新年一発、新しいことに挑戦してみようと思ったので、ずっと前から書きたくて書きたくて仕方のなかった、こんな煽り記事を書くことにしました。

昨今、主にツイッターやトゥギャッター上で時折「イラストレーターの賃金が低すぎる」なんて意見を見かけてて、やれ作業量分の金額をよこせだの、時給にすると幾らだの、あまりに的外れな意見ばかり一方的に垂れ流しているのを見るたびに苛立っていたので、記事にしました。

イラストレーターの賃金が低い理由ですが、思いつく限り、二つの理由が潜んでいるのではないか…と考えています。

何も理由を知らずに文句ばかり述べられても根本的な解決にならないので、手始めに一つ目の理由を取り上げようと思います。

(もしかしたら別の問題が潜んでいたり、当てが外れているかもしれません、戯言だと思って聞き流してください)
(イラストレーターで高い報酬を得ている人間はこんな記事には反応しないはずなので、考えないものとします)

一つ目の理由:
料金以上の価値を相手に提供できていないから。

ここからは出版社相手に仕事をすると仮定して話を進めます。
(ソシャゲ会社がオーディション形式で無償で仕事をやらせている系の問題は別問題なので、ここでは省かせてもらいます、あくまでもまともに報酬を支払う気のある会社限定で話を進めます)

出版社の依頼を受けてイラストレーターがイラストを仕上げて、出版社が報酬を払う、と言うのが大雑把な仕事の流れですが、出版社サイドはあなたのイラストを何とかして『』に替えなければいけません。

果たしてあなたのイラストに、末端の消費者(読者)はお金を落としてくれるのでしょうか?
出版社サイドから見れば正直不安なんです。

あなたの絵に幾らくらいの価値があるのか、コスト分の元は取れるのか、そもそも企画時点での間違いはないか…等々。
もし想定どおりの成果が出なければ、金額的コストが発生している分、下手をすれば破綻してしまうかもしれないんですから。

酷い話ですが、いくらあなたが労力や時間を掛けようが掛けまいが、出版社サイドとしては「知ったこっちゃない」んです。出版社サイドも同じように、末端の読者から「お前の会社がいくら損しようが知ったこっちゃない」って思われてるんですから。

何時間労力を掛けた、材料費がどれくらい掛かった、全然関係ありません。誰かに価値を見出してもらえなければ「落書き」としか見なされないんです。
落書きには誰もお金など落としません。
(当然ながら自分の小説にも当てはまってしまう摂理なんです)

出版社サイドから見れば、イラストレーターはある意味「いいご身分」です。
何せ、相手の損得関係なしにある程度はお金が貰えて、たとえ最悪の結果でも(報酬が未払いで)「ただ働きする羽目になった」程度で済むんですから。
出版社サイドからすればコストを支払った分、言わばマイナスの時点からのスタートなので、採算が取れるまでとにかく売って売って売りまくらなければいけないんです。
もし採算が取れなければ金をドブに捨てたと見なされ…下手したら倒産して、社内の人間全員が路頭に迷う羽目になります。

一番身体を張ってる、大変な思いをしているのはイラストレーターではなく「コストを抱えている会社」もしくは「イラストを金に変えるために奔走する立場の人間」なのではないでしょうか?

(別に某電通みたいな広告代理店が一番偉い、と言うわけではありませんが)収入が入ってきた場合、まずは金額的コストを抱えている出版社や、実際にイラストを金に変える作業に砕身している営業の人間に渡す方が先だろう、と正直思います。

こう考えると、イラストレーターが前線に立つ時なんて、同人即売会くらいしか存在しないのではないでしょうか?
年二回のイベントなら参加者も物珍しさで買ってくれるかもしれませんが、黒字より赤字になっているサークルの方が圧倒的に多い上に、読者の飽きるスピードは本当に早いです。
一時期は持て囃されても人気が長続きするのか、閑古鳥が鳴くような状態に陥らないか本当に気を配らなければいけません。

それでもあなたはクライアント側に損をさせてでも「賃金」を欲しがるつもりですか?

それでは逆に、どうすればイラストレーターの報酬を上げられるか…率直に言うと「報酬以上の価値を末端の読者に提供できるか否か」に掛かっています。

出版社や営業が売り込みに行くまでもなく、あなたが読者を引っ張れるようになれば、文句なく報酬も上がるはずです。あなたに描いてもらえれば収入も多少は見込めるのですから。
(それでも完璧に保障できるかと言うと、様々な要因があるので確実とは言い切れませんが…)

ここで言う読者の定義ですが、あくまでも「金を落としてくれる」お客様に限定します。
個人的に気に入ってはいるけど商品を買わないファン、ピクシブやツイッターなどのフォロー数とはまったくの別物として取り扱ってください。
僅かでもお金を払ってくれるのか、それとも無料でただ持て囃しているだけなのか、 この境目は本当に高く聳え立っていて厚くて頑丈な「」です。

もしイラスト報酬を高くしたければ、それこそ出版社にちゃんと利益が入るくらいにまで名前を売るなり、読者を連れてくるなりしてもらわなければ逆に出版社の方が干上がってしまいます。
相手が何を背負っているのか、本当にちゃんと念頭に置いてください。

(出来れば出版社サイド編集者の人間に意見を聞いてみたいのですが、誰かいらっしゃいませんでしょうか…?)

二つ目の理由ですが、次の機会に取り上げる予定なので少々お待ちください。