昨日は、久しぶりに大阪まで遠征に行ってきました。
島とすっかり同化して田舎者と化した私には、都会に出ること自体がちょっとした冒険と化してしまった上に、大した距離は歩いていないはずなのに360度人、ヒト、ひとの群れで疲れてしまいました。
島流しはあくまで期間限定。このままでは大阪に戻られへんぞ、どないすんねん。
淡路島からバスに乗車。朝なのに、いや、朝だからか、バスは満席です。
明石海峡大橋が完成してから、淡路島のライフスタイルがガラリと変わったと言います。
バスもその一つなのですが、橋が架かりバスが通ると、神戸市内が通勤通学圏になってしまい、朝夕のバスは高校生やサラリーマンでいっぱいになるんだとか。淡路島の洲本から神戸の中心部までなら所要時間1時間半弱。通勤通学圏としては十分に条件を満たしています。
今日は土曜日なので制服姿やスーツ姿は見なかったけれど、おめかしをしたお客が多かったのでみんな神戸でお休みのバカンスといったところでしょう。
いつもならちょっと神戸で寄り道・・・といくところですが、今回は素通り。
大阪までの道ですが、プライベートはできるだけ私鉄にお金を落とすのが私の流儀。
今回はお上品に決めて阪急神戸線を使いました。
阪急は滅多に使わない分、乗る度にいつも新鮮に感じるのですが、木目の内装と緑色のシートが、いつものようにお上品さを醸し出す。気のせいか、乗客もどこかしらレディースアンドジェントルメンに見えてくる。
阪急電車が何故、「お阪急」と言われるお上品というイメージがあるのか。それはその車内。
関東の鉄道は、JRを含めて残念ながら鉄道なんて人を運べばいいというただの輸送機関と化している感がありますが、阪急はそのアンチテーゼ的存在として関東の私鉄からも注目されています。阪急から、
「お前さんら、お客さんを『貨物』として扱ってまへんか?」
と睨まれている気がするんだと、某私鉄勤務の人が言っておりました。
車内のこの配色と、外観のマルーン色。開業から100年以上変えていない伝統の色です。
頑固に変えずに使っているうちに、それがだんだんとイメージになり、ブランドとなってゆく経緯が、阪急電車一つ見ていてもわかります。
もっとも、阪急は何度か変えようとしたらしいのですが、その都度乗客の猛反対で取りやめになったんだとか。
そう、阪急という一種のブランドは乗客がいちばん大切に守っているのです。電車のマルーンを「ウXコ色」と嘲笑しつつ、じゃあ変えましょうと言ったら、「うXこ色ではない阪急は阪急ちゃう」と反対する。みんな「うXこ色」が好きなんやん(笑
おそらく、沿線客の鉄道への愛がいちばん強いのは、間違いなく阪急だと思います。
三宮から阪急梅田までは、特急に乗れば30分くらい。寝てたり本でも読んでいればあっという間の時間です。
そこから地下鉄に乗り込み、とりあえずの目的地である図書館へと向かったのですが、地下鉄の駅に何か違和感を感じました。
あれ?何か変わってるよな・・・と看板を見ると、地下鉄の路線案内表示が変わってますね。
以前は、
これやったのに。
個人的には旧式の方が好きだったのですが、見やすさわかりやすさは新しい方が断然上です。田舎者の私もビジュアル面ですぐ理解できました。
ところで、大阪ではおなじみの地下鉄のこのマーク、
何でこんなマークなのか知ってますか?
いつしか「コマル」と呼ばれていたこのマークは、大阪に地下鉄が出来た1933年に大学の教授が作ったデザインで、意味は
O:大阪
コ:高速鉄道
と実に単純なもの。意味がわかってしまえば、もうちょっとひねろよとガックリ感さえ感じてしまう、実にシンプルすぎるデザイン。
私などは数十年間見続けてきたマークなのですが、今回来てみるとあまり見なくなりました。
散々揉めた地下鉄の民営化が、ついに市議会で可決し来年4月再出発で決定したので、それに合わせて「コマル」の撤去を始めたのでしょうか。
個人的には「コマル」の方が何だか可愛げがあって好きなのですが、民営化になったら使い続けるのは無理ですね。
しかし、大阪市営地下鉄は何故民営化するのか?何故市議会とケンカしてまで民営化を急ぐのか?
