イラストレーターの賃金が安くて当然な理由の二つ目を語りたいと思います。
一つ目は言わば前座で、この二つ目を言いたかったために記事にしたようなものです。

二つ目:
「それだけ信用がない」

例えばバイトと社員は、一般的にどちらが給料が高いでしょうか?
言うまでもなく社員の方ですよね。
仕事内容もバイトだと末端的な仕事しか関われない一方、社員だと中核的な仕事に関わる分、責任も重大なのでそれだけ「信用されている」と言うことになります。
(ブラック企業だと時給的にはバイトの方が高い…みたいな話はありますが、ここでは除外します)

イラストレーターの賃金ですが、あなたの仕事が出版物の売り上げを左右するようなレベルでない限り、替えはいくらでもいる状態なので安くなって当然です。
せめて依頼された仕事をきっちりこなしてくれれば良いのですが…イラストレーターの仕事の捉え方がいかに「いい加減」なのかを本当に色々と思い知らされました。特に去年に関して言えば。

酷い話なのですが、あなた達イラストレーターは依頼内容をちゃんとこなせるか否かも怪しい状態なんです。
例を一部紹介しましょう…

「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)ができない」

人によってですが、メールを送っても返信が異様に遅くて、なかなか返信が返ってきません。
頻繁にメールチェックするとか、返信するとか言う一般的な業務すら機能しないほど、メールに関心がないのでしょうか?
別のメールアドレスを聞き出したり、ピクシブのメッセージも併用したり、本人から聞き出した電話番号に掛けても一切返事が返ってきません。
下手をすれば居留守を使ったり、自分の都合がつくまでとにかく無視を決め込むケースもしばしばあります。
やり取りの場にすら顔を出さず、一方的に絵を送りつけられても正直困ります。
もし指定と間違った部分が出てきても、いつ出るかも分からない相手の返事に神経を削るなんてまっぴら御免です。

「締め切りに間に合わせられない・間に合わせる気がない・時間厳守と言う概念自体がない」

あらかじめ決めていた納期を平気で破るケースも多々あります。
仕事量が多い分、期間もしっかり設けているにも関わらず、平気で時間を溶かします、食い潰します。
締め切り間近になると「進捗が遅れているので納期を延ばしてください」だの「正式な締め切りだと認識していませんでした」だの「とにかく一切の連絡を絶って、納期から数週間~一ヶ月以上経った後で原稿だけ押しつけて賃金を要求する」とか「仕事を放棄する」なんてケースばかり頻発してます。
最初から締め切りを守る気すらなくて、締め切りを破っても何食わぬ顔をするケースもあります。

納期から遅れた時点で、その原稿には一銭の価値もありません。
依頼する側からして見れば「居直り強盗」にでも遭った気分です。

夏休みの宿題なら先生に怒鳴られて謝る程度で済みますが、賃金の発生する仕事ですら、その悪癖で通すつもりなのでしょうかね?
たとえ8月31日に全然手をつけてないと言い張って居座るつもりなら、たとえ強制労働させてでも、残り一日で全部を仕上げてもらいます、自業自得です。
それが嫌なら、しっかりスケジュールを組んでください。

「クオリティが保てない」

仮にもイラストレーターとして仕事を受けているのに、そもそも最低限のクオリティにすら達していない絵を平然とよこす場合があります。
例を挙げると…

・「お風呂を描いてください」と指定したはずなのに、平行四辺形を敷き詰めただけの謎背景をお風呂と言い張る
・実写の資料を画像として提示しているのに、実写どおりに描けない
・どう見てもラフにしか見えない代物を「清書」だの「完成品」だのと言い張る
・表情やタッチが堅い、アクの強い表現に気を取られて使い物(抜けるレベル)になってない
・素人目にも分かるデッサン崩れを引き起こす、指定したアングルどおりに描けない、指摘しても直さないどころかリテイクを嫌がるあまりに逆ギレして、逆に仕事を放棄すると脅してくる

