5月23日にソニーが開催した投資家やアナリスト向け説明会「Sony IR Day 2017」では、Xperiaシリーズの今後のロードマップが公開され、話題になっています。
ソニーがIRイベントで示したXperiaのロードマップ。
日本では「Xperia XZ Premium」と「Xperia XZs」の2モデルが発表されたばかりですが、ソニーモバイルは2017年度中にさらに2機種のフラグシップモデルを投入しようというのです。
思ってたより売れなかった「Xperia X」と「X Compact」
モバイル・コミュニケーション分野を代表して登壇したソニーモバイルコミュニケーションズの十時裕樹社長は、2014年度から取り組んできた構造改革は順調としつつも、2016年度のスマホ販売台数は2000万台の予定が、実際には1460万台と「未達」に終わったことを認めています。特に不振を極めたのが、海外市場における「プレミアム・スタンダードモデル」。これは海外でのみ発売した「Xperia X」と、日本ではドコモが発売した「Xperia X Compact」の2機種で、海外では計画の31%しか売れなかったとのことです。
2016年2月のMWCで「Xperia X」を発表した十時社長
海外では思ってたより売れなかった。日本では85%でドコモ版のX Compactが健闘した
そもそもXperia全体が海外で売れていないから、という要因もありそうですが、フラグシップは60%を達成していることから、プレミアム・スタンダードも50%程度の数字は欲しかったところ。31%はいくらなんでも低いといえます。
これを踏まえて2017年度はプレミアム・スタンダードの製品ラインが廃止され、フラグシップとミッドレンジの2ラインにシンプル化されることになりました。
■年度内に出るフラグシップ2機種とは?
では、2017年度中に投入するという2機種のフラグシップモデルはどのような端末になるのでしょうか。時期的には、これまでの傾向からグローバル向けには9月の「IFA 2017」で発表し、日本向けには大手キャリアの冬モデルとして期待されます。ここで注目したいのは、スライドの縦軸である「価格帯」です。このスライドは実際の価格をかなり正確に反映したと思われる作りになっており、2つの「New」で示される次期フラグシップの価格も予想できそうです。
まず、上に位置する「New」は、X PerformanceやXZ、XZsと同じ高さにあることから、Xperia XZsの後継モデルに相当すると考えられます。
価格帯を比較するため赤い補助線を入れてみた
説明会の中で十時氏は、他社のフラグシップ端末がどれも高額な部品を使うことで値上がりしていることを指摘しています。これに対してXperiaシリーズは、価格帯は維持したまま進化するのではないか、と予想できます。
他社フラグシップの値上がりを指摘。おそらくA社はサムスン、B社はファーウェイ、C社はOPPO。
次に、もうひとつの「New」はXZsよりワンランク安価なフラグシップモデルになりそうです。ここで期待したいのが、日本向けの「プレミアムコンパクト」です。日本ではフラグシップの達成率が104%と当初の計画以上に売れており、X Compactもそこそこ売れたことを考えると、「フラグシップのコンパクト」なら確実に売れるのではないでしょうか。
ドコモが発売した「Xperia X Compact」。フラグシップ仕様ならもっと売れたかも?
最後にソニーモバイルがプレミアムコンパクトと位置付けたのは2015年11月発売の「Xperia Z5 Compact」。2017年冬はそこからちょうど2年が経過したことで買い換えも期待できます。
ちょっと心配なのは、大手キャリアが夏モデルを発表するタイミングで早くも次のフラグシップモデルを予告すると、買い控えが起きるのではないかという点です。
とはいえ、ソニーモバイルがなんだかんだ言いつつも大手キャリアの期待に応えて半年ごとにフラグシップを出すことはお約束になりつつあり、大きなサプライズではないこともたしかです。