公営なので赤字垂れ流しというイメージがある地下鉄ですが、実はJRも羨む超黒字だったりします。公営地下鉄では、東京都営地下鉄と並んで唯一の黒字先行路線です。
昔は、走る金鉱御堂筋線の超黒字が、他路線すべての赤字をなんとか相殺する経営だったのですが、それでもいちおう黒字。
それが谷町線が黒字化し、ここ10年くらいで堺筋線・中央線・四つ橋線が立て続けに黒字化。近年の外国人観光客の増加で更にウハウハな状態なのです。経常収益だけなら笑いが止まらんボロ儲けです。
超黒字やったら別に民主化せんでもええやん、と疑問に思っていたのですが、決まったものは仕方ない。利用者には全く影響ないことやし。
それにしても、地下鉄の名前はどうするのでしょうかね?東京が「東京メトロ」やから、大阪は「大阪メト・・・」それは東京メトロのパクリやがな。
それは「現在考案中」とのことなので、どうなるかはお楽しみにしておきましょう。
そんな地下鉄に乗って行った場所第一号が、
大阪府立中央図書館です。
国立国会図書館を除いた公共図書館では、蔵書数日本一を誇ります。それだけあって中はかなり大きく、最初はガイドマップ片手でないと目的の本までなかなかたどり着きません。図書館員も迷子になるらしく、伝説によると地下の書庫がデカすぎて館内を自転車で移動しているんだとか。
蔵書数日本一だけあって、既に絶版になって入手不可になったり、出版数が少なすぎて幻になった本もしれっと置いていたり、けっこう重宝します。どこの図書館にもない場合、最後の頼みの綱と蔵書検索するとあっけなく発見したり、以前はけっこう使わせてもらっていました。
しかしこの図書館、ロケーションが(私にとっては)ビミョーなのが玉に瑕。
「地下鉄で行った」と言っても、最寄りの荒本駅は地下鉄ではなく正式には近鉄東大阪線。
ただ地下鉄(中央線)が相互乗り入れで直通しているだけだったりします。
それだけなら特筆することはないのですが、近鉄に入ると運賃がいきなり高くなるんです。
地図左の「長田駅」までは市営地下鉄なのですが、ここまでは公共交通なので料金が安い。しかし、一駅またぐと涙が出てくるような料金に。
そして、少し地図で言えば右へ行けば、そこは生駒山。そして奈良県。
ここも「大阪府」には変わりないけれども、府民の南部より奈良府民・・・もとい奈良県民の方がロケーション的に恵まれている気がする。
かといって車で行っても駐車場が少なく、あまりおすすめは出来ません。土日はガチで置き場所がなく、過去何度も車で行った身として何度か駐車場難民することになったので。
そこらへん、なんとかしてほしいんやけどな・・・グチグチとうるさい「兵庫県民」でした。
ここでお目当ての資料をいくつか物色し、コピーを取ったところで次の目的地へ。
お次の目的地は、
博物館?美術館?それとも海外の神殿?
いえいえ、大阪府立図書館です。
あれ?大阪府立図書館はさっき行ったんじゃないの?
実は、大阪府立図書館は二つあるのです。
前者が「中央図書館」、ギリシャの神殿のような建物は「中之島」と言い、
こちらは中央図書館と違い、大阪の北の玄関口梅田から一駅、駅から徒歩2~3分とロケーションは抜群なので何も言うことはありません。
こちらは日露戦争が起こった明治37年(1904)に建てられたもので、元の名は「大阪図書館」でした。
現在でも、入口に「大阪圖書館」という、建造当初の文字が残っています。
右から読ませる文字が、なんともレトロです。「館書圖阪大」ではありませんのであしからず。
大空襲の戦禍も奇跡的に乗り越え、近代建築としても傑作と認められ重要文化財にも指定されています。重要文化財が現役の図書館として使われている。なんと贅沢なことでしょう。
数年間耐震工事を行い、最近(っても2015年)やっと新装開店したものの、館内はこの通りレトロ感満載です。
耐震工事ついでに、図書館の歴史を展示したパネルなども設置され、観光名所としても整備されました。明らかに図書館を使わない気マンマンの、近代レトロを見に来ただろう観光客の方も多く見受けられました。
しかし、ここで疑問に浮かぶことでしょう。
この二つの図書館、何が違うの?
