苫米地英人は何者なのか?【本人監修公認記事】

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苫米地英人pic.p彼の名前は耳にしたことがあるけれど、「一体、何者なんだ?」と疑問を持っているのではないでしょうか?

その疑問を解き明かすべく、この記事では苫米地英人の実態を徹底的に解明していきます。

苫米地英人とはどんな人物で、苫米地理論を学ぶことにどんな意味があるのか。この真実に迫っていきます。

<苫米地英人プロフィール>

1959年、東京生まれ、長髪と皮パンがトレードマークの認知科学者です。科学者としての専門分野は、機能脳科学、計算言語学、認知心理学、分析哲学、計算機科学離散数理、人工知能と多岐に及びます。全てまとめて認知科学者と本人は言っています。他にも、経済学や歴史といったあらゆる分野の学問においてたくさんの知識を持っています。

その経歴を振り返ると、特筆すべき実績が多数出てきます。マサチューセッツ大学を経て上智大学外国語学部英語学科卒業後、三菱地所へ入社しています。一度は、日本の大企業へ入社してサラリーマンをやった経験もあるということです。

その後、フルブライト留学生としてイエール大学大学院に留学、人工知能の父と呼ばれるロジャー・シャンクから学んでいます。イエール大学大学院認知科学研究所、イエール大学大学院人工知能研究所を経て、コンピュータ科学の分野で世界最高峰と呼ばれるカーネギーメロン大学大学院哲学科計算言語学研究科に転入しました。そして、そこで全米で4人目、日本人として初の計算言語学の博士号を取得しています。

具体的な実績については、かなり多くの分野にわたるので、後程ジャンルごとにご紹介していきます。

目次

1. 苫米地英人密着取材
  1-1 密着取材【ビジネス編】
  1-2 密着取材【プライベート編】
  1-3 Q&A【情報処理編】
  1-4 Q&A【世界一のマインド編】
2. 苫米地英人とは
  2-1 苫米地英人から何が学べるのか
  2-2 苫米地理論を学ぶと何が得られるのか
  2-3 苫米地英人のゴール
3. 苫米地英人が持つ9つの顔
  3-1 認知科学者としての苫米地英人
  3-2 コーチとしての苫米地英人
  3-3 脱洗脳家としての苫米地英人
  3-4 英語学習教育者としての苫米地英人
  3-5 金融プロフェッショナルとしての苫米地英人
  3-6 仏教専門家としての苫米地英人
  3-7 プログラマーとしての苫米地英人
  3-8 ディベーターとしての苫米地英人
  3-9 ギタリストとしての苫米地英人
4. 苫米地理論用語解説集
  4-1 ゴール
  
4-2 コンフォートゾーン
  
4-3 ブリーフシステム
  
4-4 ホメオスタシス
  
4-5 ドリームキラー
  
4-6 ステータスクオ
  
4-7 スコトーマ
  
4-8 RAS
  
4-9 セルフ・エフィカシー
  
4-10 セルフ・エスティーム
  
4-11 内部表現
  
4-12 変性意識状態
  
4-13 ラポール
  
4-14 抽象度
  
4-15 空
  
4-16 縁起
  
4-17 IQ
  
4-18 クロックサイクル
  
4-19 グレインサイズ
  
4-20 モーダルチャンネル
  
4-21 クリティカルエイジ
  
4-22 アファメーション
  
4-23 無意識
  
4-24 アティテュード
  
4-25 ハビット
  
4-26 非言語
  
4-27 トゥールミン・ロジック
  
4-28 ゲシュタルト
  
4-29 機能音源・特殊音源
  
4-30 共感覚
  
4-31 バイオパワー
  
4-32 超情報場
  
4-33 右脳言語野
5 まとめ

1 苫米地英人密着取材

多彩なジャンルに跨る膨大な仕事をいとも簡単にこなしていく苫米地氏。しかし、メディアに出ている姿以外にどんなことをしているのか、謎に包まれた部分が多いのも事実。

そこで、実際に苫米地氏がどんな1日の使い方をしているのか、ビジネスの日とプライベートの日、それぞれ1日ずつ密着取材してきました。

1-1 密着取材【ビジネス編】

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【木曜日】

■11:30 都内某ホテル集合
ビジネスランチに出席するとのことで、都内某ホテル集合で始まった密着取材。集合時間になると現れたのは秘書1人。
急遽、秘密の重要なアポが入ったため予定を変更して、ビジネスランチには秘書さんが代理出席になったとのこと。

■12:00 某団体ビジネスランチ開始
秘書さんが参加したビジネスランチには、ある国の大使なども参加されていました。
苫米地氏は、当団体の会合に度々出席しているようで、各国大使と定期的に意見を交わしているとのこと。

■14:00 某団体ビジネスランチ終了
ビジネスランチが終了し、秘書さんの時間が少しあるようなので、苫米地氏についてインタビューさせていただきました。

■16:00 編集者N氏による書籍取材
常に複数の書籍執筆を並行している苫米地氏。16:00からは編集者N氏による書籍取材の時間でしたが、苫米地氏は午前中の緊急アポが長引いている様子でした。
その間、オフィスにある苫米地氏のギターやパイプのコレクションを見学させていただきました。
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■17:30 苫米地氏オフィスに到着 取材開始 出版社K社到着
17:30になり爽やかに苫米地氏がオフィスに到着。苫米地氏がいる部屋に入ると、ジャズを聴きながらパイプに葉っぱを詰め、パイプの掃除の最中。オフィスには大量の高価なパイプが置いてあり、部屋にはパイプをふかした香りが漂っています。

音楽を流すアンプは大きい音用と小さい音用と分けるほどのこだわり。マークレビンソンの’73年の最初のモデルと’80sのものと最近ものがありました。また最近は、ダンダゴスティーノというメーカーのプリアンプとモノラルパワーアンプ2台もお気に入りだそうです。’60年代に500ペアしか作られていないため超レアだと言われるマランツ9があり、しかもシリアル2と4というマランツ本人が彼女にプレゼントしたペアが苫米地氏のオフィスにはあるという贅沢な環境。

そのまま編集者N氏による書籍取材開始。編集者N氏が質問すると、マシンガンのように語り始めました。また、17:30からのアポイントである出版社K社さんが苫米地氏到着の少し後に来社。

■18:30 オーディオルーム案内
image編集者N氏の取材が終わると、自慢のオーディオルームを私たちに案内。なんと、ロック、ジャズ、クラシックそれぞれに専用のオーディオルームが存在。

1台500万円もするオーディオ機器が山のように積み上げられていました。巨大なスピーカーはもちろん、オーディオ機器を繋ぐケーブルは手首ほどもある太さ。

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■18:40 出版社K社打合せ開始
出版社K社の打合せ。契約関連の打合せのため、同席せずにオーディオルームなどを見学。

■19:15 着替えなど
東京MXTV「バラいろダンディ」に出演するため、出演用の衣装へ着替え。たくさんのブランドもののネクタイから選択。

コートは米軍スタイルのものを着用。雨が降ったときは大きいサイズのものを着るそうです。同じコートを3サイズも持っているとのこと。

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着替えが置いてある部屋にはベッドもあり、ベッドの横にはメラトニンのサプリメントが。苫米地氏はノンレム睡眠に早く入る簡単な方法として、著書『15歳若返る脳の磨きかた』の中で、このサプリを使う方法を紹介しています。

■19:35 ロールス・ロイスに乗り込み東京MXTVへ移動
image運転手さんがオフィスへ到着し、苫米地氏所有のロールス・ロイスに乗車。
車内では、普段は聞けない苫米地氏の日常と情報処理術について質問実施。(※質問内容は後述の「1-3Q&A【情報処理編】」をご覧ください。)

■19:50 東京MXTV到着
楽屋に入るとすぐに番組の資料確認。苫米地氏の読むスピードはかなり速い。(『誰でも簡単に修得できる苫米地式「正しく理解を促す速読術」』という記事もございます)

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■20:00 東京MXTVスタッフ打合せ
番組スタッフと打合せ。打合せは15分ほどで終わり楽屋に戻ってくると、再び資料確認。苫米地氏のプレゼン資料で抜けているポイントを発見し、早速番組スタッフへ追加指示。この日のテーマはサイバー攻撃対策。

資料を確認後、夕食としてミッドタウンで秘書さんが買ってきたお寿司を食べながら、iPadで情報収集。

■21:00 「バラいろダンディ」本番開始
本番中もiPadを駆使しながら、様々な情報をプレゼンしています。

■22:00 「バラいろダンディ」本番終了
本番終了後、すぐに東京MXTVから出て、ロールス・ロイスに乗車。

■22:30 政府関係者との秘密の会合
この会合はオフィス以外の場所で行われ、同席は不可。なかなか公にできない政府系の仕事が多い様子。

■23:00 出版社S社及び元オウム信者S氏来社
出版社S社と元オウム信者S氏が来社。苫米地氏は前の重要なアポが長引いている様子。

■23:20 出版社S社取材開始
苫米地氏がオフィスに戻ってきて、取材開始。

オウム真理教が地下鉄サリン事件を起こしてから年月が経っているため、知らない人も増えましたが、苫米地氏はオウム真理教信者の脱洗脳や警察への捜査協力を行い、多大な貢献実績があります。苫米地氏の名前が有名になったきっかけでもあります。

脱洗脳を本格的に行える人材はほとんどいないため、今でも脱洗脳などの依頼があるようですが、現在はほとんど受けていないとのこと。

■00:30 フォレスト出版緊急インタビュー開始
予定していたスケジュールは、出版社S社の取材が最後のアポ。普段も00:00以降は一人で処理する仕事の時間に充てているとのこと。また、プライベートの予定も00:00以降に入れるようで、00:00以降に友人からの相談に乗ることが多いそう。秘書も00:00以降は基本的にスケジュールを入れません。

しかし、今回は特別に急遽お時間を取っていただき、00:30という時刻にも関わらず、インタビューを快諾。

苫米地氏は非常にマイペース(苫米地氏は頭の回転が速く、マイペース自体が凄く速い)であると同時に、目の前の人に対して非常に優しいことを体感。深い知識を伝授してもらっているようでもあり、コーチングを受けているようでもあるという奥深い時間となりました。(※インタビュー内容は後述の「1-4Q&A【世界一のマインド編】」をご覧ください。)

1-2 密着取材【プライベート編】

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【金曜日~土曜日】

■00:30 ニコニコ動画生放送「なまべちでGO!!」終了
金曜日の夜は「なまべちでGO!!」の生放送。放送が終了したのは00:30。この日は少し放送時間が後ろ倒しになっていた模様。

■01:00 アメリカ関係者対応
深夜は一人で仕事をこなす場合の他、時差があるアメリカ関係者の対応を実施。この日は、アメリカ関係者の対応を4:00頃まで行っていたとのこと。

■04:00 就寝
普段は6:00頃寝ることが多いようですが、この日はアメリカ関係者対応が終わった後、少し早く4:00に就寝。

■08:00 起床
普段は12:00頃起きることが多いですが、休日のこの日は8:00に起床。

朝食はペーズマジックのハンバーガー。朝からアメリカンな朝食。

■13:45 東京ヘリポート集合
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この日はヘリコプターで茨城県のゴルフ場まで行く予定なので、東京ヘリポート集合。集合時間に現れたのは、苫米地氏の友人。今回行くのはその友人がオーナーのゴルフ場とのこと。

オーナーは苫米地氏の著書の半分以上を読んでおり、抽象度などのコンセプトを従業員にも伝えて、経営に役立てているそう。

■14:00 苫米地氏フェラーリで到着
秘書さんと共に苫米地氏がブラックのフェラーリで到着。

■14:10 ヘリコプター離陸
苫米地氏はレッドのヘリコプターを自分で所有していますが、東日本大震災のときに東北地方へ貸し出し、それが戻ってきて今はメンテナンス中とのこと。そのため、この日は運行会社のホワイトのヘリコプターに搭乗。

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ヘリコプターは時速230km~250kmで飛行し、車で2時間半かかるところを30分強で移動しました。

■14:45 ゴルフクラブ着陸
目的地のゴルフ場の前に、ヘリポートのあるゴルフクラブへ着陸。すでにお迎えの車が来ており、その車に乗り換えて別なゴルフクラブへ15kmほど移動。

■15:00 ゴルフクラブへ到着し昼食
友人がオーナーのゴルフクラブに到着し、みんなで昼食。苫米地式トレーニング通り、メニューを見たらすぐに「天ぷらそば定食」に決めていましたが、いつのまにか「アメリカンハンバーグ定食」に変えていました。

朝食がハンバーガーだったので一度は「天ぷらそば定食」にしたけど、隣の秘書さんが「アメリカンハンバーグ定食」を頼んでいるのを見て、やっぱりお肉が食べたくなったそう。

