北朝鮮 弾道ミサイル発射 日本の排他的経済水域内に

北朝鮮 弾道ミサイル発射 日本の排他的経済水域内に
29日朝、北朝鮮の東部から弾道ミサイル1発が発射され、およそ400キロ飛んで、日本海の日本の排他的経済水域内に落下したとみられています。日本の排他的経済水域内への落下は今回が4例目で、防衛省は飛行コースなど詳しい分析を進めています。
防衛省よりますと、29日午前5時40分ごろ、北朝鮮東部のウォンサン(元山)付近から弾道ミサイル1発が東の方向に発射され、およそ400キロ飛んで日本海の日本の排他的経済水域内に落下したとみられています。

落下した海域は、新潟県佐渡島からおよそ500キロ、島根県隠岐諸島からおよそ300キロと推定され、被害の情報は入っていないということです。

また、ミサイルの高度は推定およそ100キロで、特異な高度ではなく、発射から落下までの飛行時間は10分に満たなかったと推定されるということです。

防衛省は、ミサイルの種類について、飛距離などから短距離弾道ミサイルの「スカッド」型の可能性があるとしています。

北朝鮮が発射した弾道ミサイルが日本の排他的経済水域内に落下したと推定されるのは、ことし3月や、去年8月と9月に続いて、今回が4例目となります。

防衛省は、ミサイルの種類や飛行コースなどについて、さらに詳しく分析を進めています。

水産庁 注意呼びかけや情報収集

北朝鮮が弾道ミサイルを発射し、日本の排他的経済水域内に落下したとみられることを受けて、水産庁は、各地の無線局や自治体を通じて沖合の漁船に対して注意を呼びかけるとともに、情報収集を進めています。

水産庁によりますと、弾道ミサイルが落下したと推定される海域周辺では、ベニズワイガニの漁などが行われているということですが、今のところ被害などの情報は入っていないということです。

専門家「核・ミサイル強国アピールか」

防衛省防衛研究所の元統括研究官で、拓殖大学大学院の武貞秀士特任教授は「北朝鮮は先週も弾道ミサイルや迎撃ミサイルの発射実験を行って成功したと発表している。アメリカもICBM=大陸間弾道ミサイルや迎撃ミサイルの発射実験を発表しており、北朝鮮としては、アメリカと同等の『核・ミサイル強国』であることをアピールする狙いがあると見られる。それによって早期の米朝協議につなげたいのではないか」と指摘しています。

さらに、武貞特任教授は「G7サミット=主要7か国首脳会議では北朝鮮に対して、対話だけでなく圧力をかけるべきと各国が合意した。これに対し、北朝鮮抜きの合意は意味がないというメッセージを込めてこのタイミングで発射したとみられる」と指摘しています。
そのうえで、「北朝鮮の弾道ミサイルを誘導する技術を考えると、排他的経済水域内に落下することを十分認識したうえで発射したことが考えられる。日本に対して、日米同盟を強化してアメリカに協力するのは得策ではないということを示す狙いがあると思う」と話しています。

専門家「核・ミサイル開発継続の意思示したか」

海上自衛隊で自衛艦隊司令官などを務めた、元海将の香田洋二さんは「今回の発射は、技術的、戦術的な目的というより、政治的な立場を強調する狙いが考えられる。アメリカが空母の展開など西太平洋での戦力を増強する中で、北朝鮮としては核とミサイルの開発は断固として続けるという意思を示そうとした可能性がある」と指摘しています。