ローカルポケGOとなるか? 群馬県『上毛かるた』を集める位置情報ゲームを遊んでみた

ローカルポケGOとなるか? 群馬県『上毛かるた』を集める位置情報ゲームを遊んでみた
image: 小暮ひさのり

力合わせる◯◯万

群馬県には『上毛かるた』といった県の名所にちなんだかるたがあります。冒頭は「ち」の札で、僕の時代は180万でしたが、今では200万。これは群馬県の人口を表しています。年代によってここに入る数字が変わるため、飲み会の席などで盛り上がったりするんですよ。

この上毛かるたは、1947年に誕生。そして現代に至るまで、百人一首と並んで大会が開かれるほどに群馬県民にとってはメジャーなかるたなんです。僕も小・中学生の時は県大会(事実上の世界大会でしょう)に出場するほどやりこんでいました。

さて、こんなローカルかるたですが、なんと緑と青の陣取りゲームやモンスターを集めるゲームのような、スマホのGPS機能(位置情報サービス)を使い、現実世界をフィールドとして現実とゲーム世界とのミキシングを楽しむことができる位置情報系ゲーム?となったのです。喜べ群馬県民!

アプリ名は『札ッシュ!! 上毛かるたGO!』で、iOS/Android共にリリースされていますよ。

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screenshot: 札ッシュ!! 上毛かるたGO!

位置情報コンテンツは確かに最先端なのですが、全世界をフィールドとした規模でやると、さまざまな問題やトラブルが発生したり、開発側の資金・体力が必要になるといった難題もあります。

一方でこちらは群馬県。しかも44枚という札の数だけといった制約によって、あらかじめこじんまりと作っているのが良い点ですね。まぁ、「位置情報ゲーム」なんて言ってみましたが、感覚的には位置情報を使ったスタンプラリーです。

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screenshot: 札ッシュ!! 上毛かるたGO!

メインコンテンツはこの札探し。上毛かるたのモチーフになっている場所に赴くと「札取りモード」が発動し、カメラをかざして絵札を探して取るといった収集ゲームです。

44枚といえど、群馬県はかなり広いうえ、あまり交通の便の良くない地域にもモチーフになった場所があります。つまり、すべてコンプリートするのはかなりの労力が必要となりますが、「上毛かるたをめぐる旅」なんてのも面白いかもしれませんね。名前は聞いたことがあっても、行ったことがない観光地というのはたくさんありますし。

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screenshot: 札ッシュ!! 上毛かるたGO!

ただし、無残にも札には90日間という保有期間が備わっていて、これを過ぎると「失効札」となります。つまり90日間の間に県内44カ所を周りきらねばなりません。3カ月間、毎週土日、合計24日間をすべて札めぐりにつぎ込んだとしても、1日2カ所ペースで県内を回らねばならないのです。「水上」や「草津」など、都市部からは高速道路や鉄道での長距離移動が必要な地域などもあり、なかなかにハードルが高いルールです。

個人的には、90日という保有期間を設定したところには納得できません。

観光地はそれぞれ、見どころとなる季節が違います。ゆっくりでもいいから、いろいろなところを回る機会、県内の良いところに出会う機会を与えるといったテーマで良かったんじゃないかなぁ……って思うんですよねぇ。先程述べた「み」の札なんて「水上谷川スキーと登山」。どうせ行くなら、雪遊びが楽しい時期に行きたいじゃないですか。

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screenshot: 札ッシュ!! 上毛かるたGO!

また、ゲーム内通貨である「カル」の存在も謎です。「かるた取り対戦」で取った手札に応じて貰えたり、先程の「札取りモード」で絵札を見つけたときに貰えたり、その後のクイズに正解すると貰えたり、さらにはログインボーナスとして貰えたり。稼ぐ手段はたくさんあるのですが、それを使う手段がまだ未実装。現状、ただ集めるだけの数字です。

しかも、「かるた取り対戦」に挑戦するには15カルが必要ですが、初級では全てのかるたを取っても10カルしか貰えないため、やればやるほど赤字です。かるたを遊ぶ世代を増やしたいと狙うのであれば、せめてトントンになるくらいの調整は必要でしょう。

また、利用規約には課金に関する注意書きがあります。将来的には「カル」の課金化を狙っているのかもしれませんし、なんとなく記載しておいただけなのかわかりませんが、こじんまりとしつつも、妙に色気を意識した作りになっている点も……。

というわけで、所得した札に謎の保有期間が設定されていたり、一部コンテンツはまだ未実装だったり、協賛してくれる店やスポットが絶賛募集中だったり、アプリ内ポイントがあるものの利用用途がまだ未実装だったり、アプリ内ポイントを貯める為のかるたゲームの判定が謎だったり。

現状では、まだまだ作り込みが甘いと言わざるを得ません。もう少しゲームの目的を伝わりやすくしたほうが良いかもなぁ……って思いました。

でも、地域や店舗と連携しつつ県内の活性化を狙いたい!といった思いは強く感じさせられますし、頑張ってほしいと思います。ブランド総合研究所が行なった調査で、群馬県の魅力度ランキングは47都道府県中45位(2016年)。しかし、このアプリが大成した暁には、1位の北海道様をその座から引きずり落とすことも夢ではないでしょう。

ごめん嘘。

でも、謙虚に30位くらいは狙いたいと思っている、いち群馬県民です。

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image: 小暮ひさのり, 札ッシュ!! 上毛かるたGO!
source: Jinkawiki, 札ッシュ!! 上毛かるたGO!, ブランド総合研究所

(小暮ひさのり)