この二つ、ちゃんと役割分担をしています。そうでもないとただ分かれただけじゃ税金の無駄遣いなのでね。
簡単に分けると、こうなります。
中央図書館:一般書~ちょっとマニアックな本
中之島図書館:すご~~~くマニアックな本や資料
(※古文書や歴史書などうんぬん)
蔵書が多くなりすぎて「一般書」を中央図書館に移したという現実的な事情もあります。
しかし、「ふつう」用と「マニアック」用で分けることにより、利用者もお目当ての本や資料を見るのにどこへ行けばいいか、すぐにわかります。
利用者層も中央図書館は一般の人がふつうに入れるような所に対し、中之島図書館は利用者自体が比較的マニアック。なにせ歴史資料になるようなマニアックな本しか置いてないし、現場で読んでいる本自体、なんだかニッチ色が濃いものばかりです。
研究に興味がない一般の人にとっては、中央でも十分マニアックなのですが、中之島はその濃度を濃縮したもの。同じオレンジジュースでも、果汁ほとんどなしのバヤリースオレンジと、100%濃縮のポンジュースの違いのようなもの。
来る人利用する人がそもそもそういう人たちなので、図書館員さんの目も肥えています。
たとえば、私の研究分野の一つの「遊廓(遊郭)・赤線」のことについても、並の公共図書館だと、
「遊郭ってなんですか?」
から始まり、遊廓のことを延々と説明するハメに。それだけで十分ロスタイム。
ところがここになると、
「大阪の遊廓のことを調べているんですけど、何か資料ないですか?」
「大阪のどこの遊廓ですか?松島?飛田?新町?堀江?それとも?」
「ええと、飛田でお願いします」
「時代は?明治や大正初期の設立前ですか?設立後ですか?それとも戦後の赤線時代のですか?」
「ええと、昭和初期で(汗)」
「どんな資料をお探しですか?もっと具体的に言ってもらわないと困ります!(プンスカ」
機嫌が悪いマダム館員に当たると、警察の取り調べの如く根掘り葉掘り聞かれた挙句、自分の知識見識不足を諭されます。
しかし、一度ターゲットがロックオンされたら、「人間蔵書検索機」が必死に探してくれ、こんな資料があったとはと驚くような、棚ぼたな資料が出てくることもあります。
中之島の方は在野の研究者からガチの大学教授まで、けっこうマニアックな方々がいらっしゃるので、世のマニアックな方とは一体どんな人種なのか、観察しに来るために来館もよろしいかと。題名すら意味不明な本を真剣に読んでいたり、古文書や古い絵をルーペ見ているマニアックな方々を見ることができるでしょう。
でただし、土曜日はマニアック濃度が薄くなります。また、図書館には珍しく日曜日が定休ですのでご注意を。
そんなマニアック図書館に何を調べに来たのかというと。
また阪和線か!
あんたも懲りないね~。
自分でも「またか」と思うのですが、地元でかつこんなネタ豊富な鉄道会社は放っておくわけにはいきません。現存するエキスは一滴残らず回収します(笑
逆に言えば、このような貴重な資料も図書館に保管されているわけで、図書館にあるのは本や雑誌だけではないのです。
歴史好きにとっては、こんなカビが生えた現存しない鉄道会社のパンフを見るだけでも、胸が躍り時間を忘れて見てしまいます。その気持ちは恋に似ています(笑
そしていくつか資料を見ていると・・・何やら面白い写真を見つけました。
ほう、どうやら大昔の温泉か銭湯のようですな。
しかし、このどこにでもあるような1枚の写真に、今まで知らなかった歴史が埋もれていたのです。この古ぼけた1枚の写真で、あなたの大阪史が覆るかもしれない!?
これは資料漁りの休憩がてら、偶然手に取った本に書いてあった思わぬ収穫でしたが、これは少し調べてみる価値はありそうやね。
さて、掘ってみるとどんなものが出てくるのでしょうか。それは近日中に公開の予定です。
今日の「自分へのお土産」は、長崎の福砂屋のカステラにしました。
神戸のそごうに何度か向かった際、存在には気づいていたのですが、カステラを食べる気分ではなく後回しにしていました。
今回も、ユーハイムのバウムクーヘンとけっこう迷ったのですが、バウムクーヘンがそこそこ並んでいたので、今回はカステラにするかと。ユーハイムなら徳島にもあるので、食べたかったらそこで買っても良い。
カステラに¥1100(10切れ)払うのはちょっと抵抗があったけど、それだけ美味いのだろうと勝手に変換しておきました。
Wikipedia先生によると、長崎名物カステラの御三家が文明堂、松翁軒、そしてこの福砂屋だそうで、その中でも福砂屋は寛永元年創業で最も歴史を誇ります。寛永元年と言えば西暦1624年。もうすぐ創業400年ってことか。
知名度はお先に東京に進出し、
「カステラ一番、電話は二番、三時のおやつは文明堂~♪」
のCMと共に広まった文明堂の方が上ですが、地元長崎の人は福砂屋だとかなんとか。
実際食ってみると、ちょっと待て・・・
めちゃ美味いやんか!!!
こんなカステラ今まで食ったことがない・・・。
大阪には、「銀装」という地元のカステラ屋があります。ここは文明堂からの暖簾分けなのですが、幼い頃工場が近くにあったせいかカステラはずっと銀装。私にとってはカステラ、イコール銀装。
銀装も美味いのですが、福砂屋のカステラは、正直また更に一段上をゆく美味さ。Wikiにも書いているように、ザラメ糖が非常に良い味覚と食感のアクセントを醸し出しています。ザラメ糖の耳だけ販売しても売れそう。
いやー美味い。美味すぎて目が覚めた。今度は2200円分買おう。
これは禁煙して味覚が戻った補正をつけないといけないと思いますが、これでしばらくスーパーのカステラが食えなくなりそうです(笑