昼食の間は、所有しているフェラーリやポルシェをレーシングサーキットで走らせている話などで楽しく談笑。

■16:10 神社へ登る
image今回ゴルフクラブに来た目的はゴルフをプレイすることではなく、ゴルフクラブ駐車場に入り口がある隠し神社を訪れるため。

この神社を建てたのは、水戸黄門で有名な水戸二代藩主・徳川光圀。約200段の階段を登ると山頂から周囲を一望できる場所に辿り着きます。水戸黄門はドラマのように全国を回っていたのではなく、毎日この神社の山頂からこの景色を眺めていたそう。

苫米地氏は仏教だけでなく、神道や風水、道教、歴史にも精通しており、山を登りながら、陰と陽や神仏習合に対する考え方などをレクチャーしてくれました。

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■16:40 ゴルフクラブ施設内見学
隠し神社からゴルフクラブの施設へ戻り、宿泊部屋や大ホールを見学。苫米地氏自身でセミナーや合宿を開催することもあるので、自分自身が使うイメージング。ライブができるホールに入ったときには、自ら手を叩きながら音響の環境をチェック。

■17:00 車で出発
ゴルフクラブを出発し、別なゴルフクラブのヘリポートへ到着。すぐにヘリコプターへ搭乗。

■17:15 ゴルフクラブ離陸
ヘリコプターの中での苫米地氏は、iPadを取り出し、Google Mapで自分たちの航路を確認していました。

■18:00 東京都上空を遊覧飛行
着陸する前に東京都都心上空を遊覧飛行。東京スカイツリーや東京タワー、六本木の高層ビルを上から眺めました。

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■18:10 浦安ヘリポートへ着陸
image着陸は出発のときとは異なるヘリポートへ着陸。
苫米地氏のフェラーリはこちらに輸送されています。

■18:15 解散
着陸するとそのまま解散。プライベート密着はここで終了。
苫米地氏はフェラーリに乗り込み、六本木へと帰っていきました。

おおよその1週間のスケジュールを聞くと、日曜日はセミナー開催が多く、月曜日と火曜日はアポを入れず、個人の業務を進める日。水曜日~金曜日はアポが詰まっていることがほとんどとのこと。普段の土曜日は家族と過ごすことが多いそうですが、この日の土曜日は神社見学でした。

1-3 Q&A【情報処理編】

Q:インプットはいつしているんですか?

<苫米地氏>
ほぼ24時間。日本の新聞は、読売は読まないよ。iPadで読みづらいから。だから、産経、朝日、毎日、東京、日経だけ。あとはGoogleでニュースとかたまに見るけど。日本の新聞はそれだけ読んでれば十分。

あとは、海外のはだいたい読んでる。アルジャジーラとエルサレム・ポスト読んでるから。そうすると右左中庸。あと、コリアンヘラウドとルモンドも読んでるな。両方英語版だけど。あと、ウォール・ストリート・ジャーナルとニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポストは毎朝必ず読む。

※苫米地氏のiPadにWSJから更新情報
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Q:朝起きたらすぐ読むんですか?

<苫米地氏>
最近は寝る前に朝読む方が多いけどね。寝る前に朝刊出てるから(笑)。あと、起きてから1時間はベッドの上で新聞タイム。各社の新聞とフォーブスは読んでるな。

Q:普通の書籍とか時事ネタじゃないものは?

<苫米地氏>
書籍は読まない。読まないっていうと失礼だけど、謹呈される本はいっぱいあるからね。それは義理でサラッと読むけど。知識としては、書籍は二次、三次情報だから。一次情報はいろんな国の要人と内緒で会うからさ。そこから手に入れてる。日本も含めて。興味があれば、その役所の官僚と直接会うからさ。あとは、国立国会図書館に行けば、ダーッと資料が集まるし。もちろん、それは秘密の情報でも何でもないけど。だた、そうしないと一次情報は集まらないからさ。

Q:なるほど。じゃあ、一次にこだわると。

<苫米地氏>
そうそうそう。あとは、オフレコ話とそうじゃない話は気を付けてるからさ。信用もあるし。彼らに俺が与える情報もあるからね。俺が他所の一次情報いっぱい持ってるから、そういう意味では情報的にもバーターだし。

Q:じゃあ、もう毎日のルーティーンで新聞を取ってる……

<苫米地氏>
それは社会で今何を言われているかを知るためで。でも、それでもたまには良い情報あるけど。あと、ロイターは目を通してるから。ロイターは結構がんばって良いスクープ流してるんだけど、日本の新聞、テレビは一切報じないものが多いからね。

Q:それは政治的な絡みがあるんですか?

<苫米地氏>
そうそう。だって、この間の年末までに株価が上がったのは、全部年金基金が証券会社を通して買ってたっていうのをロイターがスッパ抜いたんだけど、どこも書かなかったから。今も政府は「株価が上がった、アベノミクス!」って言ってるけど、GPIFが買ってるだけ。そういうのはどこも書かない。でも、そういうのを堂々とロイターは書いてる。

そうすると、言っていい話と悪い話は百も承知だけど、官僚たちと話してるし。アベノミクスが嬉しい官僚もいればそうじゃない官僚もいるわけだし。政治家もそうだけど。両方から情報来てるから、だいたいわかってるからさ。だけど、それを流して良いかどうかは別じゃん。ロイターが流した後は、俺がMXTVで言ったって何の問題もないじゃん。ロイターが書きましたって言って流すわけだから(笑)。

Q:基本的には1日2時間でしたっけ?

<苫米地氏>
寝る前1時間、朝起きて1時間だな。ただ、日本の朝刊が寝る前になる場合と朝起きてからになる場合があるから。

Q:基本的には聞いたところによると6時くらいに寝る?

<苫米地氏>
だいたい6時くらいに寝る。

Q:それは夜の時間が集中できるとか、そういうことなんですか?

<苫米地氏>
夜の時間は秘書も知っちゃいけない秘密仕事がいっぱいあるからね(笑)。危ない目にあわせるわけにいかない(笑)。普通の人のように夜ピンポーンってやって来る人たちがだいたい変わった人だったりするわけだ(笑)。

Q:だから夜が。

<苫米地氏>
そういうのもあるね。彼らと俺の付き合い。あと、海外との連絡はどうしても夜中になるしね。

Q:じゃあ、あえて起きてるわけですね?

<苫米地氏>
そう、あえて起きてる。もちろん、本の執筆は、集中するのは夜しか無理だから。昼間は空きがあれば秘書がアポイント入れるでしょ。だから、本は、最低3,4時間は集中時間がないと、一気にやれない。原稿チェックだけだって2〜3時間かかるぜ。ゲラ上がってきたらやる。

Q:今も自分で書かれてるんですか?

<苫米地氏>
あのね、口述がほとんどね。ただ、物による。相手の出版社がダメダメだとほとんど自分で書いて渡す。慣れてきたりするとほとんど口述。だからそれは、出版社の編集者の能力次第。普通はフォレストは良いけど。だけど今回のは、7回目書き直し(笑)。まぁ、今回はアップデートな時事ネタもあるのと、政治ネタがあってさ。日々会ってる政治家、あと政治家の後援者たち。俺が何を書くかを日々ウォッチしてる人たち。そういう人たちとの駆け引きもあるから。

Q:インプットはiPadで見るとして、整理する時間は必要ないんですか?

<苫米地氏>
その瞬間に整理されちゃうから。あのさ、何事もそうだけどさ、自分がフェラーリとポルシェどっち買ったらいいってときに、悩んだら永遠に悩まない?スペックを読んでも、そんなに違いわからないよ。値段は一千万違うけどさ(笑)。それにしたって、その一千万の差の価値があるかは永遠にディベータブルじゃん。結局、俺はフェラーリ3に対して、ポルシェ1っていう不審な比率になったけど(笑)。

だけど、それぞれどれにしようかなっているときは、悩まないよ。一瞬。良いものがあれば。今日届いたアンプもそうだけど、昨日の晩、都内のステレオ屋みたいなところ、結構大手のところに入ったっていう情報が入った。「じゃあもう買ったよ」ってなる。同じもの俺2台持ってるのにさ(笑)。それで、ダメだったら倉庫行き。一晩通電して良けりゃ、あそこの中(オーディオルーム)に入り込む。

Q:自身で吟味するってことはないということですね?

<苫米地氏>
吟味するっていうのは、他の人がおそらく半年悩むことを俺は一瞬で決められるから。情報処理の速度の話とゲシュタルトができてるかどうかということ。あとはリスクをどう担保するかだから。そうでしょ。昨日買ったやつは、いくらで買ったかな…。出たときは180万円のアンプなんだよ。1980年代くらい。その頃の180万円だと今の500万〜600万円に相当すると思うけど。今はもう80万円、90万円。あれは90万円したかな。

状態が悪ければ、60万〜70万円。良ければ90万円ぐらいだよね。おそらく90万円のものを買ってダメだったらどうしようとか、あんまり悩まないでしょ。もちろんだって、90万円のもの、80万円で売れるだろうから(笑)。70万円なら絶対売れるだろうし。70万円じゃ相場以下だから。だから10万円損するかもしれないっていうレベルの話だからさ。でも、良い音が出たらあそこの5,000万円セットの中に入り込める(笑)。

Q:逆にアウトプットに関しては人と会って出していっている感じですか?

<苫米地氏>
アウトプットは相手に合わせて出すから。いわゆる対機説法みたいな感じ。だから、週刊女性だったら主婦向けに。MXTVだったら、俺の場合ちょっと視聴者層を大人にしてるけど。普通のテレビは中学生くらいなの。小学生にしてくれって言うんだよね、放送作家たちはだいたいね。老人のIQって実は小学生くらいだから。だから、それも含めて小学生がわかるくらいの話してくれって言うけど。それだったらバラエティ見ろって俺はいつも言うのね。

大人だけど、専門家じゃない大人。今日、サイバーのウィルスの話するんだけど、先週ちょこっと話したらちんぷんかんぷんだったって言うから、5分間かけて「言わせろ」(「バラいろダンディ」のコーナー)で話すんだけど。ますますわかんなくなってるかもしんないよ(笑)。でも、それ大人だったらわからなかったら困るよってレベルで喋ってる。後は、Youtubeとかに流れる録画をググりながら何度も見てという感じ。

Q:世間的な人は情報・知識が足りないと?

<苫米地氏>
圧倒的に知識がない。勉強してないからさ。今ぐらいの情報インプットは、俺にとっては一生の中では少ない方。だって、大学院生だった時代だったら、おそらく夜寝てるとき以外はずーっと学んでたし。研究者のときも変わらないよ。ただそれが研究に変わるだけで。分野は狭まるけど。今は人と会って、本書いてる時間の方が長いわけだから。

でも、インプットは普通の大人より遥かにしてるから。アルジャジーラとエルサレム・ポストを毎日読んでる人たちがどれだけいるかね。ルモンドとコリアンヘラウド、ニューヨーク・タイムズとウォール・ストリート・ジャーナル、ワシントン・ポストは外さない。それも英語で読んでるからさ。ピケティもちゃんと英語で読んでるからさ。

という意味ではアウトプットは人より多いけど、それより遥かに長い期間を、40年くらい続けてるわけ。少なくとも30年は間違いなく続けてるよ。だから、知識の絶対量が圧倒的に違う。普通のサラリーマンはね、大学生のとき一番知識があって、後は自分の会社の仕事的なのは知識って言わないからさ(笑)。ルーチンワークとしてのスキルは上がってるけど、いわゆる一般化できる知識なんかは大学のときで終わりだからさ。それとそのあと、30年間お勉強し続けたらだいぶ違わない?

Q:大学のときは書籍情報も?

<苫米地氏>
大学のときはディベートやってたから、今の国会議員でマジメに法律作ってる人たちぐらい真面目にお勉強やってたよ。だって、夏休みは全て国会図書館閉じこもってたし。それ以外は本とかさ、まさに官庁にいっぱいインタビューして。当時俺らが税制改革のディベートやったときはさ、大蔵省の官僚から「この資料俺らにくれ」って言われたくらいだからさ(笑)。いっぱい集めたやつ、データ取ってきて。きっと、「議員たちに見せる資料にこれ入れよ」と思ったんだろうけど。「良いアイデアだね」みたいなやつ。彼ら税制改革やりたかったからさ。大学生の資料だって量を集めれば、現役の官僚が使いたくなるわけだからさ。そのくらいは当時やってた。

Q:その頃からWant toなんですか?

