・コンコンコン!
(ノックの音)・
(ドアの開閉音)
(上川)例の件はうまくいってる?
(光永)計画どおり進めております。
(光永)ご安心ください。
(光永)今度こそ我々の法敵を排除してみせます。
楽しみにしてるよ。
(千種)夫からまた電話がかかってきました。
(千種)重大な情報を手に入れたと言っていました。
(田丸三郎)どのような情報ですか?内容は聞いていません。
直接会って話したいそうです。
担当部署の者と相談してみます。
田丸さん以外の人間とは話さないそうです。
会いにいってくださいお願いします。
・「Ineedyourlove」
(玲)しゅしゅしゅ!しゅ!しゅしゅ!
(稲見朗)うっ!おっうっ…。
痛たたた…痛い。
いった〜。
(吉永三成)だから飲み過ぎるなって言ってるだろうが。
う〜ん…俺もずる休みすれば良かった。
田丸は別件で任務中だ。
ずる休みじゃない。
(樫井)公安関係の案件ですか?詳しくは聞いてないが多分そうだろう。
お〜い早く立て。
ぐぅ〜…。
寝たふりしてる。
起こせ。
いった。
あぁ〜。
しんどい。
(林)ちょっとトイレに行ってくる。
選んどいてくれ。
(足立)はい。
・
(ドアの開閉音)どんな情報を入手した?テロか?お久しぶりです。
変わってませんねほっとしました。
テロに関する情報です。
教えるには条件があります。
何だ?スパイをやめたいんです。
妻の元に帰りたいんです。
(林)教団から脱走します。
私と妻を保護してください。
情報が本物かどうかわからないのに条件をのめるわけがないだろう。
わかってますだからテロを阻止したあとで約束を果たしてもらえればいいです。
そのかわり約束を文書に起こしてください。
妻が内容を確かめてサインした時点で情報を提供します。
田丸さんあなたに説得されてスパイになり毎日身近な人間をだまして生きていくうちに自分の本当の顔がどんなんだったか忘れてしまいました。
鏡を見ても他人の顔を見ているようなんです。
私を解放してください。
(林)早く決断しないとテロが起きてしまいますよ。
(青沼)わかった条件をのもう。
早速林の妻とコンタクトを取ってくれ。
はい。
1つだけ確認させてくれ。
何でしょう?林の妻とは何の問題もないな?何の問題もありません。
もういいでしょうか?
(青沼)ああ。
(店内のBGM)・
(ドアの開閉音)待った?
(芳)私も今来たところです。
ははっうそつくの下手だね。
ほんとは1時間前に来ちゃいました。
だったら1時間前に来れば良かったな〜。
うそかどうか見抜けなかったです。
ははっ。
そういえばさ職場にうそを見抜くのが得意な先輩が2人もいてさやりにくいったらないんだよね。
いつもそんなにうそをついてるんですか?ううんそうじゃなくて。
いやそういうことじゃなくてさ。
うそをつかずに生きていけるのはほんとに強い人だけだと思います。
私は強くないからうそをつく人の気持ちがよくわかります。
だから小さなうそなら全然見抜けなくていいです。
小さなうそなら全然だまされてもいいです。
問題ないですか?はい。
情報を教えてください。
林から聞いてますよね?これ以上林とコンタクトを取るのは危険です。
あなたの口から聞かせてください。
うそを見抜いてたならこんな取り引きなんかしないで私を尋問して情報を引き出せば良かったのに。
確信があったわけではありません。
うそつきね。
でも優しいのね。
情報を教えてください。
テロの決行日はあさって。
狙われるのは文部科学大臣です。
(青沼)どうしましょう?それなりの規模の警備態勢を敷きますか?
