[PR]

 世界的な英国のロックギタリスト、ジェフ・ベック(72)に、直近作「ラウド・ヘイラー」について聞いた。インタビュー中、ベックは終始穏やかな表情で、言葉を的確に選びながら自分の考えを述べた。一問一答はおおむね次の通り。

 ――アルバムタイトル「ラウド・ヘイラー」が意味するところは何でしょう。

 「放送」ということを考えていた。ものを伝えるためのメガホン、拡声機という言い方はないかと思っていると、妻が「ラウド・ヘイラーは?」と提案してくれた。最初は、あまりエキサイティングな言葉ではないので、どうかなと思った。数週間すると、なんとなくいいなと徐々に思えてきた。「うるさい」という言葉が入っているのもいいなと、このタイトルにした。メッセージを放送する、メッセージを人に伝える、という意味を込めた。

 ――常々、あなたの音楽はアートのようだと思っています。「ラウド・ヘイラー」は、静寂の中にも粗削りさがあるアルバムと思いました。

 うれしいね、それを目指したんだよ。

 ――今作ではボーカルも前面に出ています。あなたの音楽にとって、ボーカルはどういう位置づけですか。

 特にロージー・ボーンズのボーカル。彼女があの声で歌詞を伝えるやり方は独自で、すごく好きなんだ。ロージーは決して勉強して歌手になったわけではないし、ましてやブルースシンガー、ソウルシンガーでもない。けれども、子供のような無垢(むく)な純真さを持った声、ストリートミュージックのような、女学生のような声でパワフルな内容の歌詞を届ける。そのギャップがいいんだ。

 ――ギターも一種のボーカルのような役割を担っていますよね。

 そうだね。自分はメロディーが…

有料会員に登録すると全ての記事が読み放題です。

初月無料につき月初のお申し込みがお得

980円で月300本まで読めるシンプルコースはこちら

こんなニュースも