北朝鮮問題にトランプ大統領ロシアゲート事件…今後の住宅ローンはどうなる?
どうも千日です。そろそろ来月の民間住宅ローンの金利情報が出てくる頃ですが、ソニー銀行を除き、今月は本当にギリギリになるまで発表しないでしょうね。
というのも、来月はなかなか金利の動きが読みずらい状況だからです。
普通に考えると、北朝鮮問題は一向に改善の兆しが見えないですし、トランプ大統領のロシアゲート事件でアメリカのトランプ政権の危機が迫っています。どう考えても金利は下がるしか無さそうに見えますよね。
しかし、これらの事件の深刻度に比較して、日米の長期金利の動向はほぼ横ばいになっています。
一旦は下がったものの、その後は上がったら下がったりでほぼ横ばいなんです。これはどうしたもんでしょう?
今回のブログは、6月の民間銀行の住宅ローン金利の動向についてです。
民間銀行は住宅ローン金利をどうやって決めているか?
銀行もまた、下図のように金融市場から資金を調達してます。そして自分の利益を乗せて我々に住宅ローンを貸しているので、金利の変動リスクを負っています。
例えば銀行が金融市場からお金を調達するときの金利が0.6%の時に1%で住宅ローンを貸すと、その差の0.4%が銀行の儲けとなります。
つまり、0.4%儲けられるだろうと思って1%という住宅ローンの値決めをするわけです。
民間銀行の住宅ローンの金利は毎月の1日に発表され、原則としてその月はその金利がずっと適用されます。
これってどういうことかというと、月の途中でも金利が上がったり下がったりするんですが、あくまで1日に発表された金利で住宅ローンを貸すということです。
しかし、金融市場の長期金利というのは、なかなか読みずらいんですよ。
銀行自身も金融市場に参加していますが、市場総体としてどんな動きになるのか?ある程度の法則や理論はあるものの、センセーショナルな事件に対してヒステリックに反応することもあり、一筋縄ではいかないのです。
いわば自然現象みたいなものです。
ですから、銀行が住宅ローンの金利を決めるにあたって考えることというのは…
- 金利が上がりそうな時は今より少し高めの住宅ローンの金利設定にする。
- 金利が下がりそうな時は今より少し低めの住宅ローンの金利設定にする。
これが基本になります。
今後の長期金利の動向はどうなるか?
ですから住宅ローンの金利がどうなるかは、翌月1カ月の金利動向がどうなりそうか?ということを予想すれば良いということになります。
これが、なかなか難しいんですよ。
なにしろ金融市場の動向というのは、完全な野生動物である人間が作り出す自然現象です。もちろん市場は我々人間の集合で出来ているんですが、個々の人間にはそれをコントロールすることはおろか予測することも困難です。
なので銀行がどう読むか?を予測すればいいのです。まだこっちの方が予想しやすいです。
それに、我々の直接の取引相手は市場ではなく、銀行なのですから。
北朝鮮問題は既に今の金利に反映されている
まずは北朝鮮問題です。5月29日午前8時にまた弾道ミサイルを発射しましたね。今年に入ってから既に11発を発射しているそうです。ちなみに去年は20発。
ペースは変わらずですが、北朝鮮のミサイル技術が確実に進歩してきていることで、警戒を強めているんですね。
あくまで、警戒を強め経済制裁を拡大するという方向で動いているんです。
ここから分かっていることを書き出すと以下のようになります。
- 北朝鮮はミサイル開発を絶対にやめない。
- ミサイルを海に向かって撃っているうちはアメリカは軍事行動を起こさない。
- 軍事衝突以外の手段で北朝鮮を抑えられる可能性があるのはロシアのプーチン大統領、中国の習近平国家主席、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領の3人に絞られた。
市場は今のところ、軍事衝突が起こる可能性は低いという見方になっていると考えられます。
それがこの日本国債の金利の推移に表れています。
少し下がってから、横ばいです。
ロシアゲート事件の影響は?
金利動向を読むにあたってもう一つ重要なのがトランプ大統領の「ロシアゲート事件」です。これはニクソン大統領の「ウォーターゲート事件」をもじったものです。
ウォーターゲート事件を簡単におさらいしておきましょう。1972年の大統領選でニクソン大統領の命令で野党の本部があるウォーターゲート・ビルに盗聴器を仕掛けようとした犯人が逮捕され、これに対する大統領側の行動(もみ消し、司法妨害、証拠隠滅)が全て裏目に出て最後には辞任に追い込まれた事件です。
ロシアゲート事件は、ロシア政府が昨年のアメリカ大統領選挙でトランプ氏に有利な介入を行ったのではないか?という疑惑です。
また、トランプ大統領はこの疑惑を捜査していたFBI長官のコミー氏を解任するなど、ウォーターゲート事件でのニクソン大統領と同じような行動を取っていることから「ロシアゲート」と呼ばれるようになったんです。
トランプ大統領とロシアのプーチン大統領が裏でつながっているか?
