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(すみれ)あっ…。(君枝)何?
メリヤス工場から。
「この度 諸般の事情により廃業する事になりました」。
(明美)「まことに残念ではありますが来月いっぱいで工場を手放す運びとなりまし
た」。
(良子)そんなに急なの?明日 工場に行ってきます。
(五十八)おはようさん。お父様。
元気やったか?はい わざわざ 近江からありがとうございます。先代の事も よう
知っとるしな。
わしにできる事やったら…。
♪~
♪「『雨上がりの空に七色の虹が架かる』」
♪「って そんなに単純じゃない」
♪「この夢想家でもそれくらい理解ってる」
♪「たとえば 100万回のうちたった一度ある奇跡」
♪「下を向いてばかりいたら見逃してしまうだろう」
♪「さぁ空に架かる虹を今日も信じ」
♪「歩き続けよう」
♪「優しすぎる嘘で涙を拭いたら」
♪「虹は もうそこにある」
♪「きっと 虹は もうここにある」
(はな)<五十八さんの時代からお世話になっていたメリヤス工場です。古い機械
で 時間をかけ丁寧に編まれるメリヤスはキアリスの肌着を作るのに欠かせないも
のとなっていました>
こんにちは。
あの~ 橋詰さんですか?
(橋詰)あ… 坂東社長。
いやいや… わしは もうとうに隠居してましてもう社長やないんですわ。お久しぶ
りです。
覚えとって下さったんですか。
(五十八)もちろんです。
まだまだ 現役やなぁ。いや~ あちこち具合が悪うなりますけど そのつど部品を
直して なんとか… はい。
ご無沙汰しております。
足立君には 世話になってます。
あっ 坊ちゃん。
(和弘)キアリスさん。ご無沙汰しております。
父親の坂東五十八です。
その昔 坂東営業部という会社をやっておりましてお父様にはお世話になっており
ます。
ああ… こちらこそ。
今回は このような事になり申し訳ありません。わしに代替わりしてうまく経営でき
ればよかったんですが…。
手紙にも書いたように来月いっぱいで工場を手放す事になりました。あの… 手放
すって…?
売ったんです。契約は?
(和弘)済ませてます。ちょうど 今 おられます。お会いになりはりますか?はい
お願いします。
(和弘)すんません。
君は…。栄輔さん。
(栄輔)五十八さんご無沙汰しております。
その節は大変 お世話になりました。
え… 何で?今 洋服屋をやっとるんです。
この工場は うちの会社が買わしてもらう事になりました。
もちろん 職人の皆さんも 一緒に来てもらう事になってます。
君が…?
あの… お願いがあるんです。
今までと おんなじように キアリスにメリヤスを卸して頂けませんか?
すみれさん。 力になりたいのはやまやまですけどそれは 無理なんです。ここを建
て替えて新しい機械も ようさん置いておしゃれな生地をバンバン作ろ 思うてます
。
私たちにとって ここの工場は掛けがえのないものなんです。
力になれず すんません。
わしは 1年ほど前に和弘さんと知り合いました。
仲ようしてもらい話も聞いてもらいました。
(栄輔)その間 おやじさんは体 悪うして入退院 繰り返してはりました。その事
知っとりましたか?どれだけ悩んでたか知ってますか?
(和弘)売るしかなかった…。
お宅の担当の足立部長はいつも いつも判で押したように ただ「いいですねぇ 最
高ですねぇ」と褒めるばかりで…。
こちらの事 知ろうなんて気持ちないようでしたから。そやけど 現実問題 嫁も お
る。子どもらも おる。食わしていくんは難儀な事なんです。
そういう事なんです。
そろそろ 失礼します。
ちょっと待って下さい! あの…。
(栄輔)やっぱり あなたは…。
人の心が分からん人や。
(ドアが閉まる音)
(龍一)おう さくら。(健太郎)今日は 何時まで手伝うんや?(さくら)6時。
もうすぐやな。 送るわ。
(さくら)大丈夫。 子どもやないんやから。
(さくら)いらっしゃいませ。(古賀)コーヒー2つ。
(さくら)はい。(野中)おねえさん 演奏は?
(さくら)間もなくです。
(二郎)ワン ツー スリー フォー。
♪~
これが 河合二郎か。ええ。
さくら さくら。
東京から来はったんやろか?多分ね…。
何しに来たんやろ?
何やろね?
河合二郎君か。はい。
(古賀)私らは こういう者だ。
(二郎)トップ・レコード…。
東京に来ないか?えっ?
(野中)うちで面倒見るよ。(古賀)ああ。
スカウトや…。
あの これって…。
(古賀)そういう事だからよろしく頼むね。
(野中)いい返事 待ってるよ。置いとくね。(古賀)ごちそうさま。
(五月)「ごめんね。もう一緒に暮らせない。今まで ありがとう」。
よかったやないの 二郎さん。
夢やったんでしょう?きっと かなう!
よかったなぁ 二郎ちゃん。
♪~
ず~っと タケちゃんに任せっきりやったんか?
はい。今後の教訓にせなな。
はい。さくら 元気か?
お姉ちゃんの所にいます。遊びに行っとんのか?
いや…。
遊びやないんです。えっ?
家を出ていってしまって…。はあ?
私 さくらに…。
偉そうな事 言うて全然 できてない…。
自分が情けないです…。う~ん…。
(紀夫)ただいま。 喜代さん。
(喜代)まあ 旦那様!ご無沙汰しております。
喜代さん 元気そうで 何よりや。おかげさんで。
忠さん どないしてますか?忠さんか?忠さんはな元気に留守番してるで~。紀夫
君も いこ。あっ すいません。
聞いたで さくらの話。あ… ええ。
難しいな 年頃の娘は。いや~…。
まあ 今は待つ事しかできませんけどなんとか 家族で乗り越えたいと思うてます。
そやな。 ハハッ ほな 食べよ 食べよ。はい 頂きます。
頂きます。頂きます。(喜代)旦那様もえらい苦労されてましたものね。そやがな。
えらい苦労?何 ひと事みたいな顔してんねんな。あっ 私?「私」やがな。
うちには ゆりと すみれしかおらへんやろ。
いっぺん 頭の中のぞいてみたいていっつも 思っとったんや。
そうなの?
おやじいうのは何も でけへんやろ?
はい。いや そんな事ない。
何があってもどんな事があってもお父様は私たちの味方でいてくれてる。
今日も 一緒に工場に来てくれたしほら お店を始めた時もお父様がおったから 心
強かった事たくさんあります。
僕も そないな おやじになりたいなぁ…。
(五十八)さくらに会いたいなぁ。
会ってやって下さい。喜ぶと思います。
そうか。はい。
(明美)それが 昨日 届いた メリヤス。
少し硬い…。そうね。 伸びも悪いし…。
(明美)それは?編み方が違うから赤ちゃんの肌に合うかどうか…。(君枝)こっち
はさらっとして気持ちよさそうやけど…。
うん…。う~ん…。
とにかく 一度 作ってみよか。
♪~
回想 (栄輔)やっぱり あなたは…人の心が分からん人や。