(鍛治)情報では実行犯は1人なんだろ?はい。
あいつらに担当させよう。
しかし今回は前回と違って実行犯の身元が判明していません。
それに自爆テロをもくろんでいます。
ある程度の数で固めずに網目をすり抜けられると周囲の人間も巻き込んで大惨事になりかねません。
警備の要所を押さえれば問題ない。
自爆テロだったら不用意にターゲットに接近する人間を徹底的に排除すればいいだけの話だ。
それに情報がガセだった場合大げさにした分田丸に責任が重くのしかかるだろう。
今あいつらの経歴に余計なばつはつけたくないんだ。
(青沼)確度の低い情報だとお考えですか?そういうことじゃない。
ただ田丸は女に甘いからな。
どういうことでしょうか?前から言ってるだろう。
この世界で起こることの大半は目に見えないものがきっかけで始まって終わる。
因果ってやつだ。
人間の業と言いかえてもいいだろう。
それが見えないようじゃ一生下働きで終わるぞ。
とにかく警備はあいつらに担当させる。
わかったな?
(青沼)はい。
どうかしました?どうもしないさ。
確認するぞ。
大臣はこの付近で車を降り建物に入ったあとロビーを通ってホール奥の控え室に入る予定だ。
ホールの入場者にはボディーチェックと荷物検査を行なうからホール内でのテロは考えにくい。
ということは車を降りてから控え室に入るまでの往路と復路を危険区間と断定してもかまわないだろう。
その区間に現れる不審人物は漏れなく排除する。
いいな?
(稲見・樫井・田丸)はい。
大臣はこのイベントのあと議員会館に戻ってその後は人前には顔を出さない。
実行犯が狙うとするならここしかないはずだ。
気を抜くなよ。
大臣が到着するぞ。
(野中)本日はご多忙の中ご来場ありがとうございます。
(岡本)よろしく。
はい。
どうぞこちらへ。
(岡本)うん。
(山村)あぁ〜。
退避しろ!
(久世)大臣こちらへ!田丸さん?はぁはぁ…。
ははははっ!後は頼む。
(山村)ははははっ。
何があった?
(山村)ははははっ。
やられました。
わなです。
・ピンポーン!
(インターホンの音)・ピンポーン!すぐにここを出ます。
必要最小限のものだけ持ってきてください。
はい。
・
(足音)ここにいれば安全なはずです。
念のため部屋からは出ないようにしてください。
はい。
夫は無事なんでしょうか?わかりません。
ただもし今日の狂言テロが教団内のスパイをあぶりだすためのものだったとしたら危険が迫ってる可能性はあります。
もしスパイであることが発覚したとしても教団が公安の監視対象になっていることは教団側も知っているはずですのですぐに極端な行動に出るとは思えません。
なるべく早く脱出の手はずを整えますので。
夫にもしものことがあったとしたら私はどうすればいいんですか?どうやって生きていけばいいんですか?いつまでも私を守ってくれますか?一旦戻ります。
何かあったらすぐに電話してください。
テロの情報がガセだった以上取り引きを履行する必要はない。
林を見殺しにするということですか?林の正体がバレたとはかぎらないだろう。
定期連絡が長期で途絶えたら何らかの措置は検討するよ。
そうなるまでは様子を見るしかない。
わかりました。
人間の業か…。
(林)うっ…。
うぅ〜うっ…。
うっ…。
(荒井)うっ!
(林)あっ…。
おら!あっ…。
うっ!
