最近、おかしいと感じることがあまりにも多い。官僚組織をめぐる昨今の問題である。
学校法人「森友学園」への格安での国有地売却問題では、売り主の財務省と学園側との交渉・面会記録が廃棄されていた。文書管理規則で保存期間一年未満に分類され、契約を締結すれば用済みらしいのだが、どういう経緯があったのかは、闇に葬られてしまった。
かと思えば、安倍晋三首相の昭恵夫人付き政府職員が当時の学園理事長に送ったファクスの文書は政府側にも残され、公表までされた。「行政文書ではない」にもかかわらず、である。残すべき公文書が廃棄され、私文書が保管されている。この問題に関わる人たちは、おかしいと思わないのだろうか。
国家公務員法違反に当たる組織的な天下りのあっせんが同省だけで六十二件に上り、歴代の事務次官や人事課長ら計四十三人が停職や減給などの処分となった。
法律を守るのは行政権限の執行者として当然だが、教育行政をつかさどるものとしてはより高い倫理観が求められてしかるべきだ。
その立場にある者が、法律を平然と犯す一方で「道徳」教育を推進し、人の道を説くのは、滑稽ですらある。国は、道徳教育を進める前に、国民の手本となるべき官僚自身に倫理観や順法精神を教え込んだ方がいいと言うのは、言いすぎだろうか。(豊田洋一)
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