国内有数の海洋総合博物館として親しまれてきた「船の科学館」が、老朽化のため9月末で本館展示を休止し、青函連絡船「羊蹄丸」の公開も終了する。同館は一般200円の特別入館料金を実施中で“さよなら企画”も用意している。
展望塔があり、大型客船を模した本館(地下1階、地上6階)は1974年、台場などがある東京臨海副都心第1号の建物として完成。海と船の文化をテーマにした多彩な展示が特徴で、羊蹄丸と南極観測船「宗谷」も公開してきた。開館以来の延べ入館者は1800万人を超える。
目玉企画は、普段は立ち入ることのできない場所への探検ツアーだ。本館収蔵庫や船首部分にある機械室、それに展望塔と船尾部分の非常階段など。羊蹄丸の船底探検では、エンジンルームや船首の車両甲板などを巡り、退役当時の様子を見ることができる。
本館、羊蹄丸ともに対象は小学5年生以上。9月4日から26日までの土日祝日に開催し、定員は先着順で、各日10人。
このほか、国境の島々に焦点を当てた企画展や、日本初公開の設計図などで在りし日の姿を追う「進水100周年 豪華客船タイタニック号」展も開かれている。
今後も宗谷の展示と、博物館としての研究活動、プールでのカヌー教室などは継続するが、リニューアルについては白紙の状態。羊蹄丸は無償譲渡先を探している。
同館企画広報課の山田寛さんは「今のような展示の仕方はいずれにしてもこれが最後。貴重な資料がそろっているので、ぜひ、訪れてほしい」と話している。
問い合わせは船の科学館、(電)03・5500・1111。〔共同〕