2017-05-30

おっぱいを吸わせてあげている

看護になって数カ月立って新しい担当患者が付いた。

大腸がんからの肝転移、肺転移、骨転移意識レベルも悪く、最期を待つのみという状況。

四肢の硬直もあり、食事ほとんど取れずIVHから栄養が唯一の栄養源。

看護計画と言っても先輩たちのアドバイス

「何もないねターミナルだし。」

と言うものだった。

私は何も看護が出来ず悩んでいた。

ある日、全身清拭をしていると私のおっぱい患者の手に当たった。

なにかぎゅっとされた気がした。

まさかね、と思いながらその日は終わった。

次の日の清拭で、確実に揉まれたと思った。

しかも高速で。

そっか、、、これか。

と思ってその日は飽きるまで揉ませてあげた。

すると、それまで呼吸がきつそうで、痛みに歪んでいた顔が平静を取り戻した。

そんな日が続いたある日、患者は手を私の背中に伸ばした。

外せということか。

ブラを外して手に直接おっぱいを当てた。

患者は泣いていた。

その涙の意味は分からない。

しかったのか、懐かしかったのか、小さいなと思ったのか、そして、嫌だと思ったのか。

私は嬉しかったのだと判断した。

そして口をパクパクさせた。

吸いたいのかな、と思った。

私は乳首患者の口に含ませてしまった。

傍目からたらこれは犯罪だ。

身動きできない人に勝手身体を触らせているのだから

身体を触らせることの看護が考えられない私も看護師として未熟である

この人が今までに何人のおっぱいを吸ってきたかはわからない。

男の人はいままで何人のおっぱいを吸ったか数えることがあると聞いたことがある。

そのリストの一人に最期に載せてもらうことが出来ればクビになっても本望だ。

母乳は出ないから何にも栄養にはならないけど、心の栄養になるかな。

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