「ずずずくんが来るって聞いたから慌てて準備したのよ」
叔母さんにお見合いをさせられました。お見合いと言うほどかっちりしたものではありませんでしたが、とにかく初対面の女性に引き合わされたわけです。
今回の富山行きの目的は、昨年末に脳梗塞を患った伯父さんのお見舞いです。豪雪地帯なので季節が変わるのを待っていました。
私は父方の親戚が苦手なのですが、母方の親戚とはソリが合い、特に母親の兄に当たる伯父さんが大好きなのです。
ただ、神奈川から富山はなかなか遠く、そう簡単に行けません。北陸新幹線が開通してずいぶんと行きやすくなりましたが、それでも大変です。
また、富山の中でも山のほうで、電車で行っても最寄り駅から車で1時間ぐらいかかります。仕事が忙しかったこともありますが、十数年ぶりに顔を出しました。
伯父さんは発見が早かったこともあり、後遺症などほとんどなく、ごく普通に自宅で生活していました。酒豪&ヘビースモーカーのところも変わっていません。
そうして安心したところで叔母さんの不意打ちです。この叔母さんは母親の妹に当たるのですが、私がいまだに独身であることを心配していたそうです。
相手の女性は私の情報を叔母さんから聞いていて、Facebookで顔まで知っていたそうですが、私は何も知りません。
おまけに私の両親は叔母さんの不意打ちも、相手の女性のことも少し聞かされていたそうです。私は両親に言いたいのです。
卑怯だぞ…。
相手の女性は33歳で、近くの自動車部品工場で事務員をされているそうです。人目を引くような美人ではありませんが、たまに見せる笑顔が素敵でした。
少なくとも私のようなブサイクにはもったいなく、もっと良い男と結婚できると思える女性です。叔母さんは強引なので断り切れなかったのかもしれません。
何より目をひいたのが、ニットの下から強烈に自己主張している巨乳です。体型は細身なのでより一層、目立ちます。
じろじろ見るのは失礼ですし、そういう視線は相手も気づいていると分かっていてもつい目がいきます。これを見るなと言うのは無理な話です。
不意打ち&巨乳で呆然としているときに聞かされたのですが、バツイチだそうです。22歳で一度、地元の男と結婚したそうですが、子どもができずに追い出されたとのことです。
「いまだにそういうことがあるんだなあ」と驚きました。ちなみに、私はバツイチなどまったく気にしません。女性には何の非もありませんし。
経緯はどうであれ、女性に恥をかかせるわけにはいきません。天性の芸人体質&新聞記者時代に培った取材スキルを活かし、退屈させないよう話しかけます。
もともと口数が少なく物静かであるところに、初対面ということもあって緊張していたようですが、少しずつ話してくれるようになりました。
富山から出たことがなく、都内や横浜の話をもっと聞きたいというので、昨日はとりあえずLINEのIDを交換してお別れしました。
(つづく)