合格したら体験記的なものを書こうと思っていたので、まとめてみました。
2017/5/19に、第一志望であったIE Business Schoolというスペイン・マドリードにあるビジネススクールから合格をもらいました。2018年1月から通います。
IEはFinancial Timesの今年のランキングで世界8位なので、一応トップスクールの一角と言っていいのかなと思っています。
■ 基本情報
【ハンドルネーム】トミオ(Twitter:https://twitter.com/tomyuo)
【進学先】IE Business School
【専攻】Dual Degree, International MBA & Master in Business Analytics and Big Data
【他の合格校】なし
【不合格校】なし
【Waitlist】ESADE Business School
【キャンパスビジット先】INSEAD, HEC Paris, IESE, ESADE, IE
【年齢・性別】受験時33歳・男性
【直近の仕事】米ソフトウェアスタートアップの日本市場担当セールス
【私費/派遣】私費
【最終学歴】国際基督教大学教養学部卒業
【GPA】1.7(4点満点中)
【TOEFL】99 (R 29 L 25 S 20 W 25)
【IELTS】7.0 (R 8.5 L 7.0 S 6.0 W 6.0)
【GMAT】710 (Q 49 V 38 IR 3 AWA 5.0)
【海外経験】シンガポール居住&就労4年(2009-2012)
■来歴
2007年、ICU(国際基督教大学)を留年1回、GPA1.7で卒業。「世界をこの目で見ていないのに腰を据えた就職はできない」とすべての内定を辞退し無職に。
→アルバイト(光通●で電話営業)で資金を貯め、2008年中、アジア各国をバックパッキング。
→いったん日本帰国後、2009年に再びバックパックを背負いシンガポールへ職探しに。3ヶ月の就職活動の末、日系企業の現地法人でカスタマーサービスの仕事に就く。(この時点で25歳)
→2011年、米系ソフトウェア企業のアジア太平洋本社@シンガポールに転職。10国籍16人が所属する「インサイドセールスチーム」で日本市場担当の営業に。
→2012年、別の米系ソフトウェア企業の日本法人立ち上げの第一号営業で声がかかる。それを機に2013年1月に日本に転居。そのまま4年半働き現在に至る。日本法人の社員数は3人から70人に拡大。僕自身は3度の昇進を経てややシニアなセールスポジションへ。
2012年に結婚。2017年5月末現在、3歳男児と0歳女児の父。
■ なぜMBA?
4年間をシンガポールで過ごした後、スタートアップの日本市場開拓のため日本に戻ってきたわけですが、社員が増えるにつれ海外出張が減り、英語で仕事をする機会も減り「日本の会社で働いている」という感覚を覚えることが増えていきました。
営業の仕事は好きでしたが「このままでは、昇進し続けたとしてもキャリアが日本で閉じてしまう。しかも営業以外のキャリアパスがない」という強烈な危機感を感じるようになり、それがビジネススクール受験に繋がりました。GPA1.7というシビれるビハインドがありましたが、最終的に一番行きたかった学校に合格でき非常にハッピーです。
■ 合格までの流れ
勉強を始めてからちょうど1年間での合格となりました。
2016年3月~ :ビジネススクール受験の検討を開始
「アフリカへ行きたい」と思いケープタウン大学ビジネススクールを第一志望に設定。
2016年5月 : TOEFL初回受験 (99点)
2016年6月 : GMAT向け勉強開始
2016年7月 : GMAT初回受験(530点)
2016年9月 :どうせならトップスクールを目指そうと考えを改める。本格的に勉強開始。
2016年12月 : GMAT2回目受験(580点)
2017年1月: エッセイカウンセラーと契約
2017年2月 :キャンパスビジット(INSEAD, HEC Paris, IESE, ESADE, IE)
2017年2月 :GMAT3回目受験(710点)
2017年2月 :IELTS初回受験(7.0)
2017年3月 :ESADE出願(2017年9月インテイク)
