学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)の獣医学部の新設問題をめぐり、安倍政権が再調査に乗り出そうとしない。「森友学園」問題に続き、「1強」政治のおごりも指摘されるなか、政権幹部は逆に告発者への個人攻撃を展開。野党が求める国会での証人喚問にも応じず、「問題ない」との強弁を続けている。

 「印象操作だ。私が友人である加計さんのために便宜をはかったという前提で恣意(しい)的な議論だ」。30日の参院法務委員会で、安倍晋三首相は声を荒らげた。

 この日の委員会は、前川喜平・前文部科学事務次官が記者会見で、国家戦略特区に獣医学部を新設する計画について「行政のあり方として非常に問題」と語ってから、最初の国会での本格論戦となった。民進党の小川敏夫氏は「岩盤規制に穴を開けた下に、首相の友達が待っているのは健全な政治と言えない」と指摘。そのうえで首相に「加計学園の役員を務めたことはないか」とただした。

 これに対し首相は、1993年に初当選した当初「数年間、監査のようなものを務めたことがある」と明かした。ただ、前川氏が証言した「総理の意向」などと記された内部文書について再調査する考えがあるかを問われると、「文科省が確認できないということだ」と即座に否定した。

 前川氏は朝日新聞の取材などに「行政のあり方がゆがめられた」と語り、獣医学部新設の背景に何らかの政治圧力があったことを示唆する。和泉洋人・首相補佐官から昨秋、「総理は言えないから私が言う」などと獣医学部新設を早く認めるよう求められたとも証言。新設計画への疑念は膨らんでいる。

 だが、菅義偉官房長官は30日の定例会見で、和泉氏への聞き取りも含めた文書の再調査について「前川さんが勝手に言っていること」と一蹴。官邸幹部は「結果的に首相が懇意にしている人が学園の理事長だっただけ」と話す。

 森友学園への国有地売却問題でも、政権は売却額を大幅に引き下げた詳細な経緯をいまだに明かそうとはしない。ただ、自らに都合のよい情報は進んで公表している。

 「いまお配りしたが、事実関係…

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