と言う感じです。
依頼する時点で注意深く観察しているつもりなのですが、あまり上手に見抜けていない分、まだまだ私の目が節穴かもしれないですね…
でも仮にもイラストの依頼を受けた以上、せめて人目に出せるレベルなのか、人に違和感を抱かせないレベルに仕上がっているのか、人に抜いてもらえるレベルなのか等、読者の視線くらいは自分で意識すべきでしょう。

「自分満足だけが全てで、相手のことを一切考えてない」

とにかくクリエイター()気取り、アーティスト()気取りな人間は平気で「掟破り」なことばかり繰り返します。

・仕様書と明示されていて、正式な契約が成立しているものと認識してなかった、等と、意味不明な難癖をつけた挙げ句「互いに」相性が悪かったと勝手な解釈を持ち出して仕事の依頼を断る
・すでに依頼した後なのに、中盤になって突然値段交渉を持ち掛けて、最終的には「互いに」気分が悪いので…と言い張って仕事の依頼を一方的に断る
(どう考えてもあなたの不誠実な態度が原因です。時間を溶かした分、こっちが損害賠償を要求したいレベルです)
・そもそも仕様書に目を通していない、確認すれば防げる程度のミスを頻発する
・自分で「○○まで出来ています」と宣言しながら、証拠の途中経過画像などを一切見せない、「○○を提出します」と宣言しながら、全然出さない、見せない、自分で決めた約束すら守れず出任せばかり並べる
・仕事と言う意識を持たず「応援したい」と言い張ったり、隙あらば馴れ合いに持ち込もうとして、読者の方向を意識せず、内輪ばかりで外輪を一切顧みない、酷い場合はプライベートの時間が削られただの、私情を持ち込んで言い訳ばかり重ねてくる

こんな不毛なやり取りばかり迫られて、本当にウンザリさせられます。

果たして、こんな仕事上のトラブルを頻繁に起こしてばかりで、まともな責任すら果たそうとしないような人間に賃金なんて払おうと思いますか?
こんな輩に大事なお金なんて託したくありませんし、時間も浪費したくありません
こんなふざけた行動ばかり繰り返して蔓延しているなら、当然ながら信用も落ちますし、それだけ賃金も値下がりして当然でしょう。

お金を支払う出版社サイドも、恐らくトラブルメーカーに出くわした時のリスクを鑑みた上で低めの値段設定をしているはずです。

私もイラストレーターと嘯いているトラブルメーカーへの対策として、余分に小説を書き溜めて二、三ヶ月分程度は備えていたのですが、上に記したとおりの人災に立て続けに見回れ、書き溜め分を見事に潰されて、今年一月分も発売が危ぶまれているところまで追い詰められてしまいました。
(小説は出来上がっているのに、別の人間に頼んだばかりでイラストが出来上がっていない状態)
それだけ、イラスト業界に潜んでいるトラブルメーカーの割合は多いんだろうな…と改めて認識させられました。

「自分は真面目にやっているのに、なんでとばっちり受けなきゃいけないんだ!」と言う人もいるかもしれませんが、イラスト業界全体で考えてみると、トラブルメーカーに頻発する割合がかなり多いので、あなた一人だけそんな主張をしても意味がありません。
(そもそも、何を持って真面目と言って良いと考えているのか…と言うのも疑問です。ちなみに私の考える真面目の評価基準は「成果をきっちり出しているか否か」です)

それでも、もし賃金を上げて欲しいと言うなら、不真面目な対応ばかりして繰り返している古株連中を一掃するか、少しでも自分の信用を上げてもらうため、きっちり仕事をこなす以外にありません。
(特に同人業界だと、しょっちゅう新刊が落ちそうだと呟きながらネタに走ったり「新刊落ちました」と言い切って居直ったり、もうアーティスト気取りな風習が身体に染みついちゃっているのかもしれませんね…)

やはりこの手の問題も、編集者サイドなり出版社サイドなりの意見が欲しいところなので、緩く募集いたします。