<苫米地氏>
Want to、 Want to。そのときは単にディベート勝ちたいってそれだけじゃん(笑)。それはさ、だからさ、ザリガニ死なせたくないって子どもがザリガニについて一生懸命学ぶのと同じで。俺はディベート勝ちたいっていうことね(笑)。そのときに俺はさ、IQ低いもので勝つのは興味ないから、IQ高いもので勝ちたい。そうなるとディベートで世界チャンピオンってことになる。それで、日本では敵がいないからアメリカ行ったんだけどさ。

研究者のときは、勝ちたいっていうよりは解明、科学だからさ。人間の頭の中を知りたいという気持ち。それは心と脳の両方だけど。そうなるとさ、哲学者が大先輩だしさ。アリストテレスの時代から現代哲学まで読む本は死ぬほどあるよ。脳はあんまり研究されてなかったけど、それにしたってそれなりの知識はあるし。心理学だったら、嫌っていうほどある。

1-4 Q&A【世界一のマインド編】

Q:苫米地博士が最初に打合せをしているときに匂いを嗅いで、すごく心地が良いと思いました。それは匂いからくるのか、そうではなくて場からくるものなのか?

<苫米地氏>
なるほど。全部ワンセットだからね。この部屋だけで金がかかってるからね(笑)。

Q:ここ(苫米地氏オフィス)もそういうインテリアとかも考えてセッティングを?

<苫米地氏>
それはもちろん。東京タワー見えるし、ヒルズ見えるし、良い場所じゃない。ミッドタウン見えるし。

Q:そういう環境は……

<苫米地氏>
重要。

Q:それは自分にとっても……

<苫米地氏>
自分にとっても重要だし、相手にとっても重要。

Q:コミュニケーションを築くのに重要。

<苫米地氏>
重要。だってさ、なぜ企業人が銀座で接待するかっていうと、さっき俺はスタバで打合せしたんだけど、スタバじゃ誰もありがたがってくれないの。そういう空間ってあるでしょ。そうするとさ、世界で今、一番使える場所は六本木なんだよ。純粋にオフィスなら丸の内だけど。

Q:世界で、ですか?

<苫米地氏>
だって外資系のJPモルガンの支店長みたいな人が東京来るでしょ。そうすると、結構辞めて日本に住んでる人が多いんだよ。六本木に来ちゃうと、もうニューヨークとか帰りたくない。

Q:なるほど。

<苫米地氏>
だって、犯罪ないし、飯美味いし、ニューヨークの快適な生活は全て六本木にあるわけ。景色もすごく良いじゃん、すぐそばに東京タワーあるし。今、世界で良い街は六本木なのね。住居としての話だよ。

Q:そうなんですね。

<苫米地氏>
少なくとも外資系の銀行員たちにはさ。もちろん、東京都内だったら似たようなとこはあるのかもしれないけど、でも六本木みたいに24時間バーがやってる地域って少なくない?この辺にも24時間バーいくつかあるんだけど、朝7時から酒飲めるよ。24時間酒飲めるし、24時間飯食えるし。それが単にラスベガスやマカオのギャンブラーたちに向けてやってるとこみたいに昼夜がないわけじゃなくてさ。昼夜があって、夜は夜の楽しみ、昼は昼の楽しみ。でも、違うこともできるし。

何と言っても、深夜に一人でも女の子が街を歩いてても痛くもかゆくもない。そうなるとさ、安全性だったら日本全国どこでもだけど、ニューヨークやロンドンに負けない文化がある。目の前に美術館があって。飲み屋もあれば、何でもある。そういうとこって、今まさに六本木ぐらいしかなくない?だから、外資系の銀行員たちが六本木に来る。もちろんオフィスが多いし。

結構ファンド始めたりして、辞めて日本に住みついてる外資系の大金持ちは日本にいっぱいいる。もちろん彼らはさ、外資系で10億くらい稼いでるから、働かなくたってとりあえず住んでけるのかもしれないから。だから、今世界で一番良い場所はここなのよ。その中でも特に良い場所を俺はわざわざ1フロア抑えてるんだからさ。JPモルガンだって1フロア抑えられてねぇぜ(笑)。今後は丸の内もそうなっていくよ。

Q:その環境づくりから……

<苫米地氏>
その環境づくり重要。だから銀座と同じでさ。だから、「世界で一番金持ちになりたい人はここ来い」という感じ。「世界で一番影響力を持った思考をしたい人はまずここ来い」この空間ね。ここから見る東京の全景を見てさ、あそこにGoogleいるなとか、あそこに昔、有名起業家たちがいたんだけど、もういないのよ、とか。有名IT企業も逃げたけど、とか。わざわざ言わなくても、みんなの頭の中になんとなくある中で東京タワーが見えてさ、ヒルズが見えて、ミッドタウンが見えて。

Q:それは苫米地博士の非言語情報とは違うんですか?

<苫米地氏>
非言語情報だよ。そこで鳴っている音は本人たちわからなくたって、どれだけ金がかかってることか。マランツさん本人が彼女にプレゼントしたマシンが置いてあるわけ(笑)。

Q:たしかにおっしゃる通りですね(笑)
ところで、例えば、苫米地博士のいう変性意識状態・トランス状態を作って場を共有しなさいっていうお話がありますよね。コンサルタントのビジネスだと、クライアントから相談をもらったら、それを解決するために、鮮明なビジョンと具体的な解決策を示します。そうすると、自ずとクライアントたちが変わっていきます。こういうのは洗脳と呼べるのでしょうか?

<苫米地氏>
まぁね。だから、洗脳というより洗脳技術だよね。洗脳っていうと、第三者の利益になるやつで、本人の利益になるものを洗脳って言わないのね。だから教育は洗脳って言わないし。場所によってはあっちの洗脳とこっちの洗脳とは違うかもしれないけど。ただ、本質的にはその地域、その文化、その時代で本人以外のためにやる行為を洗脳っていうのね。

コンサルタントは本人の利益のためにやってるわけだから。そういう意味では、定義上は洗脳じゃないけど、やってる技術は洗脳技術。それをできない人はコンサルタントになれるわけないよ。その会社の長年のやり方を変えないといけないし、クライアント本人が生まれ育った頭の中身を変えてあげなきゃいけないわけだから。だから、洗脳と同じ技術は必要。ただ、定義上洗脳って言わないだけ。

Q:すると、洗脳の技術の一部なのか。そこを磨いていくともっと違う世界が見えてくるのでしょうか?

<苫米地氏>
あのね、洗脳の技術の一部というか。最後は、洗脳でもないんだよ。技術でもない。わかる?釈迦とかのレベルはこれ。空ってことでしょ。空ってことは全てが心を生み出してるんだから。全てが心を生み出してるの当たり前(笑)。ただし、そこまで行けるかどうかの話だから。だから、最後はそんなの当たり前でしょ。本当に心が全てを生み出せるって、単に心で思うだけじゃなくて体感的にも、行為としても。そういう境地になればさ、そんなの当たり前でしょ。

でも、そうじゃない人たちが毎日いるわけ。目の前の本能的なことに囚われてたりとか、一応カッコいいこと言ってるけど、「言い訳聞いてみると全部カネじゃん」みたいなの多くない?戦争だってそうだしさ(笑)。政治家の言ってる論理もよく聞いてみると「えー、カネじゃねぇか?」と思うことが多い(笑)。まぁ政治家の場合「票だね」かもしれないけど(笑)。だからそれ、身近な煩悩で。カッコいい理論武装してるだけだからさ。

Q:そういうのをすごく極めてくると、洗脳できることが当たり前っていう認識に変わって……?

<苫米地氏>
まぁ、そうだよね。なんていうのかな……。洗脳というか、他の人の内部表現を自由自在に書き換えられる、それだけでは洗脳とは言わないわけで。それは当たり前。ただその、何をどうやって書き換えるのかというところで、最後に二つの道を選ぶわけね。それはどこに連れてくかって話。要するにゴールね。それを本人が内的に生み出してくれるのがいいって考えるのかコーチングなんだよ。

一方で、はじめにゴールありきが宗教なのよ。仏教も広い意味で宗教なのは、ゴールは間違いなく悟りなんだよ。坊さんで悟り以外がゴールだと思ってる人いたらそれはモグリね。ということは、神はいないっていう宗教だけど、ゴールは悟りである以上、仏教も宗教。わかる?本人とは関係なく、この世にあるべきゴールがあるって考えるのが宗教なわけ。大抵は神の世界だけど。仏教は神がいないけど宗教なわけだ。コーチングはそれさえも否定するわけね、それさえも。個人の中から探してくれよ。

だけどそれって、自己矛盾になるわけ。本人の中に他人が入れたものをいくら探し回ったって、本人のものじゃないだろってこと。だから、俺はコーチングも結局は、最後は仏教になると思ってるんだけど。ただし、いわゆる宗教的な仏教はわかりやすく悟りみたいなものをゴールにしてるけど、俺は、それは違うんじゃないかって言ってるのね。本人が自分の中で最終的に他からの影響を全部取っ払って、心からなりたいものを探す行為は、俺は悟りの修行だと思ってるからさ。最後は同じだと思うけど。

Q:コーチングで目指してることは相手の本能的な部分を120%以上引き出す……

<苫米地氏>
その上で、本能的なものより上だよね。コーチングをやってる間は本人にも成長してもらわなきゃいけない。本人の成長というと抽象度の階段を上がっていくっていうことだから。上に上に上がるってことは本能から離れてくわけだ。より普遍的になる、でしょ。価値を持ってくわけじゃん。で、そのより普遍的なゴールを持つようになると、だいたいは世界の人々が平和になることとか、飢えないこととか、戦争がないこととかさ、差別がないことになってかない?

Q:そうですね。それは抽象度が上がると本能から遠ざかる……?

<苫米地氏>
本能は動物に近い話だから。自分だけ良ければいいし、自分の子孫だけ残せばいい話になるわけだから。

Q:そういうことなんですね。たとえば、僕も世の中がもっと良くなってほしいと本当に思ってるんですよ。

<苫米地氏>
だから、それが抽象度の階段を上がるっていうこと。その中には自分も入れていいんだよ。当たり前だけどさ。自分を抜く必要はないんだよ。

Q:元々持っていたものを引き出した結果、それが生まれてきたと僕は思ってるんですけど、そうではない?

<苫米地氏>
元々持ってるかもしれないけど、それは性善説・性悪説みたいな話で。人間は元々たくさんの人に幸せになってもらいたいと思って生まれてきてるのか。いや、そうじゃない、本能的に自分だけ生き延びればいいと思ってるかという論理でしょ。それはわからないし、どっちでもいいし(笑)。だから、もしかしたら元から持ってるかもしれない。

どっちにしても抽象度上がっていくってことは、たとえ性悪説で生まれてきた人間だって、結局ゴールはたくさんの人が幸せになるとかさ、戦争がないとか、そういうのになってくんだよ。それを仏教では悟りっていうのね。それは大乗の悟りで、小乗の悟りじゃないけど。仏教は、大乗仏教以外俺は仏教だと思ってねぇからさ。それは上座部のお坊さんたち怒るかもしれねぇけど。

釈迦は、悟るまで小乗仏教で、悟って立ち上がって教えを教え始めたときから大乗だからさ。だから、悟るまでの釈迦に興味はないんだよ。悟った時と後の釈迦に興味があるわけだから。たくさんの人が自分(釈迦)のように悟ること、それは大乗でしょ。そうやって抽象度が上がってくわけだからさ。

みんなが幸せになっていくってのは、最初の段階は飢える人が誰もいないとか、戦争がないとかだけど、だんだん憲法の基本的人権のさ、生存権から社会的な部分へ上がってくるわけだ。それと同じで、単に飯腹いっぱいではなく、心から幸せに感じることになってくると、だんだん抽象度が上がってくるから、釈迦になるのは当たり前でしょ?全世界の人が悟ることになるに決まってるよね。

Q:僕の中で苫米地博士のお話の中で一個、まだしっくりきてないのは、非言語っていうものに対する認識です。非言語情報というのは書籍からは得られないんでしょうか?

