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【政治】

自民の改憲論ブレーキ役 「宏池会」創設60年  ハト派正念場

池田勇人元首相の銅像前であいさつする岸田外相=28日、広島市で

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 自民党派閥「宏池会」(岸田派)が二十八日、創設六十年記念式典を広島市で開いた。軽武装・経済重視の吉田茂元首相の系譜を受け継ぎ、党内の改憲論を抑えてきたが、党総裁の安倍晋三首相が九条への自衛隊明記などの改憲案を主張。二〇二〇年施行に向けた党内論議も始まり、ハト派の名門派閥は正念場を迎えている。

 式典は、広島市中央公園に立つ宏池会創立者、池田勇人元首相の銅像前で開催。所属議員を前に、会長の岸田文雄外相は「先輩方の業績の基礎に立って、未来に向け何をすべきか。役割を果たすために思いを一つにしたい」と語った。

 岸田氏は式典後、記者団に、改憲について「(衆参両院の)憲法審査会で各党が議論を深めていくのが議論の進め方だ」と、国会での各党派による議論を重視する考えを強調した。

 宏池会は一九五七(昭和三十二)年に創設。日米関係を経済面から強め、アジア諸国との関係を重視した。六〇年に首相に就任した池田氏は、所得倍増計画を掲げ、改憲より経済成長を優先した。前政権の岸信介首相時代に発足した内閣憲法調査会も同年の最終報告書で改憲は打ち出さなかった。

 こうした歴史を踏まえ、岸田氏は安全保障関連法成立後の二〇一五年十月に「宏池会の憲法に対する愛着、思いは独特なものがある。当面、九条改正は考えない」と発言。今年の憲法記念日に安倍首相が九条改憲に触れた後も「考え方は変わっていない」と話した。

 ただ、党憲法改正推進本部が二十四日から党改憲案作成に向けた議論を始め、首相は年内にその案を示す方針。宏池会が今後も改憲のブレーキ役を果たせるかは見通せない。

 宏池会から「自衛隊を書き込む方向に見直すことも考えられる。宏池会は憲法で勝負するより社会保障や人づくりが特色だ」との声も出ている。 (大杉はるか)

 

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