2017年4月 :ESADEインタビュー。一週間後、Waitlist入りの連絡。
2017年4月 :IE出願(2018年1月インテイク)
2017年5月 :IEインタビュー。一週間後、メールで合格通知。
■ 受験にかかった費用
合計:約180万円
・TOEFL/IELTS 30万(受験費用15万円、各種教材5万円、予備校10万円)
・GMAT 30万円(受験費用10万円、各種教材5万円、予備校15万円)
・エッセイ&面接対策 85万円(カウンセラー1人目55万円、2人目10万円、3人目20万円)
・スクールビジット30万円(交通費・宿泊費等)
・その他雑費 5万円(適当)
■ 学習方法・予備校
TOEFL :前半は独学、最後の1ヶ月だけスピーキングにE4TG(予備校)利用
GMAT :前半は市販テキストやEラーニング等使い独学、最後の1ヶ月だけY.E.S.(予備校)利用
エッセイ・面接: どちらもカウンセラーの支援を受けた。後ほど話すが合計3人。
■ TOEFL/IELTS
TOEFLを4回、IELTSを1回受け、最終的にIELTSのスコアを提出しました。
2016年6月にTOEFLを初回受験し99点が出たため「TOEFLは問題なさそうだからGMATへ行こう」と甘く見たのが間違いでした。GMAT 710点取得後に3回受けたものの97点、99点、92点と奮わず。
受験の先輩の勧めでIELTSを受けてみたところ初回で7.0が出たため、そのスコアでIE/ESADEともに出願しました。
・TOEFL Reading
TOEFLに特化して勉強したのは、旺文社の『英単語3800』を時間を作って眺めたことくらいです。あとはThe Economistを購読していたため、気になる記事をDMM英会話の講師と一緒に音読したりしました。
・TOEFL Listening
特に何もしませんでした。
・TOEFL Speaking
いくつかのテキストを使用しながら勉強してみたものの、独学では20点から上に伸びず。2016年3月の1ヶ月をE4TGに通いました。結局はその後TOEFLを受けなかったのでどれだけ伸びたかわからないのですが「自分の声を録音して聞き直す」という学習方法はその後の面接対策に大きな影響があったと思います。(あまりに酷かったので必死で発音矯正した)
・TOEFL Writing
Amazonで本を2-3冊買って流し読みしました。それ以外は特に対策しませんでしたが、25-28くらいのスコアが毎回出ていたのでそれほど気にしていませんでした。
・ IELTS
模試付きの本を2冊買いましたが、結局一度も解かず。受験当日、会場に向かう電車の中で参考書を流し読みしたのみです。
■ GMAT
2016年の7月に受けて530点(Q41 V25)、その後1ヶ月くらい何もしない期間があった後、9月〜2017年2月の半年くらいで710点(Q49 V38)まで持っていったのは我ながらよくやったと思います。
・Quantitative
公式ガイドブックとインターナショナルマスアカデミーのテキスト(通称マスアカ)は一通りやりましたが、全部解けるようになったとは言い難い状態でした。
当日集中力を発揮して49点取りましたが、これはかなりラッキーだったと思います。
- マスアカを使い勉強を始めてみるが、あまりに知識が抜けており愕然とする。OGは紙版もアプリも使い勝手がいまいちで回答もわかりにくく、使う気が出ない。
- Magooshというオンライン学習教材(1万円くらい)に申し込み、最初級からコツコツ解いて感覚を取り戻す
- GMAT Prepの追加問題を購入し解く。間違った問題は解き方を復習しておく。
・マスアカ
・Magoosh
・Official Guide
・GMAT Prep
・Verbal:
2016年12月のGMATで散々な点を取ったことから、御徒町にある吉井先生の私塾、Y.E.S.に通うことを決意。2017年1月からY.E.S.に通ったことで、SCの見切りが速くなったのが良かったと思います。
本番でもSCは55%ileの成績しか取れませんでしたが、CRはほぼ満点(98%ile)、RCも88%ileの成績を出せ結果38点で終えられました。
なおOGはほぼ使いませんでした。
・Magoosh
・GMAT Prep
・Manhattan Prepテキスト
・Y.E.S.
