・
22. 匿名処理班
死ぬ寸前に部屋まで来てくれたうちの犬思い出した
クズの自分はネトゲに忙しくほったらかした模様
一緒にいてあげればなぁ
23. 匿名処理班
犬って、痛いのにガマンして何でもないフリしたりするんだよな
飼い主に心配させたくないから
苦しんでまで生きてほしいか?と考えるとツライ
自分だったらどうするのか、まだ考えたくない
24. 匿名処理班
※4
タイトル見たら察しがつく記事をスルーせずに
そういうコメントするのってつくづく不思議な人ですね
あなたには読まない、書き込まないって選択肢もあるんですよ