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行政・団体

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東京都・小池百合子知事/入札契約制度改革の姿勢崩さず/中小企業に根強い不安  [2017年5月17日4面]

小池知事による事業者団体ヒアリング=15日、都庁で

 東京都の小池百合子知事が15日に行った建設工事の入札契約制度改革に対する事業者団体からの意見聴取で、団体側からさまざまな要望が出た。小池知事は、発注情報(設計図面や施工数量など)の提供などでは要望を踏まえて改善する意向を示しつつ、現方針に沿って入札制度改革を試行する姿勢は崩さなかった。
 予定価格の事前公表の廃止や1者入札の原則中止、JV結成義務の撤廃、低入札価格調査制度の適用拡大などを柱とする入札制度改革への懸念は、中小企業が多く加盟する団体で強かった。ただ、ヒアリングでは改革実施に賛成する団体もあり、同じ建設業界の中でも、経営規模や業種によって立場が異なることが浮き彫りになった。
 三多摩建設業連合会は、財務局案件でのJV結成義務の撤廃を取り上げ、「これまで大手企業とJVを組んできた会員企業には、弱者切り捨てとも取れる運用。再考を求める」と強く要望。東京都電設協会は「JVを組んでも、あまりに下位の構成員では利益がない。結成義務の撤廃には期待も持てる」としつつ、「中小企業が受注意欲を失わない工夫は必要だ」と注文を付けた。
 都は、JV結成義務を廃止しても中小企業の受注機会が損なわれないよう、中小企業を含むJVの自主結成を総合評価方式で優遇(0・5点か1点の加点)する仕組みを検討している。これに対し、東京電業協会(東電協)は「加点幅をもっと引き上げてもらいたい」と要望した。
 団体側は、予定価格の事前公表を事後公表に切り替える際の課題も指摘した。
 東京建設業協会(東建)は、企業が適切な積算を行えるよう、「事後公表を実施している国土交通省と同等な発注情報の提供、十分な見積期間の設定をお願いする」と強調。それができない場合は「応札が困難なため、(6月からの)試行を延期してもらいたい」と付け加えた。
 都財務局はヒアリングに先立ち、入札制度改革の事業者説明会も開催しているが、東京建物解体協会は「説明会とヒアリングを行う順番が逆だったのではないか」と知事に憤りをぶつけた。
 一方、都の入札制度改革を全面的に支持する団体もあった。東京空調衛生工業会(東空衛)は「結論は賛成」とした上で、参加申請者が1者だけの入札を原則中止とする運用について、「そもそも都が魅力のある工事を発注していれば、1者入札は起こらない」と発注計画の改善を提案した。
 意見聴取を終え、小池知事は「中小企業が挑戦できない仕組みは、業界の裾野を広げる上でマイナス。やる気のある企業に頑張ってもらうためにも、改革を進める」と述べた。

コメント

  • k より:

    入札は談合を完全に排除するのは、零細業者の保護にならない。国際入札は品質を守れなくなる。
    アメリカの(べ区テル)の落札で、国内の景気浮揚にならない。
    外国企業の入札は排除すべきである。

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