<苫米地氏>
うん、無理。でも、あのね、一度得られた人は書籍からも得られる。著者の世界を知ってるから。著者の世界を知ってないと難しい。俺だってイエス・キリストの福音書を嫌って言うほど、カトリックでやってからさ、上智大学のカテキズムで学んだけど。俺が「イエスがわかった!」っていうのは、今はもう行けないけど、まだアラブ人が完全におさえる前までのエルサレムの聖母教会でイエスが生まれたとされる場所に行ったとき、俺は「わかったぜ!」となった。イエスの気が見えたからね。

やっぱりそういう、生きてる人に直接会わなくても、その人が生きてた場所とかさ、単なる文字以外のものはいる。俺が「空海がわかった!」と思ったのは、真言宗のお寺で、天台宗なのになぜか座禅を組んでたときに、空海出てきた。「あ、俺、即身成仏わかった!」やっぱりそれは真言宗の寺にいたってことは重要だよね。

Q:その感覚すごいわかる気がします。

<苫米地氏>
もちろん、生きてる相手に会うのが一番だけど、相手が生きてる人とは限らないわけで。どっちにしてもそれは言葉を超えた情報を一度わかっちゃうと、例えばその後は、空海が書いた即身成仏義とか読んでると、「あー、なるほどね」ってわかるわけだ。すると今度は、単なる文字情報以外のものもきっと得られる。それはその他のものがあるからできるんだよ。

Q:自分の中で、言語ではわかってても、それ当ってるのか間違ってるのか、認識が正しいのかってことはわかんなかったんですけど、今日お話をお聴きして、初めて「コンフォートゾーンってこういうことだな」とか、「ゲシュタルトってこういうことなんだろうな」とか、初めて腑に落ちたというか、自分の中でこれが正しく認識できたっていう感覚を得られました。

<苫米地氏>
そうかもしれないね。空間だよ。だから、昔はここじゃなくて、リッツカールトンのカールトンスイートで(コーチングを)やってたのね。エグゼクティブフロアにあるんだよ。やっぱりそれも同じで、そのとき俺は世界で一番良い景色はリッツカールトンの最上階フロアだと確信してたのね。だけど、それじゃあ足りないと思って。それでもう、ここに変えたんだけど。

そうすると、目に見えるもの、耳から入ってくるもの、全部が徹底的に考え尽くされたものじゃなきゃいけないし。そして、どう考えても、正直に考えたら、全世界でコーチングに一番良い場所は六本木だと思ってるわけ。ビジネス街なら丸の内だけど、住む所を含めてエフィカシーの話ね。いわゆる成功者たちがいるべき場所。実際、外資のトップもそうしてるからさ。そりゃ、ニューヨークなわけねぇじゃん、犯罪都市。だいぶ犯罪減ってきたけど、いまだに変わんないよ。パリだってそうだぜ。

Q:全部が徹底的に考えられてるというのは、全部が世界で一番良いということでいいですか?

<苫米地氏>
そういうこと。俺はそういうふうに考えてる。みんな異論があるかもしれないけど、俺は自負があるわけ。ここが世界で一番ホットな場所。住環境としては。それは間違いないの。食環境としてもそうかもしれないけど、それはわかんねぇ。三菱地所に文句言われるかも、丸の内だって言われるかもしれないけど(笑)。オフィスなら丸の内だけど、住環境としては、24時間さ、良い生活ができる空間は、ここだよ。将来は丸の内になったらうれしいけど。東京だってほんのちょっと外れに行ったら、夜中寂しいよ。

Q:わかります。東京駅の近くだと、夜は全く人いないっていうか、電気も消えてますよね。

<苫米地氏>
でしょ。そういう意味合いも考えて、だから外資の人間がさ、勤務してこの辺のビルにいると、どんどん本社に戻らないでこっち住みついちゃう気持ちがよくわかる。

Q:会話の最中に意図的に非言語情報を発しようと思ってるんですか?それとも……

<苫米地氏>
それはね、若い頃ね。20代、30代はそうだよね。今はもうそんなのさえない。もしかしたら、勝手に無意識はやってるのかもしれないけど。

Q:なるほど。それはやっぱり苫米地博士が培ってきた知識……

<苫米地氏>
知識だったり、そうだよね。経験もそうだしさ。カルトのトップたちはこっちを洗脳しようと思ってやってくるんだからさ。俺、全戦全勝だぜ。日本のカルトだけでなくてさ、インドの危ない密教とか、いっぱいいるんだよ、そういうの。全戦全勝だからさ。

Q:まぁでも一回でも負けたら危ないですもんね。

<苫米地氏>
そう、危ない。一度でも負けられない世界。

Q:その苫米地博士が全戦全勝できる理由っていうのは、知識レベルの話なのか……

<苫米地氏>
両方だと思うよ。知識と、身体的にずっとそういう世界にいたからかもしれないよね。でも、まずは知識だよね、やっぱり。まぁ、お釈迦さんの勉強してるからな。仏弟子は強いぜ。釈迦は圧倒的だと思うよ。宗教界ではさ。

Q:確かにそうですよね。僕は弟子入りしたとか、そういうことはないんですけど。

<苫米地氏>
仏教は弟子入りする必要ないよ。釈迦の言うことは超明快だから。縁起だから。この世にそれだけで成り立つものは何もない、だからさ。アプリオリ性の完全否定だからさ。神がいたっていいんだけど、神にはお父さん、お母さんいるよって話だからさ。

Q:結論、最高の環境を用意してあげて、最高の知識を持って臨めば……

<苫米地氏>
誰でも一気に先に進む。だからコーチングやるときは、ここ(苫米地博士の右隣りの席)に座らせるわけだ。俺より良い席でしょ、こっちのが。この音楽は全部そこへ出してる。椅子だって絶対こっちの方が高そうでしょ(笑)。俺より良いとこに座ってる。世界最高の席だぜ。

Q:勝負(洗脳対決)をかけてくるという話があるじゃないですか。例えばその、洗脳しようとしてくるとか。それは実際どういうことなんですか?

<苫米地氏>
あのね、いろんな小手先の技を仕掛けてきたり、マントラ唱えたりすんだよ。宗教家だったらさ。いろいろやる。うーん、だいたいわかるからさ。あっそうですか、みたいな感じ(笑)。

Q:苫米地博士自身は、そういうものを仕掛ける……

<苫米地氏>
そういうのは全然しない。

Q:やろうと思えばできる?

<苫米地氏>
やろうと思えばできるけど、意味ねぇじゃん。本人にとって何がベストかってときに、俺が何か入れ込んじまったら、もはやプロのコーチではないよ(笑)。だったら、「ギタリストなれ!」になっちゃうよ(笑)。

Q:知識ってお話あったんですけど、自分のイメージする世界の広さとか鮮明さみたいなもの……

<苫米地氏>
それもあるよね。だからさ、一つのもの見たらたくさんのものも同時に見てないといけないから。いつも言ってるけど、ペットボトル見たらPETっていうペットのこと発明した化学者のこと知らないといけないし。水はどこかの誰かがフィジー島で汲んで、ここまで持ってきたわけだから。俺、アマゾンから買ってるから、アマゾンの倉庫にいたわけじゃん。配達してきたクロネコヤマトのお父さんお母さんまで思い浮かべなきゃならないから。

それを縁起っていうわけね。一つのものを見たら、全世界が見えなきゃいけないから。それが溢れてるわけじゃん。だから、「マランツの彼女はどういう人だったのか」とか思うわけでしょ(笑)。音を聴きながら、「マランツさんってどういう人だろうか?」っていう世界に日々いる。

※苫米地博士お気に入りのミネラルウォーターの一つ。
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Q:極論、煩悩がない人間は洗脳することはできない?

<苫米地氏>
そういうことそういうこと。ただ、煩悩がない人間はいないから。そこなんだよ。だから、みんな洗脳されちゃう。煩悩がない人は悟った人だから。それはお釈迦さん、仏陀だよ。仏陀は洗脳できるわけないでしょ。あとは程度の差だよね。
じゃあ、ラスト1問。質問あったら。

Q:読者代表としてお聞きしますが、僕が今の知識レベルで、最も目指すべきは?

<苫米地氏>
俺はゴール設定だと思うよ。最高のゴールより、更に上のゴールを探すこと。それは逆に言うと今の自分じゃ見えないってことなんだよ。それに挑戦するってこと。更に上のゴールを探し出す。探し出せたら達成できるんだよ。人間の限界は、イマジネーションが自分の限界だから。それを探し出すってことだよね。もちろん、そのときそれは達成できるという確信だよね。コーチングでいうエフィカシーだよね。もちろん、それはできると思うんだよ。ただし、見つける方が大変だと思うから。今の自分のゴールを遥かに超えるゴールを見つけ出すことだと思う。

Q:ゴールは自分がやりたいことっていう認識でいいんですか?

<苫米地氏>
やりたいことは結果として出てくる。だから、ゴールは状態だということ。自分の状態であり、世界の状態。こうなっていたい、自分がこうなっていたい、世界がこうなっていたいという、そういう姿。それは嫌でもやりたいことに決まってるよ。やりたくないことがゴールになるわけなくて。

Q:僕は宗教がなくなれば、戦争がなくなるだろうとか、差別がなくなるだろうとか思います。

<苫米地氏>
わかるよ。だから、それのさらに先を探し出すということ。

Q:もっと上が必ずある?

<苫米地氏>
今の自分じゃ絶対に見えない。それは俺にとっても同じ。でも、必ず先はある。常に自分にはスコトーマがある。それを1枚ずつ外していくと、最後は悟りに至るわけだ。

Q:ゴールの抽象度は常に上げ続ける。

<苫米地氏>
そう。上げ続ける。ただし、上げ続けるって言っても、頭の中で考えるだけじゃダメだよ。本当に自分が欲してないといけないから。

Q:本当に欲していれば、上げ続けるプロセスも楽しいというか……

<苫米地氏>
楽しいというか、自然になる。自然にやってることに嬉しいも楽しいもないんだよ。息吸ってるときに「楽しいですか?」と聞かれたら、「うーん、まぁね」って感じ。空気なかったら苦しいけど。

Q:苫米地博士が常に自然体なのは、生きてる時間全部が……?

<苫米地氏>
やりたいことの一部だからね。自分でありのままにしてるとさ、カッコつける必要もないし。議員会館に行くときだって、よその国の元首と会うときだって、皮パンで行くんだけどさ。逆にうるさい俺の先輩とかはさ、ネクタイ締めないと怒るからさ(笑)。別に逆らう必要はない。「わかりました」って締めるだけだから。でも下は皮パン。ただ、そういう都合がなければ、俺は安心して国家元首にノータイ、皮パンで会いに行くからね。

Q:そこが、時間というものの感覚がなくなっていくと僕は思ってたんですけど、苫米地博士の中で、変な話、16時きっかりにアポでも、16時きっかりに来れないっていうのは、苫米地博士の中の何なんだろうなと思ってて。やりたいことをやってると時間感覚を忘れちゃって来れないのか、あえて来ないのか?

<苫米地氏>
あえて来ないってことはないよね。いくつかのものが重なり合うと、必ずどれかが犠牲になるんだよね。そんとき、あんまり恣意的に選んでないからね。だから、そのとき目の前にいた人がラッキーみたいな感じじゃない(笑)。俺にとっては重要度は同じなんだよ。フォレストと出版社Sとウチの社員の悩み事とかさ。「どれが重要?」って言われたって、わからないよ(笑)。ということは、そのとき目の前にいた人が得ってこと。

Q:ということは、そこにお金という要素も入ってきていないということですね?こういうことやったら儲かるとか。

<苫米地氏>
全く入ってない。イコールだからさ。そうすると、怒る奴いるわけだ。「俺みたいな偉い奴を待たせやがって」とか(笑)。

Q:苫米地博士くらいになると、そういう人も少なくなるんでしょうけど。

<苫米地氏>
いや、あまりにも鬱陶しかったら合わせるぜ(笑)。面倒くさいことになるだけだから(笑)。

Q:そういうことにもありのままでいくと。でも、怒る人もいるんですよね。スーツ着て来いとか。

<苫米地氏>
でも、あんまり怒んない。わかってる人は。だいたいそうだけど、年を取るにつれてだんだんそうなってくると思う。あのね、70代、80代くらいの、官僚でいうと事務次官が終わって天下り3回くらいし終わった人たちぐらいにはすごい気に入られる。企業でいうと、会長の仕事がもう終わって名誉顧問なっちゃったくらいの人にすごい気に入られる。

だけど、自分の仲間たちの年齢には嫉妬されるくらい、嫌われる。それで、逆に遥かに歳の若い20代とかには変な人に見られる。だってさ、よく俺のツイッターとかに書かれるのは、「苫米地さんは胡散臭いけど、本読んだら意外とまともだった」とか書いてあるんだけど、いいけど20代に胡散臭いって言われる理由がわからない。「お前何年生きてるんだ」、でしょ。ということは、20代はもうさ、社会に完全に洗脳済みなんだよ。だから、彼らにとって正しい大人像があるわけよ。

そうじゃないのに、長髪で皮パンだから、胡散臭いってことになってるけど。そういうのを全部やり尽くして、成功しちゃって、あとは悠々自適の天下り3回のさ。だって次官になるくらいトップだったわけでしょ。そのあと引退しちゃったっていうのを3回くらい繰り返してるとかさ。大企業の会長だって社長だってトップだったわけじゃん。で、引退して顧問くらいの人は全部外れると、「お前みたいなやつがいい」って言われるわけだから。だから、怒る人たちはその間。

