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行政・団体

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東京都・小池百合子知事/入契制度改革で団体意見聴取/2日目、試行範囲は平行線  [2017年5月18日4面]

 東京都の小池百合子知事は17日、建設工事で6月から試行する入札契約制度改革に対する2日目の事業者団体ヒアリングを都庁で行った。参加した上下水道工事関係の5団体は一様に、予定価格の事前公表の廃止やJV結成義務の撤廃、低入札価格調査制度の適用拡大などの運用に対し懸念を表明。制度改革の「白紙撤回」は求めずに、適用範囲の限定を提案したが、試行範囲の在り方について団体側と知事の見解は平行線をたどった。
 どの団体も、一連の入札制度改革の実施がダンピング受注の助長や、大手企業との競合による受注機会の喪失などを招くと指摘。中でも、東京都下水道工事専業者協会の武井久雄会長は、「今回の方針には中小企業への配慮が感じられない。全面実施となれば、経営環境は悪化する」と強調した。
 さらに武井会長は、「税金の無駄を無くすのが都政の当然の義務」とも述べた上で、「今の中小企業のどこに無駄な経費や過剰な利益が生じているのか。あえて無礼な言い方をするのは、入札制度改革がわれわれの生死に関わる大問題だからだ」と訴えた。
 団体側は、都の入札制度改革の白紙撤回を求めていたわけではない。実施に踏み切るなら、「せめて、適用対象の工事規模などを限定してもらいたい」と現実的な解決策を提案した。
 これに対し、小池知事は、低入札価格調査の適用拡大は、比較的工事規模の大きい財務局案件が対象であること、JV結成義務の撤廃で単体が参加できる案件が増えることなどを説明し、中小企業へのデメリットは限定的との見方を示した。
 しかし、団体側は「ひとくくりに財務局案件といっても、工事規模や参加者の幅は広い。中小以下の企業が同じ土俵で競争するのは無理がある。財務局案件の中でも規模を区切ってもらいたい」と繰り返し要望。これに小池知事は「安かろう悪かろうを助長するのではない。中小企業に頑張っていただく素地をつくるという改革の趣旨をくみ取ってもらいたい」と応じた。
 小池知事は結局、6月から財務局案件、10月から他部局案件(水道、下水道、交通の3局は未定)で入札制度改革を試行するとの方針を崩さなかった。意見聴取に同席した武市敬財務局長は「まずは1年間の試行という位置付け。その間、改善点があれば検討しなければならない」と述べた。
 同日のヒアリング対象は、▽東京都水道専業者協会▽協同組合東京都水道請負工事連絡会▽東京都管工事工業協同組合▽三多摩管工事協同組合▽東京都下水道工事専業者協会-の5団体。

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