長時間労働に支えられるモデルから脱却したい・・・・ただそれだけ
友人と学生の時に創業した会社は納期前は21時に帰れれば良い方、一人で同時に何案件も回さなければならない、というような超絶ブラック会社で利益率・成長率も理想的とは言えない状態でした。
利益が出ない理由は計画通りにまったくいかず1件あたりの単価も1,000万・2,000万になるとトラブルも精神的負担も大きくなり、主力のエンジニアがやめたり取引先が倒産して一円も入らなかったりと全く思い通りにいかない・・・。
人が商品のモデルは限界!、だけど製品の作れない年商1億ちょいの会社が、次の期には保守を5,000万程度上乗せして1億近くの見込み発注を作るまでに至った経緯についてお話します。
そんなお話から、もしシステム開発会社の営業か代表、あるいはフリーランスの方で投資原資を作る一助になれば幸いです。
案件が途絶える=会社の死・・・・にも関わらず案件がくる確証がもてない
主力のエンジニアがやめ、紹介してくれる取引先が何社か移籍先に発注するようになってから、今までの紹介の連鎖はどこかで切れるというのを感じました。
それまで年商が1億数千万あったのは納品力があったおかげで紹介紹介で取引先は増え、案件の単価も最初は数十万だったところから1,000万円以上に上がっていたためです。
紹介はありがたいことですが、見えないものを頼りにするよりも何か製品を作りたい、それには投資原資が必要ですし企画までも時間がかかりそうなので今の体制でなんとか会社に金を残すことができないか・・・・と考えたところ保守にいきあたりました。
で、結局どうなったの?
色々な試行錯誤と幸運が重なり、保守の契約率はほぼ100%、保守が5,000万近く増え期の初めから1億程度の売り上げ見込みを立てることができました。
投資原資を確保できたのか?というと・・・・人材採用にお金を使い、その採用した人に僕はもともと勤務態度が不真面目だったこともあり社内政治的なので追い出され、僕にとっては何もいいことは起こりませんでした。
保守で利益を残したら、まずは・・・・節税してまとまった投資原資になるように残しておいた方が今考えればよかったのかなと。
そんなオチは良いとして、僕はなぜ保守に目がいったのか?というのを書いていきます。
保守の利益率が高い理由1:保守ならば稼働時間に対して価値が高いしお客様には安い
保守・運用というのは月25万円の保守料金をいただいていても、問題があった時に初動が早ければ顧客満足が下がりません。
また、我々もプロであるため運用時に問題の出ないようなコーディングを当然していたため、問題もほとんど起きません。
では、お客様からするとなぜ契約するかというと、お客様からしたら安いためです。
マンションの賃貸契約みたいなもので、保守するエンジニアを社内で囲ったら年1,000万-1,500万もしますし、アプリやネットワークエンジニアを必要とするようなシステムの場合には2人をほとんど問題が起きないシステムのために配置しなければなりません。
そこを最低で月に5万〜というのは非常に安価に見えるのではないでしょうか。
保守の利益率が高い理由2:解約されない
システム保守は1年契約、基幹システムやECの案件が主力だったためお客様が倒産しない限り稼いでくれるだろうと見込み、解約はほぼゼロでした。
構築では要件定義をしながら営業するようなコンサルティング営業が多いですが、営業の経費もかからず数千万の利益が会社に残せるわけで。
営業が少ない開発会社では営業人員を使わないことで、売り上げの天井をあげることにも役に立ちます。
理論的にはですが、営業がボトルネックになっている場合に営業のリソースを30%減らせれば売り上げは1.5倍になりますので。
保守の利益率が高い理由3:競争がない
構築と比べてですが、作った会社にお願いするしかないため競争がありません。
ですので、内容と価格の妥当性をしっかりと説明すればご契約いただけます。
しかし、逆に技術の中身について突っ込んだ話になるため、事故と復旧方法については全てのレイヤーについてエンジニアと同程度の知識を必要とします。
また、目に見えないので価値をつかむことが難しいため、300万 / 年の保守を契約いただくには妥当性の説明にもコツが必要です。
保守の案件金額をあげるには?
損害時の案件金額を可視化することで、保守の金額は明瞭になります。
というのも、1,000万の損害防ぐためなら100万は安いなー、1億なら・・・・と可視化する損害の金額によって10万の保守が必要か、それとも100万の保守が必要かどうかをお客様が判断できるためです。
もし、読者の方が業界最低水準の5万・10万・15万をとりあえず提示しているようでしたら、お客様にこの保守を必ずしなければという気持ちを変えることで高額な保守の契約が見込めるはずです。
具体的な手法については、こちらの記事をご参照ください。
保守の金額が高くなるシステムの例
ただ、保守=トラブル発生時に数千万の損害が出るところを予防するようなものですので、月に数十万払うものは限られてきます。
僕が保守案件で高かった例を上げて行きます。
ECサイト or 有料Webサービス
ECサイトやコンテンツ配信サービスは止まればそれだけ売り上げが止まる、顧客情報も抱えるということで損害が出た時には青天井・・・・みたいなイメージがつきやすいため、月100万で出しても平気な顔をされることがあります。(レアケースですが)
中小企業の基幹システム(在庫管理等)
売り上げが大きい会社の業務基幹システムも構築時は1,000万、保守も月に20-30万、何かあるたびに追加開発が発生するというような感じの案件が多かったです。
大企業の部門基幹システム(営業管理等)
大企業の部門基幹システムについては、値切られることも多いですし情シス相手なのでかなり役割が限定化され保守金額があまり膨らまないことが多かったです。
保守の金額が安くて大丈夫なシステムの例
保守の価値が低い案件は無料系、個人情報も取らない系のサービスはコンテンツが飛ばない限り大丈夫なため、初期はバックアップくらいしかやることがありません。
SIerのポジションとしてはシステムの価値が上がって欲しいのですが、それにはお客様のマーケティングが功を奏するのを祈るしかありません・・・。
保守なら利益率が高い理由とそのまとめ
保守なら価値の割に稼働時間が低く解約されないため、会社に5,000万や1億の投資原資を残すには役に立つ・・・・はずです。
僕の場合には自分達が作った会社がブラック企業だったので変えようとしましたが、ダメでした。
今自分で立てた会社ではできるだけ先行投資型でシステムや仕組みが発揮する価値に対して対価をいただくような体制にほぼなりつつあります。
もう少し投資の原資を貯めて、先行投資型の会社にし人ではなくシステムに稼がせてブラック体質を改善したい。
そんなフリーランスの方や制作に携わっていらっしゃる方はぜひこちらまでお問い合わせくださいませ。