繋がってるでしょうね。
しかし「裏の繋がりがアメリカの国益を損なう」というところまで行かないと、トランプ氏の骨には届かないんです。
FBIは捜査機関です。事実関係を明らかにするところまでは行くかもしれませんが、このロシアとのつながりが国益を損なうものなのかどうなのか?というところまでは判断出来ないですよ。
FBIがというようり、誰も判断できないでしょう。
マスコミは非難を強めるでしょうが、トランプ氏の支持者はこう言うはずです。
だからどうした?現状を変えられる者が他にいるのか?
それがアメリカの国債利回りにも表れています。
下がってから横ばい、です。
フラット35の金利は少し上がる
これらの動向を背景にして、一足先に6月の住宅ローンの金利が決まっているのが住宅金融支援機構のフラット35ですね。
5月18日に住宅金融支援機構が発表した機構債の表面利率は前月(0.4%)から0.03%上昇の0.43%となりました。
つまり、来月6月のフラット35の金利は0.03%上がると予想できます。
- 10年~20年:1.01%(5月は0.98%)
- 21年~35年:1.09%(5月は1.06%)
韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が就任したのは5月10日、それに水を差すかのごとく北朝鮮がミサイルを発射し始めたのは5月14日、機構債の表面利率が決まったのは5月18日ですから、北朝鮮問題をすべて織り込んだ結果です。
またロシアゲート事件をアメリカのマスコミが報道し始めたのは5月16日ですから、これも織り込んだ結果ということです。
あと数日でよほどのことが無い限りは、来月のフラット35の金利は0.03%程度上がるでしょう。
つまり「ちょっと上がりそう」というのが市場の判断ということです。
市場の金利動向以外の要素もある
今後の長期金利が上がりそうなら、住宅ローンの金利も上がりそうだという予想になるのですが、そう一筋縄にもいかないのです。
各銀行の営業戦略も絡んでくるんですよね。
つまり、こういうこともあり得るということです。
- 金利が上がりそうでも住宅ローンを獲得したい場合はあえて低めの金利設定にする(薄利多売)。
- 金利が下がりそうでも自行の利益率を上昇させたい場合は高めの金利設定にする。
なので、銀行の住宅ローンの金利動向というのは、必ずしも金融市場の動向と完全に一致するとは限らないというのが予想の難しさです。
6月の主要銀行10年固定はおおむね横ばいか?
おそらく、各行は積極的に6月の住宅ローンを獲得に行こうという動きはありません。
もし積極的に獲りたいのであれば、30日時点で翌月の金利を発表するでしょう。今この記事を書いているのは30日の午前2時ごろですから、まだ分かりませんけどね。
では上がるのか?
でもね、上がる可能性も低いように思います。
4月から5月にかけて既に上げている
10年固定の最安金利を出していた三井住友信託とりそな銀行は、北朝鮮問題で長期金利が急落する中で、住宅ローン金利を0.05%上げたんですよね。
- 三井住友信託銀行は4月0.55%→5月0.6%
- りそな銀行(借換専用)は4月0.55%→5月0.6%
つまり、市場の金利(仕入値)が下がっている時に住宅ローンの金利(売値)を上げた訳です。
5月は利益を獲りにいった。
しかし、6月は第1四半期の決算月なんですよね。5月よりは住宅の完成が多く、融資案件数も稼げる時期、稼ぎたい時期です。
それに、市場金利は横ばいの傾向が続いていますので、値上げはセーブしておこうという意図が働いてもおかしくは無いと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか。なかなか読みずらい状況ですが、おそらく銀行の方も読みずらいと思っているでしょうね。
市場関係者のコメントなどを見ていても、基本的に様子見に入っていて動きに乏しい感じなんです。しばらくは狭いレンジで横ばいになるという見方が大勢を占めています。
あくまでこの記事に書いている将来の予測は現在公表されている情報に基づいて千日個人が予想したものです。実際の住宅ローンの金利の動きとは異なってくる可能性は大いにあり得ます。
用法用量を守ってご利用ください。
以上、千日のブログでした。
《あとがき》
数日前に髪をカットしに行った時に、美容師さんに今度本を出す話をしたんですよ。職場では内緒にしてるので、誰かに褒めてほしかったんですよねアハハ。
流れでブログの話もしたんです。
したら…
『どうも千日です。』ですよね?住宅ローン組むときめっちゃ参考にしましたよ!
え?(千日本名)さんが書いてたんですか?
いやー…胸アツでした。
それにしても、なんなんでしょうね、この感じ、めっちゃ恥ずかしかったです。
ということで、これからは月イチでユーザーから直に意見が貰えるようになりましたので、ブログの改善につながっていけば良いなと思います。
最近、ちょっとコア寄りになり過ぎているんですよね。
2017年5月30日
姉妹サイトの「千日の住宅ローン無料相談.com」がやっと100記事を達成しました。色んな人の相談ケースが参考になると思います。
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