Q:間というか達するまで全部。

<苫米地氏>
達するまで全部。でも一応さ、気を遣ってあげるくらいは、俺はやるわけだ。相手に合わせて。ただ普段はさ、気を遣う必要もないよ、面倒くさい、みたいな感じ。だから、お偉いさんに会うとき、俺が言ったような本当にお偉いさんたちと何人か会うんだけど、本人たちと会うときはこの格好で行くんだよ、皮パンで行って。だけど、本人に紹介されて違う人に会うときはわざわざネクタイ締めて。変な俺を紹介して、本人が変な人だと思われたら申しわけないじゃん。

Q:確かに確かに。それは苫米地博士の優しさなんですね。

<苫米地氏>
まぁ、優しさといえば、そうだな。相手に合わせてるって感じ。相手に気を遣ってるってこと。

Q:でも、皮パンが一番快適な姿っていうことですよね。

<苫米地氏>
まぁ、そういうことだな。

Q:外し切った結果が、さっき言ったスコトーマを外すってことなのかな。

<苫米地氏>
そうそう。まぁ、そういうことそういうこと。

Q:そんなものはどうでもいい……

<苫米地氏>
欲しいものは全部なくなっていいわけで。でしょ。例えば、俺だって日本中のどんなド田舎行ったっていいよね。それで、フォレストの編集者には悪いけど、飛行機でやって来てくれってさ(笑)。俺こっちだから。来るでしょ、それ(笑)。そこで別に何もなくたっていいけど。ここで人を育てる場所を作ってるのというのが、俺の場所だし。同時に俺は快適だしね。きっと田舎行ったら、だんだんギター増えていくと思うけど。それはそれでやるけど(笑)。

Q:世界一のものを純粋に目指せばいい、シンプルに言うと。

<苫米地氏>
そういうこと、そういうこと。世界一になりたい人。俺は世界一を独走してる分野があるんだよ、いくつかの分野で。そのとき、自分の周りにあるものは、どう考えても世界一じゃないと嫌なのね。だから、マランツのアンプがいいっていうと、じゃあマランツさん本人が作ったものがいいわけだ。実際、シリアル1番がいいんだけど、それは手に入らねぇから、じゃあ2番でいいわ。

まぁ、でも外に出てるものでは1番だからさ。マランツ家から泥棒できないから(笑)。そこのJBLも、これは日本に輸入された’60年代の初期モデルなんだけど、これはジェーミス・ボール・ランシングさんって人が最初に作ったプロトタイプっていうのが、JBLの未亡人の家の別荘で発見されたんだよ。今、売ってくれと交渉中だよ。

Q:そうなると、苫米地博士は自分にいくらお金があって、だから買うとかじゃないですよね。

<苫米地氏>
違う違う。金なかったら買えないなりにやり方考えるよ。借りるとかさ。

Q:でも、買わないという選択肢は、じゃあ、ないということですか?

<苫米地>
うん、手には入れる(笑)。

Q:それはなぜかというと、世界で一番だから?

<苫米地氏>
うん、世界で一番だったら、世界で一番のもの以外が目に入るの嫌でしょ。コンフォートゾーンってそういうもの。

Q:すごいしっくりきました。早速世界で一番を探して。

<苫米地氏>
それがいい、それがいい。「もうなった!」でいいんだよ。

Q:世界で一番の自信はあるんですけどね。いくつかの分野で(笑)。

<苫米地氏>
それでいい、それでいい(笑)。あとはそれにふさわしいものを揃えるし、ふさわしい生活をしてればいい。そうすると、どんどん一番が増えていくんだよ。

Q:世界で一番のエフィカシーの人と場を共有してると、こっちも一番になっていくんですよね。

<苫米地氏>
それで一番になった上でさ、「一番なんてくだらない」って言わなきゃいけないんだよ。でしょ。「なってもないのに言うな!」だよ(笑)。

Q:その通りだと思います。おっしゃる通りです。シンプルに考えればいいんですよね、みんなね。逆に言うと、なぜそれが考えられないかが不思議にならないですか?

<苫米地氏>
だから、さっき元オウム関連のインタビューしてたけどさ。オウムができたのは、そういう考え方を許さない社会をずっとやってきたから。だって、別にオウムじゃなくたって、カルトに走ったり、いろいろ走るのもわかるよ。小学校で前倣え右向け右ってやってるんだぜ。

普通さ、子どもが大人と同じようにやりたいわけないし。大人に前倣えって言われたら「嫌です」って言うのが普通(笑)。やり続けさせられてたら、宗教の世界とかさ、超人思想みたいなのに憧れるし、許してくれる環境だったら行きたくなるに決まってる。それは社会だよ、社会。明治維新以前からずっとそうで。

Q:苫米地博士がコーチングをやられてるのは、相手にも世界で一番になりなさいっていうようなことなんですか?

<苫米地氏>
まぁ、それは自由自在にゴールを設定してもらうんだけど、抽象度を上げていけば、自然にそうなるわけだ。でしょ。だって、世界で一番だと自分で確信できるゴールは誰でも持てるわけだ。ゴールを持ったらすでに君は世界で一番だよってことだからさ。だって、将来達成するんだからさ。将来達成するなら今も達成してる。空海の即身成仏ってそうだからさ。真言宗をやれば将来必ず成仏する、だからお前はすでに成仏してるっている論理だからさ。

Q:なるほどですね。

<苫米地氏>
仏なら時間を超えるんだからさ、未来が仏なら今も仏に決まってるだろって論理。でしょ。だから同じこと。ゴールだってそうでさ。世界トップのゴールを持つ、それは誰だってできるじゃん。持つんだからさ。だけど、そうした瞬間にすでに君は世界一だよってことじゃん。

Q:そこに無理がなく本気で、心からそうだと……

<苫米地氏>
思えなきゃいけない。それは心から思える人になっていかなきゃいけない、育てていかなきゃいけない。それがコーチングだよ、まさに。

Q:だから、すでにもうそうなっていると思えるということは、なれる。

<苫米地氏>
だから、もうなってるんだよ。だから先を探すっていうこと。もっと先を探す。

Q:ありがとうございます。完璧ですね。世界一、いや宇宙一。でも、僕の中で宇宙より上が僕の中で見当たらないのが……

<苫米地氏>
大丈夫、大丈夫(笑)。いいの、いいの。あのね、それは歳もある。いろんな経験してくると、いろんなものが見えてくるから。そういうもの。俺も若い頃はさ、よく言われたよ。キャロル・エリクソン(エリクソン派の先生でありミルトン・エリクソンの長女)のところ行くとき、医者たちと行くんだよ。精神科医たち。そうするとよくさ、後ろの席に押し込められ、「お前が助手席に行くと眠らせられる」とか言って。

実際、もう10年くらい前の話だけど、十何年ぶりに、若い精神科医が教授になってたんだけど、サンフランシスコのバーで会ったんだよ。そしたらいきなりカウンターから転げ落ちてさ。俺にめちゃくちゃ怒りまくって、俺に「お前やっただろー、お前に十何年前もバーで落とされた!」って。いいけど、俺は落としてないし、君を落とした記憶ないし。でも「絶対やった」って言われれて、怒りまくっててさ(笑)。そのとき、ふと思って、十何年前だったら確かに人を催眠に入れる練習とかを毎日練習してる。

そしたら無意識が、友達と飲み屋で横に座っただけで落としてたかも。でも、落としたのは俺じゃない、俺の無意識だよ(笑)。それに単に、そのときの彼の癖がいまだに15年たっても残ってるのか、俺の無意識がついイタズラ心でやってしまったのか。ということは、「俺、今こいつを落としたかもしれないな」って思ったことあるから(笑)。今はそういう意識はまったくないけど。それがさ、20代、30代のとき、そんなことばかりやってたんだから。いいんだよ、最初のうちは。だんだんそんなのどうでもよくなる。

Q:そこに囚われるなってことなんですね。

<苫米地氏>
そういうこと、そういうこと。最初はいかに上手に相手をコントロールするかとか、相手をここに連れてってあげるよとか、そういうことを考えてテクニックを磨いたり、知識を入れるんだけど、それはやっていいわけ。そのうちそんなのどうでもよくなる。でも、やってない人はわかんない。そのどうでもよくなるに関してもさ。

2 苫米地英人とは

2-1 苫米地英人から何が学べるのか

image苫米地理論は“奴隷解放を行うためのメソッドを大量に生み出すための土台”です。ですから、苫米地氏から学ぶことは、一人の人間として本当の意味で自由になることに繋がります。

奴隷解放というと大げさに聞こえるかもしれませんが、苫米地氏は自らの理論を広めることで、自分が奴隷だという自覚のない人たちへ気付きを与えようとしています。

2-2 苫米地理論を学ぶと何が得られるのか

image苫米地氏は奴隷解放をテーマとしています。ですから、その理論を学んだ人はあらゆる柵(しがらみ)から解放され、自由になることができます。

自由になるとは、人生のあらゆる側面において、やりたいことをやれる状態になるということです。そもそも、「やりたいことがわからない」という人は多いと思いますが、やりたいことを見えるように“物事の正しい見方”を教えてくれるのが苫米地理論です。

この理論を伝えるためのツールとして、苫米地氏はたくさんの書籍を出版しており、2015年時点で著作数200冊以上、累計500万部をゆうに超えています。更に、活字だけでは十分に情報の受け手のイマジネーションを発揮させられないので、DVD教材という形で動画を通して、より濃密な理論とそれを実践するためのワークを提供しています。DVD教材を通して、言語情報だけでなく非言語情報を活用した働きかけを視聴者へ行い、教材効果を高めているという特徴があります。

一人でも多くの人が奴隷解放されることは、本人のためであることはもちろん、社会全体のためでもあります。アメリカにおけるコーチングの元祖ルー・タイスの調査によれば、奴隷解放された状態になると個人の生産性は756倍にもなるそうです。従来型経済システムが成熟し、金が金を生み出す金融工学に走ってしまっている現代経済を変えるためには、個人の生産性を飛躍的に高め、きちんとした形で付加価値を創造できる社会にする必要があるのです。奴隷経済のままでは経済は衰退しかありません。ですから、苫米地理論を学ぶことは、本人のためであるのはもちろん、社会のためでもあるのです。

2-3 苫米地英人のゴール

苫米地氏のゴールは「世界の戦争と差別をなくすこと」です。このゴール達成へ向けて、苫米地理論を広める活動と更なる理論構築のための研究を行っています。

これだけ大きなゴールを持つ苫米地氏だからこそ、苫米地理論に込められたメッセージの強さが伺えます。

3 苫米地英人が持つ9つの顔

苫米地氏は驚くほど多くの分野で専門知識と実績を持っています。その中から代表的な9つをご紹介します。

3-1 認知科学者としての苫米地英人

image苫米地氏が自らの肩書を「認知科学者」としていることからもわかるように、彼のメインとなるアイデンティティは認知科学者です。

認知科学とは情報処理の観点から知的システムと知能の性質を理解しようとする研究分野です。認知科学は、

・心理学
・人工知能
・言語学
・人類学
・神経科学
・哲学

すべてに絡んだ学際領域です。苫米地氏は脳科学者という知られ方としているケースも多いですが、それは認知科学の中の神経科学の中の脳科学の側面を表しているに過ぎません。また、脳科学の中でも、機能脳科学(Functional Brain Science)という考え方を苫米地氏はとっています。

3-2 コーチとしての苫米地英人

image2008年春から、自己啓発や能力開発分野における世界的権威の故ルー・タイス氏とともに、米国認知科学の最新研究成果を取り入れたコーチングプログラム「TPIE」やその子供向け「PX2」を開発し、日本における総責任者としてその普及に努めています。

また、これらのコーチングとは別に、苫米地式コーチングも創り上げました。「TPIE」が西洋生まれで言語を重視したコーチングであるのに対し、苫米地式コーチングは東洋的な非言語要素も含んだコーチングスタイルになります。

苫米地氏のところで学んだ著名人には、苫米地式コーチングのマスターコーチでありリバティーコーチング代表の田島大輔氏や同じくマスターコーチの青山龍氏、メジャーリーガー川崎宗則選手のメンタルトレーナーである久瑠あさ美氏、PX2を学んだ元サッカー日本代表監督の岡田武史監督などがいます。

3-3 脱洗脳家としての苫米地英人

image苫米地氏を日本で一躍有名にしたのが、オウム真理教信者の脱洗脳を手がけたことでした。国松警察庁長官狙撃事件で実行犯とされる元巡査長の狙撃当日の記憶回復など、脱洗脳のエキスパートとしてオウム事件解決に貢献しています。(話題がそれますが、『誰でも簡単に記憶力が劇的にアップする苫米地式「超記憶術」』という記事もございます)