・IR
何も対策しませんでした。時間内で解き切るのが僕にはハードで、本番の点数も8点満点中3点でした。
・AWA
ネットで有名なChineseburned氏のテンプレートをざっくり頭に入れ、それをベースに書きました。(暗記はしませんでした、というかできませんでした)
それで6点満点のうち5.0が出たので、とりあえずOKだったかなと思っています。
■ エッセイ
3人のカウンセラーに助けてもらいました。後から考えると1人目の費用は節約できたように感じますが、テストのスコアが揃わない状態で「それでも必ずやる」と自分をコミットさせる意味で良かったと思います。
・第1フェーズ:個人カウンセラーA氏
2015年1月からカウンセラーに関する調査を開始した際、問い合わせメールに一瞬で返信をくれたのが氏でした。翌日に面談。
受験校選定などまだまだこれからという段階でしたが、自分の中でコミットの既成事実を作りたく、1月中に4校出願パッケージ55万円を契約。
2月半ばにGMATで710点が出たため本格的にエッセイ作成に着手。ESADE向けのエッセイはほとんど彼と作りました。ただ、結局1校分しか彼とは作成せず。
・第2フェーズ:個人カウンセラーB氏
A氏とエッセイ作成を進めていったものの、A氏のアプローチは「こちらが用意していったものを縮めて字数以内に収める」というものだったためコンテンツにパワーがない気がしました。
そのため、先輩たちやネットでの評判も高い(そしてカウンセリングフィーも高い)B氏を訪問し途中まで作ったIE向けエッセイを見せながら相談。
私のエッセイを一目見るや「このエッセイはストラクチャーがない。例えばこのフレームワークが参考になると思うから、これを参考に書き直せ」とアドバイスをくれました。
彼のアドバイスを参考に、ネタ出し→自分で書く→持ち込むというプロセスを行ったことでエッセイのコンテンツが劇的に説得力のあるものになりました。
4回、飯田橋の彼のオフィスへ通い10万円弱。
・第3フェーズ:個人カウンセラーC氏
エッセイが完成すると、(面接に呼ばれるかどうかもわかりませんが)面接対策を始めないといけません。本命のIE向けだけは徹底して対策したかったため、友人から勧められたC氏にコンタクト。
「CVとエッセイと面接は一貫性が大事だ」というのが彼の信条で、それに従ってレジュメ・エッセイ・面接を通じて自分のストーリーを作るのを手伝ってくれました。詳しくは別項目で書きますが、IEへの合格は彼の助けによるところが特に大きかったと感じています。
■ 推薦状
以下2名に書いてもらいました。日本の上司には経過を報告するのみで、特に何も依頼しませんでした。
-
昨年末までレポーティングしていたアメリカ人セールスディレクター
日本のカントリーマネジャーとは別にレポートしていた上司がいたので、彼に書いてもらいました。人間的に本当に尊敬できる人で、僕が受験を決めたときからずっと温かく支援してくれ、合格も自分のことのように喜んでくれました。 -
APACオフィスのマレーシア人Senior Vice President
300人以上を統括するアジア太平洋(APAC)地域のトップに書いてもらえました。僕は彼に面接され、APAC全体で社員が20人程度のときに入社したため、最適の人選だったと思います。
■ 面接
IEは書類を提出したほぼ全員が面接に進むと聞いていたので、面接前3週間程度、念入りに練習しました。
・数日に1回、カウンセラーと模擬面接
・Basic Questionsの回答を、Ankiというアプリを使ってコツコツ作成。
・DMM英会話の追加チケット(1枚500円)を買いまくってカラオケに篭り、1時間に1回、25分のレッスンを入れる。
・面接の合間に、コツコツ手直しして想定質問の答えを作る
IEの面接はインタビュアーによって全く異なる内容になるので予想ができませんでしたが、僕の場合は非常に相性の良い相手だったと思います。一般的な質問がほとんどなく、ひたすら柔軟性を試すことばかり聞かれたためむしろ強みをアピールできたと思います。面接については、別途詳しく書きます。
■ 志望校選定
以下の理由からIEを第一志望としました。