(荒井)おら!・
(荒井)うっ!・
(林)あっ…。
・
(荒井)おら!林は協力者に仕立てるには格好の男だった。
父親の作った借金の保証人だったせいで首が回らなくなって会社の金を使い込んでた。
それに美しい妻とも不仲だった。
獲得工作を始めた当初は在家の信者だったが俺は言葉巧みに接近して信頼関係を作ったあと弱みを利用して脅しなだめ安心させ出家の信者として教団内部に潜り込ませた。
教団は国家にとって脅威で俺は正しいことをしてるつもりだった。
そう言い聞かしてた。
だが実際のところ当時の俺はあるトラブルがきっかけで外事を追い出され新しい部署に移ったばかりで失点を回復しようと躍起になってた。
国家のためと大義名分を背負って弱い立場の人間を利用することに何の疑いも持たないよう自分をだましてた。
いや…そんなのは全て見栄えのいい言い訳で本当は美しい妻に心を奪われたせいかもしれない。
工作のためと体裁を整えれば罪悪感を感じずに彼女に会える。
林がいなくなればいつか彼女の心が夫から離れ俺に寄り添うときが来るはずだそう思って林を闇の奥へと送り込んでしまったのかもしれない。
俺の心が俺の信念を裏切ったんだ。
まぬけな話だよな。
いやそうじゃなくて田丸さんが人間らしくてほっとしたから。
機械仕掛けだとでも思ってたか?みんなが見てない所でぜんまいを巻いてると思ってました。
はははっ随分と古い機械だな。
ははっ。
林も俺も結局は組織の駒でしかない。
利用価値のなくなった駒は捨てられる運命だ。
ただ駒にだって意地はある。
田丸は今回の任務の後始末でもう少し別行動になる。
田丸が戻ってくるまでの間俺たちに任務が下りてくることはない。
こんな機会めったにないはずだから休暇でも取ってくれ。
じゃあな。
入らないんですか?いえ。
どうしたの?林がスパイであることあなたが教団に密告しましたね?いつ気付いたの?文書をやり取りしたときです。
どうしてわかったの?気付かれないようにうまく振る舞ったつもりだったけど。
あのときのあなたはいつものあなたとは明らかに違っていました。
そんなに私のことを理解してくれてるなら私の気持ちもわかってくれてるでしょ?お金に釣られて国家のためだからとか言って私をほったらかして出ていった人とどうしてまた一緒に暮らせると思う?あの人が出ていってから2年間私はろう獄のようなあの家で人質のように暮らさなければならなかったのよ。
林を説得したのは私です。
私の責任です。
違うわ。
人は他人に説得なんかされない。
そのように見せかけて本当は自分の進みたい道に進んでるだけよ。
あの人は私と一緒に暮らしたくなかったのよ。
あの人はどうなるの?公式にはどうすることもできません。
あの人のことはもうほっといて。
自分の進んでいった道の先に今の結果があっただけなのよ。
私が欲しくないの?私と一緒に暮らしましょ。
これまでのうそは日常が洗い流していってくれるから大丈夫よ。
私の心があなたを惑わしてしまった。
あなたを別の人間に変えてしまった。
さっきも言ったでしょ。
他人にそんな力はないわ!私は最初からこんな人間だったのよ。
あなたは自分の理想の女を私に重ね合わせて見てただけなのよ。
どうするの?まだ危険が去ったわけではないのでこの部屋を出ないでください。
・
(足音)私たちチームでしょ。
何をやるにも一緒でないと。
まあそういうことだな。
楽しいことはみんなでわかち合いましょうよ。
樫井は?・
(足音)何してた?出家信者が150人近くもいるんだよ。
うまく散らしておかないとね。
今度こそ間違いなく怒られるね。
怒られて済んだら上出来だな。
林は恐らく3階奥の信者が近づくことを許されていない鍛錬室にいるはずだ。
誰が先にたどりつくか競争だな。
出てきたぞ。
さあそろそろ始めますか。
ドン!・ジリリリリ…
(非常ベルの音)・
(騒ぎ声)・捕まえろ!・捕まえろ!捕まえろ!・誰だ!・捕まえろ!ドン!・うっ!あぁ〜!うっ!
(樫井)あぁ〜!うわ〜あぁ〜!おいいたぞ〜!行け〜!バチバチバチ…
(スタンガンの音)おりゃ〜!バチバチバチ…バチバチバチ…・
(騒ぎ声)おりゃ〜!あぁ〜あぁ〜あぁ〜!この野郎!こら〜!おりゃ〜!
(久保)この野郎!あぁ〜!