洗脳技術を持つ人物は世界にいくらでもいますが、脱洗脳技術をマスターしている人物はほとんどいません。

これらの経験を活かし、現在も各国政府の顧問として、政府関係者や軍事組織がテロリストに洗脳されることを防ぐためのプログラムを開発・指導しています。

近年では、元オセロでタレントの中島知子氏の洗脳騒動をコーチとしてフォローし、所属事務所決定までの窓口となったことが話題となりました。

3-4 英語学習教育者としての苫米地英人

image苫米地氏の数ある書籍の代表作に「英語は逆から学べ」シリーズがあります。

アメリカで最新の言語学を学んできた苫米地氏は、本来の人間が語学を習得する仕組みをわかりやすく日本人向けに解説しました。

機能脳科学、計算言語学の見識から生み出した「英語脳のつくり方」プロジェクトが大反響になり、トータルイマルジョン(※イマルジョン法)を日本の小中学校が取り入れるきっかけになったとも言われています。

※イマルジョン法とは?
イマルジョンとはimmerse(浸す)が語源で、「その言語に浸りきって習得する」という方法です。かつて、スパイが敵国の語学習得に使っていた方法で、初期のベルリッツもこの方法を採用していました。

過去にはサイマル・インターナショナルの同時通訳者として活躍していたこともあります。

3-5 金融プロフェッショナルとしての苫米地英人

image三菱地所では主に財務担当者として活躍していました。英語が非常に堪能だったこともあり、1989年のロックフェラーセンター買収にも中心メンバーの一人として関わっています。デビッド・ロックフェラーと直接会話していた数少ない日本人です。買収後数年は、デビッド・ロックフェラー氏が会長を務めるロックフェラー・グループ社の取締役会にも3ヶ月に1回出席していました。デビッド氏の自宅に招かれたり、禁酒法時代から残る「隠しバー」に連れて行ってもらったりと、深い付き合いをしていました。

現在は、自分自身の会社を経営するCEOでもあり、ロシアなどの政府との親交も厚く、国際政治と国際政治の裏側まで精通しています。その情報を支えているものは世界に広がる人脈とウォール・ストリート・ジャーナルからアルジャジーラまで目を通すと言われるインプットの幅の広さです。

3-6 仏教専門家としての苫米地英人

image天台宗ハワイ別院開教総長である荒了寛大僧正を師僧として天台宗で出家しており、天台宗ハワイ別院国際部長を務めています。しかし、その活動は天台宗だけに留まらず、自ら「釈迦原理主義者」と名乗るほど、釈迦本来の教えを徹底的に研究しています。

「空」「縁起」などの概念に精通しており、ブッダガヤで開催された釈迦エンライトメント2600年の記念すべきイベントでは、インドの僧侶から招かれ、「空」の定義についてレクチャーしているほど。

一方で、密教や気功など釈迦の教えの本流でない技術についても精通しており、仏教専門家としての幅は非常に広いものがあります。

仏教だけでなく、キリスト教をはじめとした宗教全般への造詣も非常に深いです。

ちなみに、座右の銘は「止観明静」「一念三千」です。これは中国天台宗の実質的開祖である智顗の言葉です。

3-7 プログラマーとしての苫米地英人

imageイエール大学、カーネギーメロン大学在学中に、世界で初の音声通訳システムを開発し、CNNで紹介されています。また、マッキントッシュの日本語入力ソフト「ことえり」や「ATOK」など、多くのソフトを開発しています。そのため、苫米地氏のDVD教材では創業当時のAppleやソフトバンクとの取引エピソードが出てくることもあります。

アメリカから帰国後は、ジャストシステム基礎研究所所長や通商産業省情報処理振興審議会専門委員等を務めていた時期がありました。

2007年、量子力学の「不確定性原理」を応用した「のぞき見」技術と、次世代離散数理による超高圧縮の技術によって開発した次世代P2P型ネット・モバイル動画配信システム「CRLサイバーセルフシステム」を発表しました。無料配布するなど、精力的に活動を展開しました。

3-8 ディベーターとしての苫米地英人

マサチューセッツ大学時代にはNDTディベートチームに所属し、ディベートの本場アメリカでトップレベルの競技ディベートを経験しました。ここまで学んだ経験を日本に伝え、競技ディベート普及に一助を担ってきました。

ディベーターが使うロジック構成である「トゥールミン・ロジック」をマスターしており、それを活用したトーク技術やライティング技術を教えています。

3-9 ギタリストとしての苫米地英人

image幼い頃から音楽に親しみ、その中でも特にギターを愛し、数々の名ギターをたくさん保有しています。毎月LIVEを自ら開催するほどのギター好きです。そのギター・コレクションは、多くのギターファンのみならず、ギターメーカー経営者すらも驚かせています。

また、音源開発者として、ドコモとauのケータイサイト「着信★うた」・「魔法のメロランド」・「奇跡の着うた」を配信して大きな話題を呼びました。発売一週間で一万ダウンロードの大記録を達成しています。

これらのケータイ関連サービスにはじまり、「特殊音源」という独自技術を開発し、いくつもの特殊音源CD教材を提供しています。

4 苫米地理論用語解説集

苫米地氏の理論、つまり苫米地理論を学んでいくと、たくさんの専門用語が出てきます。その中には、年月をかけて有名になり一般用語のように使われるようになったものもあれば、今でも苫米地氏だけが使う独特の言葉もあります。

この章では、苫米地理論用語を理解し、スムーズに苫米地氏の話がわかるような知識の下地を作っていきましょう。用語の意味を覚えるだけでも、新しい概念があなたの脳に入り、日常生活で新しいひらめきが得られるはずです。

4-1 ゴール

image「ゴール」とは、人生の目的のことです。コーチングでは、まず「ゴール」を設定し、その「ゴール」を達成に導くことを目指します。

よくある自己啓発で目指すような「成功」とは異なり、他人からの評価に影響されるものではありません。

理想的な「ゴール」には3つのポイントがあります。

①本当にしたいこと

「ゴール」は本当にしたいことを設定してください。一般的な成功と違って他人からの評価は「ゴール」に関係がないので、あなたが心の底からしたいと思うこと、なりたい状態を「ゴール」として自由に設定するのです。

人間は、本当にやりたいことがあるとき、それがどんなに果てしないものでも、やり遂げてしまえるパワーを持っています。

苫米地氏は「本当にしたいこと」を“want to”と表現し、反対に「しなければならないこと」を“have to ”と表現しています。

②現状の外側に設定する

「ゴール」は現状から考えてはいけません。現状には、今の状態が続いた延長線上の未来も含めます。これを「理想的な現状」といいます。今、明確にすることのできる目標は、現状の中にあるものだと考えてください。

※苫米地理論では、「理想的な現状」を含めた全ての現状及びその延長線上にある未来のことを「ステータスクオ」と呼びます。この詳細は後述します。

「理想的な現状」を目指していると、どんな試みでも現状を維持するための手段になってしまいます。ですから、今の自分とはかけ離れて、今の仕事や環境のままでは考えもしないような「ゴール」が望ましいのです。

現状の外側は捉えにくい概念ですが、“構造的な変化が必要な状態”だと考えてください。具体的なイメージができなくても大丈夫です。いえ、できない方が正しいです。なにしろ、現状の外側なので、文字通り今のあなたからは見えないものなのです。

③漠然としたものでOK

一般的な自己啓発では「目標は具体的に」ということを言われるケースが多いと思います。しかし、目先の目標を立てるのと違って、「ゴール」は人生のテーマとなるような大きなものです。あなたの人生の可能性を狭めないためにも、「ゴール」は漠然とした状態で設定します。

きちんと②の条件を満たしていれば、自ずと具体的な「ゴール」ではなく、漠然とした抽象的な「ゴール」ができ上がるはずです。

より正しく表現するなら「抽象度の高いゴール」が望ましいです。「抽象度」も苫米地理論用語なので、後述します。

4-2 コンフォートゾーン

femaleコンフォートゾーンとは、セルフ・イメージによって決められるその人にとって心地が良い領域のことです。コンフォートゾーンでは、肉体的にも精神的にも楽な状態でいることができます。

コンフォートゾーンでは、リラックスした状態になり、IQが向上し、あらゆる仕事を高パフォーマンスで行うことができます。

一方で、人間は、コンフォートゾーンから外れた状態になると、どこか落ち着かなり、パフォーマンスが低下します。

ですから、あなたのゴールを達成した状態や達成するためのプロセスをコンフォートゾーンにしていくことが非常に大切です。多くの人は、ゴールではなく、現状がコンフォートゾーンになっていますが、苫米地理論ではコンフォートゾーンを現状からゴールへとズラしていくメソッドがたくさんあります。コンフォートゾーンをゴールへとズラしていくことが、ゴールを達成するためのポイントなのです。

『コンフォートゾーンを変えて自然と成功していく方法』という記事を書いていますので、こちらもご覧ください。

4-3 ブリーフシステム

maleブリーフシステムとは、個人が強く信じている固定的な考え方・価値観のことです。「私はこういう人間だ」というセルフ・イメージが個人のブリーフシステムを生み出しています。

ブリーフシステムは、過去に他の人があなたへ向けて発して、あなたが肯定した情報から成り立っています。

人間は意識せずに行動するとブリーフシステム通りの行動を取ってしまうので、どんどんとブリーフシステムは強固になっていきます。歳を取るに連れて、ガンコになってしまうのは、これが原因です。

しかし、あなたの考え方次第で、ブリーフシステムを変えることは可能です。そして、ゴールを達成するためには、ブリーフシステムを変えることは必要なのです。

ブリーフシステムがあなたによって重要なことを決めています。ブリーフシステムによってRASがフォーカスする情報が決まり、フォーカスされなかった情報がスコトーマによって認識されなくなります。この関係性によって、物理世界の一部を現実世界だと認識しています。つまり、ブリーフシステムが違う人同士は、同じ物理世界を見ても、認識している現実世界は異なります。

RASとスコトーマについては後述します。

4-4 ホメオスタシス

maleホメオスタシスは、恒常性維持機能のことです。他にも、現状維持バイアスや現状維持メカニズムといった表現をする人もいます。

元々は医学用語で、生命体が安定的な状態を維持するために持っている生命機能です。

例えば、哺乳類は体温を一定に保とうとしますが、これはホメオスタシスがあるおかげです。物理的な現象だけでなく、感情などの情報空間にもホメオスタシスは作用します。よくセミナーでテンションが上がったのに、翌日はいつもよりブルーな気持ちになってしまうのは、ホメオスタシスが働いてバランスを取ろうとしているからなのです。

このように現状を強く維持しようとしてしまう現象を、ホメオスタシスのフィードバックが働いているといいます。このフィードバックは良い状態にも悪い状態にも左右います。

ですから、一度成功して成功状態のホメオスタシスができた人にとっては失敗するよりも成功する方が簡単ですし、失敗状態のホメオスタシスが働いている人は成功するよりも失敗する方が簡単なのです。

『苫米地式ホメオスタシスを味方にして自動的に夢を叶える方法』という記事もあわせてご覧ください。

4-5 ドリームキラー

femaleあなたのコンフォートゾーンを引き下げようとする人のことです。あなたがゴールへ向かったコンフォートゾーンを引き上げようとすると、それを邪魔しようとしてくる人が現れます。それがドリームキラーです。

例えば、大きなゴールを持って偏差値50の高校生が東大に入りたいというと、学校の先生はもっと今の偏差値に見合った大学の受験を進めてきます。一見、先生は冷静に現状を分析し、あなたのためを思ってアドバイスしているようです。

そんな優しいあなたの身近な人ほど強力なドリームキラーになる傾向があるので、注意が必要です。あなたのためを思っている人でも、コーチングの専門知識がない人は、現状から物事を考えています。

一方、正しくゴール設定したあなたは、現状の外側で考えているので、ギャップが生まれます。そのギャップから考え方が食い違い、ドリームキラーが生まれてしまうのです。

不用意にドリームキラーを誕生させないためにも、ゴールはコーチなどの専門知識を持ち合わせた人以外に伝えない方が望ましいです。

4-6 ステータスクオ

maleステータスクオとは、前述した“理想の現状”を含んだ現状のことです。あなたの目の前の世界、その延長線上の未来はステータスクオです。

ゴールはステータスクオではないものとして設定しなければなりません。ステータスクオでない状態になるためには、構造的な変化・抜本的な変更が必要です。

単純な例でご説明すると、サラリーマンが今の会社で社長になることは理想的な現状でありステータスクオですが、サラリーマンが他の会社の社長になることはステータスクオではありません。なぜなら、今の環境で理想的な成果を出しても、転職などの構造的な変化がない限りは、別の会社の社長になる確率は0%だからです。