・ランキング
とりあえずグローバルランキングのトップ20以内の学校に絞りました。
1.子持ちで、名の知れていない学校へ行くのはリスクが高すぎる。
2.トップ校は必要スコアが高い≒学生が賢い。入学後ガッカリするリスクを抑えられる。
3.家族・友人・その他に「なぜその学校へ行くことが良い投資か」を説明しやすい。
・場所
これまでの人生をアジアで過ごし、直近6年間をアメリカ企業に勤務した身として「アジアとアメリカはもう十分かな」という気持ちがありました。ヨーロッパ自体、住んだこともなければ旅行したこともほとんどなかったため魅力的でしたし、スペインは非英語圏であること、物価が安いこと、ヨーロッパ各地へのアクセスが良いことなどから、最初から有力候補でした。
・Diversity + アジア人比率の低さ
IEは全学生の92%がスペイン以外の国籍を持ち、700人のインテイクに70以上の国籍が入り混じるという特徴があります。最初は半信半疑でしたが、2月にビジットした際在学生の方々が興奮気味に「IEのDiversityは本物だ」と話してくださるのを聞いて確信しました。
また、留学生内の比率。たとえばフランスのHEC Parisでは学生の42%がアジア人ですが、IEの場合は15%ですし、日本人も毎年10人強のため全学生に対する比率としては少ないです。そこが気に入りました。
・校風との相性
僕のロールモデルでもある5歳上の友人(IEアルムナイ)と久しぶりにお茶した際「慶君はIE合うと思うよ。あの学校、変な人好きだし」と言われたのが始まりでした。
2016年2月にマドリードのキャンパスへ訪問してみたところ、学内の「雰囲気」が他の学校とまるで違うことに驚き。まるで格式張っておらず、先進的な感じ。ビジット時に学校を案内してくれたインド人留学生と話したところ”This school is forward-looking”と言われ腹落ち。その後在学生の皆さんの飲み会の場にも参加したところ、一人一人から感じる「熱」の量が圧倒的だと感じました。ほぼ直感で「ここに来たい」と思ったことが最後まで一番強いモチベーションでした。
・Dual Degree Program
僕の場合はデータ分析やデータの組織的活用を促進するためのソフトウェア企業で直近4年間働いてきたので、その方向でさらにエッジを出せると良いと考えていました。
たまたま、IEにはMBAと”Master in Business Analytics & Big Data”を同時に取得できる1年半のコースがあることを発見し、また学校としてもDual Degreeを推進していたので「これに応募すると、知識とスキルを深められると同時に説得力のある応募ストーリーが作りやすいな」と思いそれを選択しました。期間が半年伸びる上に学費が20,000ユーロ上がるので辛いですが、楽しみです。
■ 受験を振り返って
僕の場合は英語にそれほど問題がなかったこともあり、約1年という短期戦で受験を終えることができました。年齢的にもギリギリだったので、非常にホッとしています。
元々2歳の息子が1人おり、2016年10月には長女が誕生するという中での受験生活はなかなかにハードでしたが「こんなに苦しい思いをして、しかも大金を払ってビジネススクールに進学する人間というのは頭のおかしい人ばかりに違いない。僕は頭のおかしい人とたくさん知り合いたい」と逆にモチベーションが上がりました。
将来のキャリアについても、一応もとの会社に戻る選択肢は残しつつ、できればMBAのを起点に想定外なキャリアを作っていきたいと思っています。
僕の勝手な思いつきから始まった受験をサポートしてくれた妻、それから同居している妻の両親には感謝ばかりです。
最後に、もし何か疑問点、お役に立てることがございましたら、お気軽にご連絡いただければ幸いです。(keidgi@gmail.comもしくはツイッター)
僕自身多くの先輩方から助けてもらったので、受験生の皆様に少しでもお役に立てればと思います。
以上、最後まで読んでいただいた方、ありがとうございました。頭のおかしい人の世界へ来てくださる方、頭のおかしい人同士仲良くしましょう。