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北朝鮮が田植えの季節にミサイルを発射した「真意と事情」
本当に、あの国は「脅威」なのか

G7首脳の問題意識

どんな会社や組織でも、部下や周囲が尊敬できない人物がリーダーに就くことがある。そうなると、組織内部もその周囲も最悪だが、尊敬できないリーダーは、類稀なる運を持ち合わせていることが多いので、しばらくは我慢するしかない。

5月27日に閉幕したイタリア・タオルミナG7サミットを見ていて、そんな印象を持った。尊敬できないリーダーとは、言うまでもなく、サミット初参加のトランプ米大統領のことである。

 

G7が始まったのは、いまから42年前の1975年。オイルショックやニクソンショックといった世界を揺るがす出来事が頻発したことを受け、北米からアメリカとカナダ、ヨーロッパから西ドイツ、イギリス、フランス、イタリア、そしてアジアから日本の計7ヵ国が、責任ある民主主義の先進国として世界を牽引する役割を果たしていくという理念のもと、フランスのランブイエで始めたものだ。

日本でも、1979年の東京サミットから昨年の伊勢志摩サミットまで、計6回開かれている。今年のタオルミナ・サミットで、43回目を迎えた。

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ところが、今回ほどG7サミットの崇高な理念が貶められたことはなかった。その何よりの証左と言えるのが、「G7首脳宣言」である。昨年は英文で32ページに及んだのが、今年はたったの6ページ。しかも、貿易、移民・難民、気候変動という現在の世界の三大問題に関するG7首脳宣言の文言は、それぞれ以下のように記されている。

【貿易】
不公正な貿易慣行に断固たる立場を取りつつ、開かれた市場を維持するとともに保護主義と闘うという我々のコミットメントを再確認した。

【移民・難民】
全ての移民・難民の人権を確保しつつ、国益と国家の安全保障において、自らの国境を管理し、政策策定する主権国家としての権利を再確認した。

【気候変動】
米国は気候変動及びパリ協定に関する政策の見直しプロセスのため、コンセンサスに参加する立場にない。米のプロセスを理解し、他の首脳は、伊勢志摩サミットで表明されたとおり、パリ協定を迅速に実施するとの強固なコミットメントを再確認した。

つまり、これら3点とも、真っ向から対立するトランプ大統領の主張と、他の6首脳の主張(安倍首相がどちらの側についているのかは、いま一つ明確でないが)とを両論併記しただけなのである。

かくして、7人の首脳が一致団結できるのは、北朝鮮問題だけということになった。そこで必要以上に北朝鮮の核ミサイル問題をクローズアップしたのである。