ステータスクオは、過去の情動によって決められています。ですから、ステータスクオに縛られて生きることは、過去に縛られて生きることになります。

ゴールをステータスクオの外側に設定すると、過去に縛られず、未来の可能性に向かって生きることができます。

4-7 スコトーマ

femaleスコトーマとは、心理的盲点のことです。物理的には視界に入っているはずなのに、脳は認識することができていない状態を「スコトーマに隠れている」などと表現します。

この医学的な定義から転じて、本来は気付けるはずなのに気付けないでいる状態なども、「スコトーマがかかっていて気付けない」などと表現します。

脳は手抜き器官なので、過去に見たことがあるものはすでに知っているものとして改めて認識しません。全ての情報を改めて認識するとしたら、脳の情報処理がとうてい追いつかないからです。スコトーマを作らずに全ての情報を認識していたら、脳はエネルギーを消費しすぎて人間は餓死していますほどです。だから、スコトーマを作って認識できなくさせるのです。

脳はすでに知っていることに対してスコトーマを作って認識する一方で、全く知らないことも認識することができません。たとえば、原始人にiPhoneを見せても、それが通信機器であることを認識することはできないでしょう。これもスコトーマの一種です。

このように私たちはRASがフォーカスしているような脳にとって重要な事柄以外は、たとえそれが目の前に会っても、ほとんどスコトーマによって認識することができません。

しかし、次々とゴールを達成していくような素晴らしい人生を送るには、スコトーマを少しでも外し、より多くのことに気付いていく必要があります。ですから、苫米地理論ではスコトーマを外すことを非常に重視しています。

スコトーマは自分では気付けないからこそスコトーマなので、誰かに外してもらったり、書籍や教材から学んだりして外す必要があります。スコトーマを外す専門職がコーチです。

スコトーマが生まれる要因は2つあります。

1:知識がない
2:自分にとって重要ではない

この2つです。スコトーマを外すための記事はこちらに書きましたので、あわせてご覧ください。

4-8 RAS

imageRASとは、Reticular Activating Systemの略で、“ラス”と発音します。日本語に訳すと、網様体賦活系となります。

脳が持っている機能の一つです。人間が受け取る膨大な情報の中から重要な情報だけをフィルターのように選び出し、脳に認識させるという機能を持っています。

カクテル・パーティー効果と呼ばれる、すぐとなりで話している別のグループの話は聞こえず、少し離れた会話相手の話がちゃんと聞こえる現象があります。これはRASが働いた結果を起こる現象です。

RASに重要だと判定されなかった事柄は、スコトーマがかかり、人間は認識することができません。

武術やヨーガの達人の中には、冬のヒマラヤ山脈に行き裸で瞑想するなど超人的な能力を発揮する人たちがいますが、これはRASをどうやって使っているかが一般人と違うことが原因です。RASをコントロールできるようになれば、自分の身体器官のどこを覚醒させて、どこをシャットダウンするかすら選択可能になります。この力があれば、理論上は人間も冬眠可能なのです。

4-9 セルフ・エフィカシー

maleセルフ・エフィカシーとは、自分のゴールを達成する能力に対する自己評価のことです。「自分にはこういう価値がある」「私はこういうことができる」と思っている度合いが、セルフ・エフィカシーの高さということになります。

自負心や自尊心だと考えると理解しやすいと思います。重要なことは、あくまで自己評価であり、他者評価は入らないということです。セルフ・エフィカシーの高さは個人のパフォーマンスに大きく影響します。

セルフ・エフィカシーが高いと、自然と能力がある前提で振る舞うことになるので、結果的に何事においても成果を上げる行動に結びつきやすくなります。ですので、苫米地理論では何かで成果を上げるためにセルフ・エフィカシーを上げ続けることを重視しています。

セルフ・エフィカシーは実際に能力を上げたり、能力を示す証拠になるような実績を作ったりしなくても、マインドを変えるだけで向上させることができます。ですから、能力や成果が上がるからセルフ・エフィカシーが上がるのではなく、セルフ・エフィカシーを上げるから能力や成果が上がると理解してください。

セルフ・エフィカシーは個人のものですが、集団のエフィカシーのことをコレクティブ・エフィカシーといいます。コレクティブ・エフィカシーの高い組織は、どのような分野においても高い成果を上げることができるので、企業向けのコーチは組織のコレクティブ・エフィカシーを上げる様々なセッションを行っていきます。

セルフ・エフィカシーについて、こちらの記事により詳しく書きましたので、あわせてご覧ください。

4-10 セルフ・エスティーム

femaleセルフ・エスティームとは、自分のポジションに対する自己評価のことです。直訳すると自己尊重となります。自分の存在そのものをどれだけ価値あるものだと自己評価しているかという指標になります。

セルフ・エフィカシーと同様に他者評価ではなく、自己評価であるところが重要なポイントです。

セルフ・エフィカシーは低いのに、セルフ・エスティームだけ高い人がいます。特に大企業である程度の役職に着いているや無難にこなしているがブレークスルーできていない人はこの傾向にあります。

このような人がコーチングを受けてセルフ・エフィカシーが向上すると、あっという間に成果を上げるケースが多々あります。

ちなみに、苫米地氏をはじめとした一流コーチのコーチングは高額であることが多いですが、高額のコーチングフィーを支払えるにも関わらず悩みを持っている人は、セルフ・エスティームだけ高くて、セルフ・エフィカシーが低いケースが多いとのことです。

4-11 内部表現

male内部表現とは、人間の脳内で反映されている情報のことです。内部表現という言葉を使うと、外部表現があるかのように思えてしまいますが、外部表現はありません。

人間は物理世界をそのまま認識することはできないので、人間が知覚して脳内で処理されている情報はすべて内部表現になります。

心に広がった世界全てが内部表現です。心の中で考えていることはもちろん、目の前の現実世界をありのままに見ているとしても、それは内部表現です。なぜなら、人間はありのままに認識することはできないからです。

人間は現実世界をありのままに認識することはできないので、現実世界をRではなく、R’と表現します。ちなみに、R’と対になる仮想世界はPです。

どのような内部表現を認識しているかどうかは、生理現象にも影響を与えます。プラシーボ効果もその一つです。内部表現において「効果がある!」と思っていれば、それがただの粉の固まりである偽薬だとしても、本物の薬であるかのように身体は効果を得ることができるのです。

この効果を利用して、苫米地博士は内部表現書き換えの技術を使い、「痩せる」「美肌になる」などの身体的効果のある機能音源や「モテる」「IQが上がる」などの情報的効果がある機能音源を開発しています。

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4-12 変性意識状態

image変性意識状態というと、通常意識状態があるように思えますが、通常意識状態はありえないと考えてください。人間が少しでもものを考えたり、人の話を聞いたりしたら、それは変性意識状態なのです。

通常意識の定義は、物理現実世界(Rと呼ばれます)にしか臨場感がない状態です。しかし、そんな状態は禅のお坊さんでも非現実的な理想的境地ですので、一般的にはありえません。ですから、前述したように内部表現として認識しているのはRではなくR’になるのです。

ですから、ほぼ全ての意識状態は変性意識状態であるといえます。もちろん、変性意識状態の程度には深さがあります。

非常に深い変性意識状態のことをトランス状態といいます。この状態は、物理現実世界よりも仮想世界の臨場感の方が高まっている状態です。

このように程度の差こそあれ、少しでも仮想世界の臨場感があれば、それは変性意識状態と呼ばれます。変性意識状態が深ければ深いほど、外部からの影響を無造作に受けやすいです。洗脳や催眠技術はこの脳の仕組みを利用しています。ですから、変性意識状態のコントロールが上手くなると、人を動かすコミュニケーションが上手くなったり、洗脳から説かれて自由になったり、洗脳されにくくなったりします。

この技術を学ぶことは非常に価値がありますが、くれぐれも悪用はしないようにお願いします。より詳しい内容は、『変性意識状態を活用することで人生が一変する理由』をご覧ください。

4-13 ラポール

imageラポールとは、人間関係における信頼感のことです。臨床心理学用語なので、苫米地理論だけでなく、NLPのようなメソッドでも同様の用語が使われています。

ラポールが築かれている人間関係だと、より強固で親密な関係になります。

変性意識状態が深いとラポールがより簡単に形成されます。ですから、ストックホルム症候群のようなことが起こるのです。

※ストックホルム症候群
誘拐された人が誘拐犯を好きになってしまう現象のこと

更にハイパーラポールという概念もあります。これは先生と生徒、師匠と弟子などというような上下関係を維持しながら、強烈な信頼関係が存在している状態です。非常にリーダーシップを発揮する上で大切な要素になります。

しかし、ネガティブラポールというものもあり、ラポールが強固になると支配者は非支配者に引きずり降ろされ、上下関係が次第になくなり、慣れ合い状態になってしまいます。ネガティブラポールマネジメントができないと、ハイパーラポール状態を維持することは難しく、すぐに普通のラポールになってしまうのです。

多くの組織が内部崩壊する原因が、このネガティブラポールの発生により、ハイパーラポールがなくなることだと言われています。

4-14 抽象度

image抽象度とは、「Levels of Abstraction」という哲学の概念を苫米地氏が日本語訳したものです。どれだけ物事を広い視野で捉えるかという高さと広さを表す言葉だと言えます。抽象度とは事象を見る視点が広く高いところにあり、下の階層の情報を包括しているかどうかという基準で、「抽象度が高い、低い」と表します。

情報量が少ない状態を「抽象度が高い」といい、情報量が多い状態を「抽象度が低い」といいます。抽象度の高い思考には、より多くの概念が含まれるので、抽象度が高い方が、情報量が多いと感じてしまうかもしれません。しかし、抽象度が上がると、情報量は減る一方で、潜在的な情報は増えるという構造になっています。

土地の例で考えるとわかりやすいでしょう。六本木<港区<東京都<日本<アジア<地球、という順序で抽象度が上がっていきます。港区という情報は六本木という情報を包摂していますし、東京都という情報は港区という情報を包摂していることから、潜在的な情報量の大小の違いがわかると思います。

一方で、抽象度が上がれば上がるほど臨場感は下がり、抽象度が下がれば下がるほど臨場感は上がります。“港区”とだけいっても臨場感のあるイメージが湧かないと思いますが、六本木より更に抽象度を下げて、“六本木ヒルズ”といえば、一度見たことがある人なら臨場感が高くイメージできるはずです。

一般的な言葉でいえば、「視野が広い」状態は抽象度が高いといえます。抽象度が高いということは、高い視点から物事を見てたくさんの情報を得られていることであり、それは一般的に言われる「視野が広い」状態に通じるものがあります。

抽象度と情報量の関係性や抽象度の高い思考の活用法などは、表面的に捉えると誤解しやすいので、より詳細な説明はこちらの記事をご覧ください。

4-15 空

image「空」は、抽象度における最上位概念です。「空」というと「空っぽで何もない」という誤解をしてしまう人が多いですが、実際はその反対に「とてつもなくある」というイメージです。宇宙全ての概念を包括している概念だといえます。

元々は釈迦が悟った境地をナーガールジュナが定義した概念が「空」です。その空を、「ない」と「ある」という2つの矛盾した概念を包括する西洋分析哲学の最上位抽象度の概念として設定したのが苫米地氏です。

苫米地理論では「空」の境地に至ることを目指し、様々な抽象度向上の方法論を開発しています。

4-16 縁起

image縁起とは、全ての存在は関係で成り立っているということです。釈迦の悟った概念の根本的内容になります。縁起は「関係が存在を生み出す」と考える概念であり、「存在が関係を生み出す」と考える西洋的な見方とは逆になっています。

これを踏まえて苫米地氏は、「自我は存在しない」としています。自分というものは面積も質量もなく、点であり、その点が何であるかを説明するためには、他者(他の点)との関係性で表すしかありません。この点のことを自分だと考えている人が一般には多いですが、点と点の間を結ぶ線こそが自分であり、その線から自我が生じていると考えます。ちなみに、苫米地氏は自我を「宇宙を自分にとって重要なもので並べ替える評価関数」だと定義しています。

西洋世界の頂点であるカーネギーメロン大学大学院で博士号を取得した苫米地氏ですが、西洋的見方に留まることなく、東洋的釈迦の思想を研究し、「自我は縁起によって生まれる」という考え方を苫米地理論やコーチングに採用しています。

4-17 IQ

femaleIQとは、情報空間における操作性のことです。一般的に言われるIQ(Intelligence Quotient)は、知能指数のことですが、苫米地理論ではより広い意味合いで使われるケースが多いです。

知能指数検査の話だけに留まらず、情報処理を上手くできる人ほど、IQが高い人だということになります。

抽象度が高いほどIQも高い状態にあり、IQが高いほど抽象度の高い思考を自由自在に行うことが可能です。

同じ人でも脳のコンディションによってIQは上がったり下がったりします。IQに関わるような高度な情報処理を行うのは、脳の前頭前野になりますので、前頭前野が働いている状態だとIQは高くなり、逆に前頭前野が働いていないとIQも低下して、適切な情報処理判断を行うことができなくなるのです。

