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G7首脳宣言「北朝鮮、新段階の脅威」 海洋安保で中国に懸念

2017/5/28 1:00
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 【タオルミナ(イタリア南部)=島田学】27日に閉幕した主要国首脳会議(タオルミナ・サミット)は貿易や気候変動問題で立場の違いを浮き彫りにしたが、北朝鮮への対応では首脳宣言で「新たな段階の脅威」と明記するなど認識を共有した。中国の海洋進出にも懸念を示し、不安定さを増すアジアの安全保障環境をにらみ、日米の主導で主要7カ国(G7)の結束を強調した。

 安倍晋三首相はサミット閉幕後の記者会見で北朝鮮問題に関し「放置すれば安全保障上の脅威があたかも伝染病のように広がる危険性を帯びている」と指摘。北朝鮮が世界全体の脅威であるとの認識を各国首脳と共有したと強調した。「G7は制裁措置を強化する用意があることも完全に一致した」とも訴え、国連安全保障理事会での制裁強化に意欲を示した。

 昨年三重県で開いた伊勢志摩サミットの首脳宣言では、北朝鮮の核実験や弾道ミサイル発射に対し「最も強い表現で非難する」と明記した。今年の首脳宣言は非難の文言を踏襲しつつ、朝鮮半島情勢の緊迫度が増していることを踏まえ、北朝鮮を警告する表現が一段と強まった。「北朝鮮は重大な性質を有する新たな段階の脅威」と指摘し「国際的課題の最優先事項」とした。

 首脳宣言では、各国のインフラを狙った最近のサイバー攻撃にも言及。各国が連携を強化して攻撃の影響を減らし、安全なサイバー空間の確保に努めていくことを盛り込んだ。今月起きた世界規模のサイバー攻撃について北朝鮮が関与しているとの見方もある。

 北朝鮮が議題となった26日の討議では、直前に開いた日米首脳会談で北朝鮮への制裁強化で一致した安倍首相とトランプ米大統領が議論を主導。安倍首相が北朝鮮への圧力強化を訴え、各国から北朝鮮への厳しい非難の声が上がった。北朝鮮がさらなる挑発行為をした場合の対応でも、安倍首相が「厳しい措置を含む新たな国連安保理決議を迅速に採択すべくG7で連携したい」と呼びかけ、各国が賛同した。

 海洋安全保障問題も日米が重視し欧州勢の理解を促した分野だ。首脳宣言では海における法の支配の重要性を強調。中国の活発な海洋進出を念頭に南シナ海や東シナ海情勢への懸念を示し「緊張を高めうるあらゆる一方的行動に強く反対」と明記した。

 「中国との関係は重要だ。大局的な観点から安定的関係の構築を進め、中国が国際社会で一層建設的な役割を果たすよう促していく必要がある」。安倍首相は27日の昼食を交えた討議で中国の海洋進出が話題になると、各国首脳に強調した。ただ中国を海洋進出でけん制すると、北朝鮮への対応で協力をとりづらくなるとの見方もある。

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