勉強する「心」を持ち続けるには、どうすればいいのか? 『勉強の哲学』(文藝春秋)で「変身」するための勉強法を伝授する千葉雅也さんと「7回読み勉強法」(PHP)で東京大学法学部、司法試験、国家公務員I種を突破してきた山口真由さんが、その秘訣を語る。
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勉強は手段か、目的か
山口 千葉さんの『勉強の哲学』では、すること自体に目的があるような勉強、それを通じて、自分が「変身」するような勉強が勧められていて、非常に新鮮に感じました。試験のための勉強というのは、「合格」という明確な目的に特化したものだったからです。司法試験なんて、受かればいいんです。逆に、受からなければ、どれだけ苦しい勉強も報われない。最短距離を、最速で行ける勉強が最も合理的ではないかと。
千葉 だからこそ、必要な水準になるべく早く到達するための効率的な勉強法として、山口さんは「七回読み勉強法」を編み出したのですね。山口さんにとって、勉強は手段だったとすると、法律を学ぶ目的は何だったのですか。
山口 実は最初は法律が嫌いだったんです。子供のころから好きだったのは、小説やファンタジーで、大学に入ってからも、面白いと思ったのは、アメリカ文学史や『平家物語』についての講義でした。でも、それを職業とすることが、具体的にイメージできなかった。それで、自立して生きていくために実学としての法律をしっかりと学ぼうと決意したんです。
千葉 ぼくは東大の教養学部にいたのですが、ぼくの考える「教養」とは、実学のベースにもなり、実学も大きく包み込んでしまうようなものです。決して実学の反対概念ではありません。さらにいえば、ぼくにとっての「勉強」は、周りに流されることなく、自分のやりたいことを引き延ばしていくための方法です。その目的は、自分を根本から揺さぶり、「変身」することです。それは「手段」ではなく、終わりのない「過程(プロセス)」だと考えています。