例えば、大学生の頃、自由闊達な環境で学生団体のリーダーとして輝かしい成果を上げていた学生がいるとします。その学生が、大企業に就職すると、その硬直的縦社会のカルチャーでうまく振る舞えず、以前なら考えもしないようなミスを連発することがあります。このように自分に向いていない環境に閉じ込められるとIQが大きく低下し、ビジネスパーソンとしてのパフォーマンスも大きく低下してしまうのです。

4-18 クロックサイクル

imageクロックサイクルは、元々コンピュータ用語です。CPUの性能において、一定時間のうちに情報処理できる数と一つの処理動作(動作周波数)に対して、処理開始から終了までにかかる時間の周期のことをクロックサイクルといいます。

コンピュータのように人間の脳を捉えて、脳のクロックサイクルを速めることを苫米地理論では推奨しています。

クロックサイクルが速い人は、一般的な人の数分の一の時間で思考、認識、行動ができます。そして、トレーニングをすればクロックサイクルは簡単に変えることができます。

4-19 グレインサイズ

imageグレインサイズは、クロックサイクルと姉妹関係にある用語です。これもコンピュータ用語からきているものです。グレインサイズとは情報処理のユニット単位のことです。

このグレインサイズが大きくなれば、一度の情報処理できる単位が大きくなります。その状態になると、たくさんの物事を同時並列的に処理することが可能になります。

グレインサイズを大きくして、自由にコントロールできるようになると、脳本来が持っている同時並列処理を行うことができるようになります。こうなると、脳が複数のタスクを同時に処理できるので、生産性が大幅に上がります。

4-20 モーダルチャンネル

femaleモーダルチャンネルとは、外部の情報を脳が知覚する際の入り口となるものです。五感と呼ばれる「視覚」「聴覚」「味覚」「嗅覚」「触覚」に「言語」を足した6つをモーダルチャンネルとして苫米地理論では扱っています。

「味覚」や「嗅覚」が発達している人間はほとんどいませんが、他の感覚器のどれが発達しているかは個人差があります。それを分析することで、より効果的なコミュニケーションを取ることができます。

例えば、分析対象の人がバカにされたときに、「バカにしてるように見えるんだけど」と言ったら視覚優位であることがわかります。「皮肉に聞こえる」と言ったら聴覚優位ですし、「カンに触るなぁ」と言ったら触覚優位。そして、バカにされたと感じた言葉自体を気にしているようなら、言語優位というように分析することができます。

4-21 クリティカルエイジ

maleクリティカルエイジとは、人間のDNAに埋め込まれている情報です。これが様々な分野における学習限界年齢を決めています。

語学分野も最も顕著であり、8〜13歳くらいがクリティカルエイジとなっています。クリティカルエイジまでなら、新しい語学をネイティブのように習得できますが、これを超えると習得が急激に難しくなります。

このようなDNAに基づく生得的な情報ですが、このクリティカルエイジを突破する英語学習法なども苫米地氏は開発しています。

語学分野がわかりやすいですが、音楽やフィギュアアスケートなどの芸術やスポーツにおいて世界トップで活躍している人たちは、幼い頃からその活動に取り組んできたケースがほとんどです。これもクリティカルエイジが存在しているからです。

4-22 アファメーション

imageアファメーションとは、脳の仕組みをうまく利用してセルフ・イメージを書き換えるための方法論です。具体的な11ステップに従って作成した文章を読み上げることでセルフ・イメージを書き換えることができます。

アファメーションを使ってセルフ・イメージを書き換えることで、コンフォートゾーンがズレて、RASの焦点が変わり、スコトーマが外れていきます。この流れで、最初に設定したときは現状の外側だったゴールが次第に近づいてくるのです。

アファメーションは苫米地氏以外も様々な人が推奨している方法論ですが、間違って指導されるケースが多いことも事実です。よくある間違いとしては、「●●になりたい」というアファメーションは逆効果です。なぜなら、「〜たい」という願望系をアファメーションで使用するということは、「現在は●●ではない」ということを意味しており、そのアファメーションを唱えるたびに脳のホメオスタシスが働いて「●●ではない」という現状のリアリティーをより強固なものにしてしまうからです。正しくは「●●である」というように、なりたい姿にすでになっているかのように現在進行形でアファメーションの文章を作成する必要があります。

4-23 無意識

image無意識とは、脳が処理している活動の中で、意識に上がっていること以外全てを指しています。一般的な心理学で使われるような顕在意識に対する潜在意識と似ていますが、潜在意識だけでなく、心臓の鼓動など人間が意図しなくても勝手に動いている筋肉(不随意筋)を動かしているのも無意識です。

一般的には潜在意識と言われることも多く、ほとんど同じ意味だと捉えて大丈夫です。顕在意識よりも潜在意識の方が圧倒的に多くの情報を受け取っています。

この作用から、サブリミナル効果などの仕掛けが作られました。サブリミナル効果とは、動画の中に人間の意識が認識できないほど小さなコマで動画本編とは異なるCMのようなコマを入れると、そのコマが表している商品が欲しくなってしまうという現象のことです。顕在意識が認識している内容よりもサブリミナル効果によって潜在意識が受け取った情報に、脳は強く影響を受けてしまうのです。

これを悪用するケースが目立ち、苫米地氏が協力して放送法を改正し、現在ではTV放送でのサブリミナル効果は禁止されています。

詳しくは『無意識を操作して思いのままに夢を叶える方法(苫米地式)』をご覧ください。

4-24 アティテュード

アティテュードは、無意識が日常的に行っている選択のことです。直訳すると態度という意味になりますが、行動性向という日本語の方がより的確な表現です。

4-25 ハビット

imageハビットは、日常生活の中で無意識に行う行動のことです。一般的に習慣と訳されますが、苫米地理論では普段やってしまう癖も含めてハビットといいます。

アティテュードと似ていますが、例をあげると、毎朝紅茶を飲むのはハビットで、「コーヒーにしますか?それとも紅茶にしますか?」と聞かれたときに紅茶を選ぶのはアティテュードです。

4-26 非言語

female非言語とは、文字通り言語以外のコミュニケーション媒体のことです。アイコンタクトやジェスチャーなどのわかりやすいものはもちろん、その人が発する雰囲気や気など、様々なものがあります。

「はじめに言葉ありき」といわれる西洋キリスト教文化が言語を非常に重視するのに対して、東洋文化では非言語を大切にして有効活用する文化があります。それはコーチングスタイルの違いにも現れており、共通部分が多い苫米地式コーチングとTPIEをはじめとするタイス式コーチングの違いは、苫米地式コーチングが非言語を多用する点にあります。

苫米地氏がDVD教材での学習を重視している理由は、映像を通して非言語情報も学習者に提供できるからです。苫米地氏のDVD教材では話している内容の他にも、視聴者の潜在意識に対して非言語的な働きかけが行われています。もちろん、視聴者がゴールへより近づけるような良い働きかけです。

4-27 トゥールミン・ロジック

maleトゥールミン・ロジックは、人間の脳に思考プロセスにより近い論理体系です。ディベーターが主に使う論理体系であり、有名な三段論法などよりも人間の思考体系に即しています。

クレーム(主張)、データ(事実)、ワラント(根拠)を基本として構成していきます。この構成を使って論理を組み立てることが、人間が最も自然な形で納得することができる論理体系です。

4-28 ゲシュタルト

imageゲシュタルトとは、全体と部分の双方向性で成り立ち、一つの統合的意味を持つまとまりのことです。

ゲシュタルトは同時に1つしか持つことができません。例えば、有名なルビンの壺は、ゲシュタルトの作用により、壺の絵として認識するか、人の顔が向き合った絵だと認識するか、同時に片方しか認識できません。

人間が何かを認識するときに、様々なゲシュタルトを形成する可能性があります。あらゆる可能性から最もリアリティーが高いゲシュタルトが現実として認識されるのです。

リアリティーとは、物理的現実世界そのもののことではありません。R(Reality,現実)=I(Image,想像)×V(Vividness,臨場感)の方程式に従って、最もRが高くなるものが現実だと認識されます。

自我も縁起をゲシュタルトとして捉えたものなので、現在の自分のゲシュタルトを壊し、ゴールを達成した自分のゲシュタルトを再構築することで、現実をゴールへと近づけることができます。

詳しい方法については、『苫米地式ゲシュタルト能力を磨いて仕事で望む結果を出す方法』をご覧ください。

4-29 機能音源・特殊音源

苫米地氏は、聴いた人の脳を書き換え、思考や感情はもちろん、身体性まで変化させるオリジナルの音源を多数開発しています。

その効果は音源により様々で、

・抽象度向上
・IQアップ
・集中力が高まる
・頭がスッキリする
・快眠できる
・情動をコントロールする
・クロックサイクル高速化
・英語脳生成
・共感覚トレーニング用
・右脳言語野覚醒用

など様々なものが開発されています。

オリジナルの音源を0から目的に合わせて作るケースが多いですが、共感覚トレーニング用の音源はクラシック音楽を倍音が出るタイミングで重ねあわせたものである場合もあります。

4-30 共感覚

shutterstock_98520218共感覚とは、ある刺激に対して通常の感覚だけでなく、異なる感覚器で認識しているかのように感じる知覚現象のことです。

例えば、苫米地氏自身は光共感覚者であり、音を聴くと光として感じることができます。

10万人に1人という確率で生得的な共感覚者が存在していますが、特殊音源を活用した苫米地氏独自のトレーニングを積むことで、後天的に共感覚的な現象を感じられるようになります。

共感覚を身につけることは、抽象度やIQが向上に繋がるため、苫米地理論を実践するためのトレーニングでは共感覚を利用したものが多数登場するのです。

詳しくは『「共感覚」の不思議な世界と誰でもできる簡単トレーニング法』という記事をご覧ください。

4-31 バイオパワー

femaleバイオパワーは日本語で生権力といいます。監視されているという暗黙のプレッシャーによって、実際には監視されていないにも関わらず、監視されているかのように振る舞ってしまう現象に対し、「バイオパワーが働いている」といって使う用語です。

元々は功利主義を提唱したイギリスの哲学者ジェレミ・ベンサムのパノプティコンという概念から発生していて、この概念をミシェル・フーコーが著書『監獄の誕生』で確立しました。

苫米地理論では、一見洗脳には見えないが、大きなシステムの中で働く見えない影響力を説明するために、バイオパワーという概念を使うことが多々あります。

4-32 超情報場

image苫米地理論では、1人1宇宙と考えられており、それぞれの人が何かを認識した瞬間に宇宙が創られています。その創られた宇宙を超情報場と呼んでいます。

超情報場は次元を超える場であり、この場の一部として人間の認知があります。物理空間よりも情報空間の方が、抽象度が高く、人間の認知はこの抽象度が高い場にあります。

従来の科学者は、物理場に情報が紐付いていると考えていましたが、この考え方だとコーチングでクライアントの状態が一瞬で変化したり、統合医療によってガンが消えたりというような現象の説明がつきません。だから、情報場が先にあり、物理場が後から存在するという順序の方が適切なのです。

私たちが現実世界で「ある」と認識しているものは、情報場の写像として現実世界に映しだされたものに過ぎません。

4-33 右脳言語野

image右脳言語野とは、右脳の中で、左脳の言語野に相当する対象部位のことです。通常(一般的な右利きの人の場合)、言語野は左脳にあります。人間が言語を使うと、この言語野が発火するのですが、このとき同時に右脳の対象部位も発火していることがfMRIの研究によりわかりました。

苫米地氏はこの調査結果から、右脳言語野というコンセプトを作りました。

左脳の言語野では、言語学でいう統語論的情報処理しか行われておりません。しかし、人間が言語を使ってコミュニケーションを取る場合、統語論的文法に従って意思疎通を図っているのではなく、前後の文脈などを考慮して意味論的に意思疎通を図っています。その意味論的情報処理に重要な役割を果たしているのが、右脳言語野であると苫米地理論では提唱しています。

右脳言語野を鍛えることで、従来はセンスだと思われていたような部分の能力が伸びていき、人間らしい知性を活用したクリエイティビティを発揮することができるようになります。

5 まとめ

苫米地氏は膨大な分野に跨る領域で理論を展開しています。その理論を学んでいくと、一つ一つは理解できても、その世界の大きさと広さに圧倒され、それぞれの関係性を見失うことがあるかもしれません。

そんなときはシンプルに考えてください。あなたが世界一になるための知見がこの理論に詰まっています。そして、すでにあなたが世界一の存在だとして応援してくれています。

そうして、世界中の人々の抽象度を上げ、「戦争と差別のない世界」を苫米地理論は実現していくのです。

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