(久保)あぁ〜!あぁ!あぁ!行ってください!はぁはぁはぁ…。
・
(荒井)あぁ〜。
うっ…。
よし。
・あぁ!うっ!あぁあぁ〜!うっうっ…。
・
(ドアの開閉音)・何だ!代わってくれ。
・逃げられると思うなよ!・動くな!・動くな!・ドーン!・動くな!・武器を捨てろ!今すぐそいつを連れてこっから消えろ。
お前たちはここにはいなかったんだ。
ありがとう…ございます。
(青沼)勘違いするな。
ほんとはもっと早くこうすべきだったんだ。
お前たちのためじゃない。
(青沼)いつまでも俺を見下ろしてるな!早く行け!はぁはぁ…。
(石山)昨夜9時ごろ神の光教本部に警視庁の強制捜査が入りました。
教団にはかねてから岡本文部科学大臣に対するテロを計画していた疑いがあり内偵捜査を進めていた結果爆弾の製造等の事実が発覚したため強制捜査に踏み切ったもようです。
ふふっ。
お手柄だな。
田丸の心情をよく読みきった。
ありがとうございます。
これからも目に見えないものに目を配るんだぞ。
はい。
ははははっ…。
ところで林と嫁さんはどうするんだ?教団の残党に狙われる可能性がありますので2年ほど海外で生活させたあと日本に戻そうと思っています。
日本には戻すな。
あの女は田丸にとってのアキレスけんだ。
田丸の目にちらつく場所に置いてはろくなことはない。
わかったな。
はい。
何だ?特捜班を使ってどこまでいくつもりですか?どこに向かっているんですか?ははっ。
すみませんでした。
あなたはうそをほっとけない人なんだもの。
あなたのそういうところを好きになったのよ。
だから謝らないで。
あなたと暮らしてみたかった。
・
(足音)
(佐藤)少しお話をさせていただいてもよろしいですか?
(鍛治)結城雅を覚えてるか?やつは優秀な特殊部隊員です。
(結城)俺と手を組むのか組まないのか。
(鍛治)稲見に結城を追わせろ。
地の果てまでもな。
これ以上あいつに罪を犯してほしくないんです。
俺が必ずお前を捕まえてやる。
(ナレーション)
このドラマの主題歌「Ineedyourlove」が収録されたアルバムを抽選で30名の方にプレゼント。
詳しくは番組ホームページまで。
2017/05/30(火) 21:00〜21:54
関西テレビ1
CRISIS 公安機動捜査隊特捜班 #08[字][デ]【スパイの罠!決死の救出作戦】
公安がマークする新興宗教団体がテロを画策!?教団に潜入するスパイの情報を元にテロの標的を警護するが、予想外の事態に!林の妻と田丸の運命も大きく動き出して—!?
詳細情報
番組内容
公安の協力者として新興宗教団体“神の光教団”に潜入している林智史(眞島秀和)から「重大な情報を手に入れた」と連絡を受けた田丸(西島秀俊)。数日後、極秘裏に林と会った田丸は、教団が画策しているテロの情報を教える代わりにスパイを辞めたいと取引を持ちかけられ、動揺する。任務から解放されれば、林は妻・千種(石田ゆり子)の元へ帰ることになるからだ。田丸から話を聞いた青沼(飯田基祐)はその条件を承諾。
番組内容2
テロの決行が2日後で、標的は文部科学大臣だと分かる。
テロ決行当日、特捜班は鍛治(長塚京三)から警備を一任されるが、稲見(小栗旬)はいつもとどこか違う田丸の様子が気に掛かる。その頃、大臣が登壇予定のイベント会場には“神の光教団”の元信者がカバンを手に身を潜めていた。そして、到着した大臣に急接近。カバンの中から何かを取り出そうとするが、次の瞬間、駆けつけた稲見と田丸によって間一髪拘束される。
番組内容3
しかし、男からカバンを奪い取って中身を確認した田丸は、教団の真の狙いに気づき、ぼうぜんとその場に立ち尽くして…。
出演者
小栗旬
西島秀俊
田中哲司
野間口徹
新木優子
長塚京三
スタッフ
【原案・脚本】
金城一紀
【演出】
鈴木浩介
白木啓一郎
【音楽】
澤野弘之
KOHTA YAMAMOTO
【チーフ・プロデューサー】
笠置高弘
【プロデューサー】
萩原崇
【制作著作】
関西テレビ
ご案内
ここだけの(秘)情報が満載!
【公式ホームページ】
http://www.ktv.jp/crisis/index.html
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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