原発30キロ圏外、大津で住民避難訓練 10月に初実施
原発事故に備えた独自の避難計画を持つ大津市は10月29日、対象地域の住民が参加する初の避難訓練を実施する。屋内退避やスクリーニング(被ばく検査)を行い計画の実効性を検証する。内閣府によると、計画策定の義務がない原発30キロ圏外の自治体が訓練をするのは全国でも珍しい。
福島第1原発事故では、47キロ先の福島県飯館村が居住制限区域になった。大津市の避難計画で対象となる市北部は、関西電力大飯原発(福井県おおい町)と高浜原発(同県高浜町)から47キロ圏内になり、市は「風向き次第で被害が起こりうる」とみている。
訓練を行う葛川学区全域と伊香立途中町には約400人が暮らす。大飯原発で放射能漏れ事故が発生した想定で、市の指示を受けて自宅に屋内退避した後、バスで避難中継所となる伊香立公園でスクリーニング検査や問診を行い、さらに避難所の伊香立中に一時移転する。安定ヨウ素剤の模擬配布も行う。
放射能汚染下で活動するため消防局職員が防護服を着て訓練し、住民向けに原発事故時の基礎知識を伝える講習会も行う。
市危機・防災対策課は「避難計画を検証して課題を洗い出したい」としており、来年は残る避難対象地域の小松、木戸、和邇学区で訓練を実施する考えだ。
大津市の越直美市長は、「国は30キロ圏外は何もしなくていいというが、そんなわけがない。当事者意識があり、住民を守れるよう訓練をしていきたい」と話している。
【 2017年05月24日 09時38分 】