北朝鮮が東部から飛しょう体発射 韓国軍

北朝鮮が東部から飛しょう体発射 韓国軍
韓国軍の合同参謀本部によりますと、北朝鮮が29日朝、東部のウォンサン(元山)付近から日本海に向けて何らかの飛しょう体を発射したということで、詳しい情報の収集を急いでいます。これについて、韓国の通信社、連合ニュースは、飛しょう体は弾道ミサイルと推定されると伝えています。韓国のムン・ジェイン(文在寅)大統領はNSC=国家安全保障会議の開催を指示したということです。
北朝鮮は今月21日、西部のピョンアン(平安)南道プクチャン(北倉)から東に向けて弾道ミサイル1発を発射し、ミサイルは高度560キロまで上昇したあと、発射地点から500キロ余り離れた日本海に落下しました。

これについて、北朝鮮は、発射したのはSLBM=潜水艦発射弾道ミサイルを地上配備型に改良した中距離弾道ミサイル「北極星2型」で、キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長が実戦配備を承認して量産を指示したと発表していました。

また、今月14日に発射し、高度が初めて2000キロを超えた新型の中距離弾道ミサイル「火星12型」については、「アメリカ太平洋軍の司令部があるハワイと、アラスカを射程圏内に収めている」と主張していました。

これを受けて、国連安全保障理事会は、5月22日、発射を厳しく非難するとともに、制裁の実施を確実にすることを求める報道機関向けの声明を発表しましたが、北朝鮮は反発する談話を出し、「核武力の多様化、高度化をさらに推し進める」として、核・ミサイル開発を加速する考えを強調していました

弾道ミサイル発射の狙いは

北朝鮮による相次ぐ弾道ミサイル発射の背景には、アメリカのトランプ政権に対し、核・ミサイル開発を一層加速させる姿勢を印象づけるとともに、北朝鮮をめぐる国際社会の連携に揺さぶりをかける狙いもあると見られます。

北朝鮮は、弾道ミサイル20発余りを発射した去年に続き、ことしも発射を繰り返し、ことしは中距離弾道ミサイルの「スカッドER」4発、SLBM=潜水艦発射弾道ミサイルを地上配備型に改良した中距離弾道ミサイル「北極星2型」2発、それに新型の中距離弾道ミサイル「火星12型」1発など合わせて11発を発射していました。

発射は東部の日本海側や西部の内陸部などさまざまな場所から行われ、北朝鮮は移動式の発射台による奇襲能力を誇示しようとしている可能性があります。

また、今月14日の「火星12型」の発射では、高度が初めて2000キロを超えたほか、今月21日に「北極星2型」を発射した際、キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長がこのミサイルの実戦配備を承認して量産を指示し、弾道ミサイル技術の向上を誇示していました。

北朝鮮としては、圧力を強めるアメリカのトランプ政権に対し、核・ミサイル開発を一層加速させる姿勢を印象づけるとともに、北朝鮮をめぐる国際社会の連携に揺さぶりをかける狙いもあると見られます。

去年2月以降 弾道ミサイル発射繰り返す

北朝鮮は、去年2月に事実上の長距離弾道ミサイルを発射して以降、弾道ミサイルの発射を繰り返してきました。

去年、発射されたのは、新型の中距離弾道ミサイル「ムスダン」、SLBM=潜水艦発射弾道ミサイル、それに中距離弾道ミサイル「ノドン」や、短距離弾道ミサイル「スカッド」など、射程の異なる弾道ミサイルで、その数は20発余りに上ります。

ことしに入ってからは、2月にSLBMを地上配備型に改良した新しい中距離弾道ミサイル「北極星2型」を発射したのに続き、3月には北西部のピョンアン(平安)北道トンチャンリ(東倉里)付近から日本海に向けて中距離弾道ミサイルの「スカッドER」4発を同時に発射し、さらに同じ月には、東部のウォンサン(元山)付近からも弾道ミサイル1発の発射を試みて失敗したと見られています。

先月も5日と16日、それに29日と3回にわたって合わせて3発を発射し、いずれも失敗したと見られています。
そして、今月14日、北西部・ピョンアン北道のクソン付近から新型の中距離弾道ミサイルの「火星12型」を発射して高度が初めて2000キロを超えたのに続いて、1週間後の21日には、ピョンアン南道プクチャン(北倉)から「北極星2型」を再び発射しました。